再び中国を敵視することの恐ろしさ。
尖閣諸島の領有権を巡って、「中国憎し」の日本国民が増えているようだ。
尖閣諸島は「日本固有の領土」と政治家も叫ぶが、私は以前にもこのブログで触れたが、この地球上にどの国にとっても「固有の領土」など存在しないと考える。
たまたまそこに存在して、あるいは移動してきて、住み着いたことが全ての始まりだろう。その後は征服したり、されたりの関係から国境が定まっていったのだろうし、いまだにお互い譲り合わない地域はいくらでもあるのだが・・・。
尖閣諸島は中国、台湾、日本が「固有の領土」と言い切るには微妙な場所にある。
ただ実効支配というものはあるだろう。韓国にとっての竹島、日本にとっての尖閣諸島の一部はそれに当たる。
対中国戦争を想定する米国の戦略。
元宜野湾市長だった伊波洋一さんは、直接アメリカの公文書などに当たって、日米安保条約に対するアメリカの考え方を、沖縄に生活しながら考察してきた。
その伊波さんは言う。
アメリカはずっと戦争を続けてきた。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク、アフガン戦争等々。
アメリカが準備している次の戦争は中国との戦争である。但し自らが前面に立つのではなく、日本を巻き込み矢面にする。
そのために尖閣諸島の領土問題をけしかける。過去の中国侵略の歴史に無知な多数の日本国民は、中国国民が日本をどう見ているかという想像力を欠いたまま、「中国が軍事力を増大させ、それを背景に資源獲得にアジアの海に乗り出している「中国横暴」と考える。
中国の脅威の前にやはりアメリカと軍事協力しなければとも考える。
アメリカは戦争なしには生きられない体質の国だが、中国との戦争の口実には日本を使う。それに乗せられるのは愚かなことと、今私たちは気がつかなければならない。
中国との戦争になれば、アメリカ本土は傷つかないが、日本はメチャクチャになる。イラクやアフガンと同様の悲惨な状態になる。それこそ原子力発電所は真っ先に攻撃対象になる。
しかしそんなことはアメリカにとっては「知ったことではない」。
なぜアメリカは中国との戦争を準備するのか。
「戦争はいかなる時に起こるか。超大国ナンバーワンが別の超大国ナンバーツーに追いつかれると思った時だ」アメリカのアジア政策専門家ジョセフ・ナイの言葉を元外交官孫崎亨氏が自著の中で紹介しているという。
しかし戦争は起きないだろうというのが孫崎氏の見立てだ。
アメリカが対中国政策を転換させ、首脳レベルが相互訪問を繰り返しているからだが、しかし中国をけん制するために日本の軍事力は利用される。
「特定の大国が想定される敵国が力をつけてくるのを、自分に好意的な国を利用して抑制させる」ために。これをオフショア・バランシングという。