参院選挙が終わった。
自民党は議席を減らすだろう、と言われていたが、その予測を上回る敗北を喫した。
そのかわり劇的に増えたのが民主党の議席。これで2大政党制への歩みが大きく踏み出された、という向きもあるが、第3勢力あっての2大政党、と思っている私は素直には喜べない。
ただ参院第1党になった民主党には「国政調査権」なる権限が与えられるそうで、これを使って、行政の透明性を追求することができ、国民年金の使途など追求できると、民主党原口議員は張り切っていた。ぜひそう願いたい。
年金問題と、政治と金の問題がもっぱらとりあげられた今回の選挙だが、いよいよこれからは、憲法に対する立場を明確にすることが求められていく、と私は思う。
民主党の正念場だ。自民党内の護憲派にとっても。また公明党にとっても。
公明党は今回議席を1桁に減らしたが、幹部連中はあまりに下部学会員を馬鹿にしすぎた。
私は公明党の票というのは、創価学会員とその周辺の固い票で成り立っているのかと思っていたが、学会員の活発な集票活動で、かなり広範囲に支持を求めての結果だったんだなと、今回認識した。それが今選挙では働かなかった。
「平和と福祉」の看板がおろされてしまっては、外の人に支持を訴える核がなくなる。
私の投票行動は、相変わらず少数政党志向だ。
今回比例は、元外交官、天木直人氏に投票した。9条ネットという、現憲法を守るという1点で活動する政治組織からの立候補だった。
この9条ネットも、前回の「緑の会議」と同じ憂き目を見た。
マスコミに徹底的に無視された。この会の訴えが広く選挙民に届くことはなかった。
少数政党ではあったが、「新党日本」は、党首討論にも呼んでもらえ、代表の田中康夫氏の知名度もあって、田中氏は議席を得ることができたが。
少数政党だけを集めて、その党の主張を聞く機会があってもいいのに。
安倍総理を私は全く評価しないが、そもそも自民党が地方からこんなにうらまれる原因を作ったのは、小泉・竹中の無責任コンビによる構造改革とやらのためだ。
その小泉が暢気に各地に応援に出かけ、無責任な放言で人気を集めるなど、ブラックジョークもいいところ。この点では安倍総理に少し同情する。小泉でたらめ路線のあとでは、誰がなっても惨憺たる結果になったのでは。
天木氏は、この無責任総理の小泉に「イラクへの自衛隊派兵をやめるよう」進言し、それが理由で外務省を去ることになった気骨・愚直の人だ。
いつだったか、テレビ討論番組で、「日本はアメリカの言うことさえ聞いていればいい。」と、めちゃくちゃなことを言う「化石老人」岡崎久彦元外交官に対して、あきれて、言葉を返すことさえしなかった天木氏を思い出す。
しかし、ここで黙ってはいけない。反撃しなければ。
その点、サンドバッグがわりに出演依頼されているとしか思えない経済評論家の森永卓郎氏は、さすがに打たれなれている。
これはNHKの番組ではあったが、「成果主義を安易に取り入れるとどういうことになるか。上司にゴマする奴、同僚の足を引張る奴、人の成果を横取りする奴が評価されることになるんですよ」と、一気に言い放った。
あまりに的を得ていて、だれも一言も反撃できなかった。民放番組と違って、むちゃくちゃなことを大声でまくしたてるたちの悪いゲストは呼ばれていなかったせいもあるかもしれないが。
「言葉は武器」、「言葉は力」だ。政治を目指すなら特に。
もう天木さんは、政治家を志さないだろうか。打たれ強くなって、少しワイルドになって、また機会があったら挑戦してほしいが。
東京選挙区では、転入届を怠っていて、投票権がなかった丸川珠代氏が当選。
投票券が事前に届いているはずなのに、それも持たず、つまりそういう仕組みを知らずに期日前投票しようとした彼女は、今まで1回も選挙に行ったことないんじゃないだろうか。
36歳ということだが、マスコミで働いていたり、コメンテーターを務めたりしている人の中には、自分は国民一般とは違う特別な人間として、投票にも行かず、あれこれ、したり顔に、分析したり、意見を言ったりしている人もいるのでは。
丸川さんは、「自民党に入って、自民党を根本から変えたい」と言っていたが、そんなよけいなことをする必要はない。
それぞれの党は、それぞれの利益を代弁して成り立っているのだから、丸川さんの拠って立つ生活基盤に、一番近い党から出馬するのがよろしい。