心配されていた台風は進路が逸れたのか、幸いにも境内に被害をもたらすことはありませんでした。少し風は強いものの、雨も殆ど降らず落ち葉の掃除もいつも通りにできたほどです。
思えば一月前はちょうど風神祭が行われた頃でした。今年は出店も余興も自粛となりましたが、風神祭は“田畑に台風などの風雨の害が無いように”と祈るお祭りです。昨今の台風は田畑だけでなく家や樹木にも被害を与えるほどですから、御神慮によるものか今回は直撃とならず大変喜ばしく思います。
先日までの予報とは裏腹にここでは湿度もなく気持ちの良い風です
神道のお祭りは稲作を中心にしているとよく言われますが、それと同時に“災いが無いように”と祈るのもお祭りの大きな役目ではないかと思います。
『神道事典』の国家祭祀の項だけを見ても『風神祭』のほかに『大忌祭(豊作とそのための風水の利、風神祭に同じ)』『大殿祭(宮殿に災害が無いように)』『鎮花祭(疫病の流行が無いように)』『鎮火祭(火災が無いように)』『道饗祭(都に鬼や疫神が入らないように)』と数々の災い除けの祭事があるのが分かります。
またこの鈴鹿明神社で古くに行われていたという通称『龍神いじめ』という神事も、“日照りの害が無いように雨を呼ぶ”という意味でここに連なるお祭りと考えられます。上記のお祭りを見ると今も昔も願う事というのはそれほど変わりはないのではないでしょうか?
悪天や災害は無い方が良いに決まってはいますが、季節の事となれば避けられないものでもあります。時に祈りつつ、皆様もどうか無事に一年を過ごしていただければと思います。