以下は今しがた発見した石平太郎氏のツイートからである。
@liyonyon
中国・習近平がたくらむ「コロナ感染輸出」の恐ろしすぎる危険性(現代ビジネス)
中国で「感染爆発」が起きている!
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中国で新型コロナの感染が爆発中だ。感染はどこまで広がるのか。新たな変異株は誕生していないのか。不安は募るが、明らかになった点もある。中国の意図だ。彼らは「自然感染による集団免疫の獲得」を目指す一方、西側への「感染輸出」を狙っているように見える。
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肝心の中国が情報を公開していないので、実態は不明だが、米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)が昨年12月15日に発表した推計によれば、ロックダウンの再開などがなければ、中国で「3月1日までに最大460万人が感染する」と予想している。
その場合、1日当たりの死者(報告分)は3月29日までに8860人に達する。死者は累計で4月1日までに50万2000人、2023年末までには「100万人をはるかに超える」見通しだ。
もっとひどい予想もある。
英国の調査会社、エアフィニティ(Airfinity)が1月3日に更新した推計によれば、1月13日時点で1日当たりの感染者が370万人に達し、死者は10日後にピークを迎えて、1日当たり2万5000人、昨年12月以来の累計死者は58万4000人になる。4月末までには累計の死者が「中国全土で170万人に達する」と予想している。
新しい変異株なのか
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この新型コロナは、どんな種類なのか。
中国の疾病予防センター(CDC)の専門家は、記者会見で「130のオミクロン変異株のうち、50種類を中国で検出した」と語っている。だが、それがすべて、とは限らない。
世界保健機関(WHO)によれば、判明している分だけで、オミクロンには500種類以上もの派生型がある。心配なのは「まったく新しい凶暴な変異株が生まれていないかどうか」だ。
WHOは繰り返し、中国に情報提供を求めてきた。中国は12月30日、ようやく協議に応じたが、それでも情報を開示しなかった。WHOは声明で「中国側には引き続き、ウイルスの遺伝子配列情報を含めて、リアルタイムの情報提供を求めた」と述べている。
新たな変異株は出ているのか、あるいは、これから出てくるのか。この点は、専門家の間でも意見が分かれている。
ジョンズ・ホプキンス大学の感染症専門家、スチュアート・キャンベル・レイ教授は「中国は非常に多くの人口を抱えている一方、これまでは限られた免疫しかなかった。それは新株が爆発する土壌になっているように思う」と語っている。
一方、同じジョンズ・ホプキンス大学のデイビッド・ダウディ教授は「新株が生まれて、世界的な感染爆発が起きる可能性は確かにあるが、オミクロンに対する世界レベルの免疫効果を考えれば、その可能性は1年前より低いだろう」と、やや楽観的だ。
オミクロン変異株については、米国の疾病予防センター(CDC)が12月30日、「XBB1.5」と呼ばれる派生型の感染が米国で40.5%を占めた、と発表した。この型がいま、最大の焦点になっている。
WHOの専門家は1月4日、記者会見で「XBB1.5はこれまで見つかったなかで、もっとも感染力がある」と語った。米国では、12月24日時点でXBB1.5感染者の割合が前週の2倍になった。大変な感染力だ。ただし、毒性については、WHOは「データは入手していないが、過去の派生型と比べて、より重いという証拠もない」と語っている。
中国はどうかと言えば、中国共産党の新聞、チャイナ・デイリーが1月3日、「中国の専門家チームが上海でXBB1.5による3例の感染を検出した」と報じた。ただし、同紙は「中国が発生元ではなく、外部から流入した」と報じている。いずれにせよ、中国紙の情報なので、真相は不明だ。
ゼロコロナ政策からの急転換
習近平総書記[Photo by gettyimages]
こうしたなか、「中国の新たなコロナ戦略」が浮き彫りになってきた。彼らは、いまや「自然感染による集団免疫の獲得」を目指している。中国製ワクチンには「効果が期待できない」と分かったからだ。それだけではない。「西側への感染輸出」も狙っているかのようだ。それは、状況証拠が物語っている。
第1に、中国はウイルスの遺伝子配列情報の公開を拒否している。これが公開されなければ、新たな変異株が生まれているのかどうか、分からない。そうなると、西側は対応する新たなワクチンを作れない。
次に、中国は西側のワクチンを欲しがっていない。「中国は中国製ワクチンとロックダウンでコロナを制圧した」と自慢してきた手前、いまさら西側に頭を下げて、ワクチン提供を頼めないのだろう。習近平総書記(国家主席)の沽券に関わるからだ。求心力がガタ落ちしてしまう。
習近平政権は昨年12月7日、ゼロコロナ政策を突然、放棄した。なぜ方針転換したのか、真相は不明だが、中国ウオッチャーの間では「各地に広がったデモを恐れた」「習氏自身が感染し『コロナの症状は軽い』と分かった」「ロックダウンでも対処不能で、感染を止められなくなった」など、さまざまな説が流れている。
以来、中国はPCR検査の義務付けや国内移動の規制を矢継ぎ早に廃止した。香港の新聞、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は1月5日、香港と中国全土の往来を止めていた検問所を「8日から開放する」と報じた。同紙は「これで1日当たり5万人が香港を中国本土を自由に往来するようになる」と伝えている。
中国は同じ8日から、中国への入国者に対する隔離義務を解除する。中国は一般国民の海外旅行を禁止してきたが、同日から旅行目的でのパスポート更新手続きも再開する。
「感染輸出」をもくろんでいる…?
これらが何を意味するか。
国内で感染がこれほどの猛威を奮っているにもかかわらず、国民の大移動を始まる春節(1月22日)の直前に、こうした措置を立て続けに断行するのは「海外で感染が広がってもかまわない」という話にほかならない。つまり「感染輸出」である。
普通の国であれば、感染の恐れがある自国民は出国前に厳重にチェックして、他国に迷惑をかけないようにするだろう。いずれ帰国すると分かっているのだから、それは自国のためでもある。だが、中国にそんな常識は通用しないのだ。
米国や英国、カナダ、オーストラリア、日本、フランス、スペイン、イタリア、韓国、マレーシア、台湾などは新型コロナの陰性証明を求めるなど、入国規制を強化した。これに対して、中国は「政治的な動きだ。対抗措置をとる」と反発している。これも「中国人の海外旅行を奨励している」証拠である。
中国はコロナを克服できるか
そうだとすると、これから何が起きるのか。
自然感染による集団免疫の獲得を目指す中国と、ワクチンによる集団免疫獲得を目指す西側との競争になる。農村部への感染拡大はこれからだが、北京など大都市は「すでにピークアウトした」という報道もある。中国が集団免疫を獲得するのは、時間の問題かもしれない。
西側には「多くの犠牲を強いる自然感染による集団免疫の獲得」という選択肢はない。新たな変異株が出ているなら、対応するワクチンを開発して、人工的に免疫を作るしかない。
この競争で西側が遅れをとれば、中国は一段と大胆、かつ攻撃的な姿勢で西側と対峙するようになる可能性が高い。逆に、中国が負ければ、しばらくはおとなしくなるかもしれない。
中国の戦略は、必ず成功するとは限らない。自然感染で集団免疫を達成するには、不透明で複雑な条件が多く、100%達成可能とは言えないからだ。中国が自力で効果の高いワクチンを作らない限り、犠牲者を増やすだけ、という結果になる可能性もある。
中国が新型コロナを克服できるかどうか。あと数カ月もすれば、見えてくるだろう。日本はそれまで中国人はもちろん、中国滞在歴のある人について、十分な監視が必要だ。中国からの入国制限だけでは、まったく不十分だ。香港などを経由して入ってくる中国人にも目を配らなければならない。
米国は中国から入国する航空機について、排水検査を実施する。乗客の排泄物にウイルスが混じっているかどうか、調べるためだ。新型コロナ対策は安全保障問題に直結している。日本も同じような検査をして、米国と情報交換すべきだ。
昨年12月23日公開コラムで指摘したが、米国のジョー・バイデン政権と岸田文雄政権の感染症に関する対中認識は、完全に間違っている。
両政権は、それぞれ「国家安全保障戦略」に「感染症対策で中国と協力できる」と記したが、中国は協力するつもりなど、まったくない。
甘い認識では、中国にしてやられるだけだ。
長谷川 幸洋(ジャーナリスト)