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6月10日は新聞休刊日

2019-06-10 05:36:52 | 社説を読む
6月10日は新聞休刊日のため、昨日の一部のコラムを紹介します。

毎日新聞
・ 中国で植物のパンダといわれるのが「水杉(すいさん)」だ。野生では中国にしか存在せず、パンダ同様に外交にも使われてきた。周恩来元首相は北朝鮮の金日成主席に種子を贈り、トウ小平氏もネパール訪問時に苗木をプレゼントしている

▲といっても今の日本ではそう珍しくはない。皇居や各地の植物園、学校などにも植えられている。ヒノキやスギに近いメタセコイアのことだ。和名はアケボノスギ。昭和天皇のお気に入りでもあった。日本とも縁が深い木だ

▲1941年に京都大学の三木茂氏が100万年以上前の地層の化石から発見し、戦後まもなく、中国・長江沿いの山地で現存していることが確認された。現地調査した米国人から昭和天皇や三木氏に種子や苗が贈られ、各地に広まった

▲化石しかなかった生物の生存が確認されたという点ではパンダよりシーラカンスに近いかもしれない。38年に南アフリカで数千万年前に絶滅したと思われていた古代魚が発見されたニュースは世界を驚かせた

▲そんな「生きた化石」が現代の日本にも生息していたようだ。高知や静岡などで発見された生物が数万年前に絶滅したとみられていた甲殻類「オオスナモグリ」と推定されている。千葉県立中央博物館が標本の展示を始めた

▲ザリガニのようなはさみを持つスナモグリの仲間は砂浜などに深い巣穴を掘って生息しており、採集が難しい。そんな環境で発見されずに生き延びてきたのだろうか。グローバル化、情報化の時代にもまだまだ未知の領域は存在する。


日本経済新聞
・ 赤黒い握りこぶしのような武骨なかたち。あちこちに突起がある。押すと外皮はやや硬い。包丁を入れる際は、液体の噴出にご注意を。食べられるのは内部のオレンジ色の筋膜で、酢の物にすると、こたえられない。この時期が旬の「海のパイナップル」こと、ホヤだ。

▼古くは「土佐日記」に、その名が出てくる。平安貴族も舌鼓をうったのだろうか。宮城県を中心とした三陸地方での養殖が盛んで、かつては、年間1万トンもの水揚げの大半は、韓国へと輸出されていたのだという。現地の人は甘辛いコチュジャンやキムチとあえ、食すようだ。ちなみにイタリア料理との相性も良いらしい。

▼そんなホヤの上げ潮を襲ったのが東日本大震災と原発事故である。韓国が輸入を止めて、漁業者は大量廃棄の受難に耐えた。日本は世界貿易機関に規制の不当を訴えたが、結局、主張は通らぬまま。だが、この間、産地では鮮度を保つための物流改革やレシピの提案など、国内で需要を喚起する策も打たれていたのである。

▼本紙によると、今年は震災後、初めて廃棄がゼロになるという。「韓国がダメならば」と米国のコリアンタウンでの販売にも乗り出すらしい。逆境に負けぬロールモデルとなろう。甘さや苦さなどホヤは一口で五つ味が楽しめるといわれる。今年は、さらに安堵やら希望の滋味も加わっていよう。こよい、冷酒と楽しむか。


中日新聞
・ 「暁の超特急」と呼ばれた陸上短距離の天才的な走者、吉岡隆徳は入賞した五輪100メートル決勝のレースを、自らの心中や他選手の動きを含めて、こま送りのように克明に語れたという

▼スタートの集中力がすごかった人だ。位置についてから、一秒八までは緊張を保っていたが、これが二秒にもなると、眠けにおそわれて、あくびが出たそうだ(保阪正康著『一〇〇メートルに命を賭けた男たち』)

▼普通の人にはなんでもない一瞬に、長い時間をみる。百分の一秒を削るため全力を注ぐ一流走者の世界には、常人とは別の時間が流れていようか

▼サニブラウン・ハキーム選手が、100メートルで日本新記録となる9秒97をマークした。こまをとばすような、若者の成長の速さに驚かされる。先人たちとも、また次元の異なる時間軸に生きているようでもある

▼少し前なら、夢のように思えたタイムである。伊東浩司選手が10秒00で走り、桐生祥秀(よしひで)選手が9秒98で10秒のかべを破るのに、二十年近くかかっている。サニブラウン選手は二十歳にして、すでに二度目の9秒台だ。ピークは、まだまだ先であろう

▼ごく短い時間を表す「刹那(せつな)」は、仏教由来の言葉だ。意識せずに過ぎ去るが、説話などでは、物心両面さまざまな現象が、この刹那に起きる。七十五分の一秒を表すという計算もある。もうひと刹那いけそうにも思える将来性だ。


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