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すでに終わった話を延々と蒸し返し…貴重な時間を浪費させる気満々…それにマスコミが喜々として飛びつく

2024年10月03日 22時52分55秒 | 全般
すでに終わった話を延々と蒸し返し、菅首相や閣僚らの貴重な時間を浪費させる気満々のようである。それにマスコミが喜々として飛びつく
2021年02月04日

以下は今日の産経新聞に掲載された阿比留瑠比の論文からである。
彼は現役最高の記者の一人である。
本論はその事を余すところなく証明している。
これぞ正に「正論」である。
読者は彼もまた最澄が定義した「国宝」であることを認識するだろう。
見出し以外の文中強調は私。

国のリーダーの本来の仕事とは

菅義偉首相は2日の衆参両院の議院運営委員会やその後の記者会見で、与党に所属していた衆院議員が緊急事態宣言下の深夜に東京・銀座のクラブを訪れていた問題をめぐり、幾度も謝罪していた。繰り返し頭を下げるその姿を見て、こんなことを一国のリーダーに求めてどうするのかとむなしい気持ちになった。 
もとより、国民に自粛を要請しておきながら、その負託を受けた国会議員が自粛しないというのは筋が通らない。 
のこのこと出かけた当人たちがけじめをつけるのは当然だが、議員一人一人の行動など知るはずもない首相の責任を追及したら、新型コロナウイルス感染症の陽性反応者が減るとでもいうのだろうか。 
江戸後期の儒学者、佐藤一斎は著書『言志四録』でこう述べている。 
「大臣の職は、大綱を統(す)ぶるのみ。日間の瑣事(さじ)は、旧套(きゅうとう)に遵依するも可なり。(中略)紛更労擾(ふんこうろうじゅ)を須(もち)ふること勿(なか)れ」 
大臣の仕事は最重要な点を押さえることであり、日常の細かいことは前例に依拠していい。
小さなことでむやみに改めたり、あくせくして疲れ乱れてはいけないーという意味である。 
視点は異なるが、菅首相が好むという中世フィレンツェの政治思想家、マキャべリも著書『君主論』でこう指摘している。  
「君主は、戦いと軍事上の制度や訓練のこと以外に、いかなる目的も、いかなる関心事ももってはいけないし、またほかの職務にも励んではいけない」 
つまり古今東西、国のリーダーは国家の存亡や浮沈に直結する問題に専念すべきだということだろう。
現在であればコロナ禍への対応や、危険な専制国家、中国をはじめ不安定化する国際情勢にどう対処するかが何より大切である。
瑣末なことでトップを疲弊させて何を望むのか。 
「人には余裕というものが無くては、とても大事はできないヨ」とは勝海舟の言葉(『氷川清話』)である。
何でもかんでも首相一人に背負わせても、一時の鬱憤晴らしにすぎない。 
にもかかわらず、実際に国会で野党がやっていることや、マスコミの報道はどうか。
立憲民主党の安住淳国対委員長は3日の野党国対委員長会談後、記者団にこんな意気込みを示した。  
「原点に立ち返って、今度の予算委員会では、安倍晋三前首相、吉川貴盛元農林水産相らについては、野党一致して、国会に証人喚問もしくは参考人として出席をしてもらい、『桜を見る会』を含めて鶏卵事業についての疑惑についても、徹底解明をしたい」 
すでに終わった話を延々と蒸し返し、菅首相や閣僚らの貴重な時間を浪費させる気満々のようである。
それにマスコミが喜々として飛びつく。 
その結果、政治や行政が停滞して割を食うのは国民なのだが、そうなっても政府・与党が悪いの一言で済ませるのだろう。  
「自公政権を倒し、立憲民主党を中心とする新しい政権をつくる」
立民の枝野幸男代表は1月31日のオンライン党大会でこう述べていた。   
週刊誌報道をネタに政府・与党の醜聞探しを続ければ、そのうち風が吹き政権が転がり込むとでも思っているのか。
その前に肝心の国が沈みはしないか。
日本や米国など民主主義国の政治的混乱やさまざまな遅滞を喜び、利用するのは誰か。
「ほらね、非効率的で無能な民主主義より、わが国の体制の方が優れている」
こういって、ほくそ笑む国がいくつもありそうで、そら恐ろしい。    
(論説委員兼政治部編集委員)


2024/10/ in Umeda 


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