学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)(平成31年3月18日)を紹介します。
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学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)
本文を紹介します。
1.勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方の推進
(1)勤務時間管理の徹底と勤務時間の上限に関するガイドラインに係る取組
① 労働安全衛生法の改正により,校長や服務監督権者である教育委員会に求められる勤務時間管理の責務が改めて明確化されたことを踏まえ,教職員の勤務時間管理を徹底すること。勤務時間管理に当たっては,事務負担が極力かからないよう,服務監督権者である教育委員会は,自己申告方式ではなく,ICTの活用やタイムカードなどにより勤務時間を客観的に把握し,集計するシステムを直ちに構築するよう努めること。
なお,タイムカードの設置等,教師の勤務時間の把握等に当たっては,簡素なタイムレコーダーの設置に限らず,「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022 年度)」に基づき統合型校務支援システムを整備する際に勤務時間を管理するシステムとの連携や一体的な運用を行うなど,効果的な地方財政措置の活用が考えられ,文部科学省としても今後,全国市長会や全国町村会等にその活用を呼びかける予定であり,服務監督権者である教育委員会においては,これを前提に,首長部局とも連携しつつ,必要な措置を講ずること。
② 勤務時間管理に関して,文部科学省が1月 25 日に策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」に係る取組について,「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの策定について(通知)」(平成 31 年1月 25 日付け 30 文科初第 1424 号文部科学省初等中等教育局長通知) (別添2参照)を踏まえた取組を進めること。
なお,当該ガイドラインについては,その実効性を高めるため,答申において「文部科学省は,その根拠を法令上規定するなどの工夫を図り,学校現場で確実に遵守されるよう」取り組むべきとされていることを踏まえ,今後,文部科学省として更に検討を続けていくこととしており,当該ガイドラインの根拠が法令上規定された場合には,各地方公共団体においても,所管内の公立学校の教師の勤務時間の上限に関する方針等を条例や規則等で根拠づけることが考えられることから,各教育委員会においては,この点にも留意して取組を進めること。
(2)適正な勤務時間の設定
① 児童生徒等の登下校時刻や,部活動,学校の諸会議等については,教職員が適正な時間に休憩時間を確保できるようにすることを含め,教職員の勤務時間を考慮した時間設定を行うこと。特に登下校時刻については,文部科学省が実施した平成 28 年度教員勤務実態調査において,小中学校の教師は正規の勤務開始時刻よりも平均で 45 分程度早く出勤していることが明らかとなっているが,これを一年間で合計すると約 150 時間にも上り,教師の所定の勤務時間を意識した登下校時刻の設定が急務であることから,適切に設定して保護者に周知すること。部活動については,スポーツ庁が作成した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」及び文化庁が作成した「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を踏まえた適切な活動時間や休養日の設定を行うこと。
② 「超勤4項目」以外の業務について,早朝や夜間等,通常の勤務時間以外の時間帯にやむを得ず命じざるを得ない場合には,服務監督権者は,正規の勤務時間の割り振りを適正に行うなどの措置を講ずるよう徹底すること。
③ 教職員が確実に休日を確保できるよう,例えば,各地方公共団体の条例に基づく週休日の振替の期間を長期休業期間にかからしめるようにするといった工夫や,長期休業期間における一定期間の学校閉庁日の設定などの工夫を行うこと。
④ 非常災害の場合や児童生徒等の指導に関し緊急の必要性がある場合を除き,教師が保護者や外部からの問合せ等への対応を理由に時間外勤務をすることのないよう,緊急時の連絡に支障が生じないように教育委員会事務局等への連絡方法を確保した上で,留守番電話の設置やメールによる連絡対応等の体制整備に向けた方策を講ずること。
⑤ 適正な勤務時間の設定に係る取組について,各学校において学校運営協議会の場等を活用しながら保護者や地域の理解を得るとともに,各教育委員会は,地域学校協働本部やPTA等の協力も得ながら,そのために必要な支援を行うこと。
(3)労働安全衛生管理の徹底
① 労働安全衛生法により義務付けられている労働安全衛生管理体制の未整備は法令違反であり,未整備の学校が域内に存在する場合,学校の設置者は速やかに法令上求められている体制の整備を行う責務があることを踏まえ,必要な措置を行うこと。また,答申において,法令上の義務が課されていない学校においても,学校の設置者は可能な限り法令上の義務が課されている学校に準じた労働安全衛生管理体制の充実に努めることとされていることを踏まえ,各教育委員会は適切な措置を行うこと。
② 労働安全衛生法に定めるいわゆるストレスチェックについて,常時使用する教職員が 50 人未満の規模の学校においては努力義務とされているが,学校の規模にかかわらず,全ての学校において適切に実施されるよう取り組み,メンタル不調の未然防止に努めること。なお,今後,文部科学省において,全ての学校において適切にストレスチェックが実施されるよう教育委員会の実態を調査し,市町村ごとにその実施状況を公表する予定であること。
③ 上記のほか,学校の労働安全衛生管理の充実に当たっては,労働安全衛生管理の充実に係る教育委員会の施策例,公立学校共済組合が実施している電話相談窓口等に関する資料と併せて別途通知を発出する予定であるとともに,教育委員会と医師会等との連携が一層図られるよう,日本医師会に対しても引き続きの協力を依頼する予定としており,これを踏まえて適切に対応されたいこと。
(4)研修・人事評価等を活用した教職員の意識改革及び学校評価等
① 各教育委員会においては,管理職の育成に当たって,教職員の組織管理や勤務時間(教師については,文部科学省が策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」における在校等時間)の管理,労働安全衛生管理等をはじめとしたマネジメント能力をこれまで以上に重視すること。管理職の登用等の際には,次代を担う児童生徒等にとって何を優先すべきかを見定め,時間を最も効果的に配分し,可能な限り短い在校等時間で教育の目標を達成する成果を上げられるかどうかの能力や働き方改革への取組状況を適正に評価するとともに,そのマネジメント能力を高めていくため,働き方に関する研修の充実を図り,学校の教職員の働き方を変えていく意識を強く持たせること。
② 管理職以外も含めた全ての教職員に勤務時間を意識した働き方を浸透させるため,教員研修施設等において実施される校外研修の精選やオンラインによる研修の実施など,学校や教師に過度な負担にならないよう必要な体制を整えるなどの配慮を行いつつ,各種研修等に学校における働き方改革の目的や勤務時間を意識した働き方等に関する講義・演習を取り入れるなど,必要な研修を実施すること。
③ 学校の経営方針等において,時間配分に当たって優先すべき業務を示すとともに,教職員の働き方に関する視点を盛り込み,管理職がその目標・方針に沿って学校経営を行う意識を持つよう所管の学校に対して指導すること。また,学校の教職員一人一人が業務改善の意識を持つために,人事評価について,働き方も含めた目指すべき教師の姿を提示しつつ,一つ一つの業務について在校等時間という観点からより効果的・効率的に進めることにも配慮すること。
④ 学校評価の重点的な評価項目の一つとして,業務改善や教職員の働き方に関する項目を明確に位置付け,学校評価のプロセスを積極的に活用していくこととともに,学校評価と連動した業務改善の点検・評価の取組を推進することについて,所管の学校に対して指導すること。また,教育委員会が策定する業務改善方針・計画や,実施する業務改善の取組について,どれだけ長時間勤務を削減したかという実効性の観点から,教育委員会の自己点検・評価の中で取り上げること。
2.学校及び教師が担う業務の明確化・適正化
(1)基本的な考え方
学校における働き方改革を確実に進めるためには,都道府県教育委員会と市町村教育委員会が,それぞれの役割についてこれまで以上に本気で取り組むことが必要である。特に,服務監督権者である教育委員会においては,学校を支援する立場から,教育委員会の職員一人一人が学校における働き方改革の必要性を認識した上で,教育委員会として域内の学校における働き方改革に係る方針・計画等を示し,自ら学校現場に課している業務負担を見直すこと。また,学校及び教師が担う業務の明確化・適正化に当たっては,文部科学省はウェブサイト(参考URL参照)に動画を掲載するなど,何が教師本来の役割であるかのメッセージを社会全体に対して発信していくこととしており,服務監督権者である教育委員会においては,こうしたメッセージも活用しながら,地域社会と学校の連携の起点・つなぎ役として前面に立って,所管の学校において何を重視し,どのように時間配分を行うかについて地域社会に理解されるような取組を積極的に行い,学校に課されている過度な負担を軽減することに尽力することが求められること。
業務の役割分担を進めるに当たっては,学校運営協議会等の場において,保護者や地域住民等の理解・協力を得ながら学校運営を行うことができるよう議論を深め,適切な役割分担を進めること。また,文部科学省の実施する専門スタッフ等の配置に係る支援や,地域学校協働活動等への支援も活用しつつ,地方公共団体や教育委員会が,学校以外で業務を担う受皿を整備し,そこでこれまでの学校が担ってきた機能を十分果たすことができるよう特に留意すべきであること。
(2)業務の役割分担・適正化のために教育委員会等が取り組むべき方策
① 域内の学校における働き方改革に係る方針・計画等を策定するに当たっては,調査・依頼事項を含め,教育委員会が課している業務の内容を精査した上で業務量の削減に関する数値目標(KPI)を決めるなど明確な業務改善目標を定め,業務改善の取組を促進し,フォローアップすることで,業務改善のPDCAサイクルを構築すること。その際,数値目標を形式的に達成することを目的化させないよう,文部科学省が示す先進的な事例も参考にしながら,どのような取組がどの程度の削減につながるか丁寧に確認をしながら取組を進めること。
また,各学校でデータ・資料の取扱いや様式をはじめとした業務実施に当たる統一的な方針を示すこと。
② 現在各学校が担っている業務や今後発生する業務について,服務監督権者である教育委員会においては,教師が専門性を発揮できる業務であるか否か,児童生徒等の生命・安全に関わる業務であるか否かといった観点から,中心となる担い手を学校・教師以外の者に積極的に移行していくという視点に立って,その業務が㋐学校以外が担うべき業務,㋑学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務,㋒教師の業務のいずれであるかを仕分けること。㋐については,本来教育委員会が担うべき業務について責任を持って対応するとともに,それ以外の業務については,本来担うべき主体(家庭,地域住民等)の自立的な対応を原則としつつ必要に応じて他の主体に対応を要請し,㋑については教師以外の担い手を確保し,㋒についてはスクラップ・アンド・ビルドを原則とすることで,学校・教師に課されている過度な負担を軽減すること。そもそもの必要性が低下し,慣習的に行われている業務は,業務の優先順位をつける中で思い切って廃止していくこと。この際,文部科学省からのメッセージ(別添3-1~3-4参照)を適宜活用されたいこと。
③ 答申の「別紙2」 (別添4参照)において,これまで学校・教師が担ってきたの業務の在り方に関する考え方が示されたところであり,文部科学省としては,「別紙2」において「文部科学省に求める取組」とされた事項について,積極的に対応していくこととしている。各教育委員会においては, 「別紙2」で示された考え方に基づき,文部科学省の取組を参考としつつ,14 の業務の役割分担・適正化のために必要な取組を実施すること。その際,特に以下の事項について留意すること。
ア 地域ボランティアとの連絡調整
教育委員会においては,学校教育担当と社会教育担当が連携を深め,双方が学校と地域の連携・協働の重要性を認識するとともに,地域住民等と学校との情報共有や,地域学校協働活動を行う地域住民等に対する助言や援助を行う地域学校協働活動推進員の委嘱(社会教育法第9条の7に規定)等により,学校と地域ボランティアとの円滑かつ効果的な連絡調整を推進すること。
また,地域連携担当教職員について,学校における地域連携の窓口として,校務分掌上位置付けるよう促進し,学校管理規則や標準職務例に規定すること。
イ 調査・統計等への回答等
教育委員会による学校への調査・照会について,調査の対象・頻度・時期・内容・様式等の精査や,調査項目の工夫による複数の調査の一元化を行うこと。また,首長部局において学校を対象とした調査を行う場合についても,調査項目の重複排除等,報告者負担の軽減に向けた不断の見直しを行うよう配慮を働きかけるとともに,調査結果が調査対象校に共有されるよう取組を進めること。
首長部局や地域の研究機関,民間団体が実施する学校宛ての調査や出展依頼,配布依頼等への対応業務を軽減する観点から,当該団体等に対して,教育委員会経由での連絡や学校によらない児童生徒等への周知方法の検討などの協力を要請すること。また,民間団体等からの依頼等について,教育委員会から学校に連絡する際は,真に効果的で必要なものに精選すること。
ウ 部活動
部活動に過度に注力してしまう教師も存在するところであり,教師の側の意識改革を行うため,採用や人事配置等においては,質の高い授業を行う能力や生徒指導に関する知見や経験等を評価し,教師の部活動の指導力は飽くまでその付随的なものとして位置づけるよう留意すること。
一部の保護者による部活動への過度の期待が見られることも踏まえ,高等学校等の入学者選抜における部活動に対する評価の在り方の見直し等に取り組むこと。
文部科学省が,公益財団法人日本中学校体育連盟等,学校の部活動が参加する大会等の主催者に対して,合同チームや学校と連携した地域団体等が大会等に参加できるような関係規定の整備を要請することとしていることを踏まえ,各教育委員会は,学校に設置する部活動の数について,生徒や教師の数,部活動指導員の参画状況を考慮して適正化するとともに,生徒がスポーツ・文化活動等を行う機会が失われることのないよう複数の学校による合同部活動や民間団体も含めた地域のクラブ等との連携等を積極的に進めること。
答申においては,学校や地域住民と意識共有を図りつつ,地域で部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め,環境を整えた上で,将来的には,部活動を学校単位から地域単位の取組にし,学校以外が担うことも積極的に進めることが提言されており,文部科学省の取組状況を踏まえつつ,各教育委員会においても検討を進めること。
エ 給食時の対応
給食指導においては,学校における食に関する指導の中核を担う栄養教諭がその役割を一層果たすことが求められることから,学級担任と栄養教諭との連携により,学級担任一人一人の負担を軽減すること。 また,ランチルームなどで複数学年が一斉に給食をとったり,教師の補助として地域人材等の参画・協力を得たりすることにより,教師一人一人の負担を軽減するための運営上の工夫を図ること。
学校給食における食物アレルギー対応については,事故防止を最優先とし,学校給食調理場の施設設備や人員等に鑑み,過度で複雑な対応は行わないこと。
こうした対応等について,児童生徒等や保護者に対し,理解を求めていくこと。
オ 学校行事等の準備・運営
学校行事の精選や内容の見直し,準備の簡素化を進めるとともに,地域や学校等の実情に応じて,地域行事と学校行事の合同開催等,行事の効果的・効率的な実施や,教育活動としての要素よりも地域の記念行事としての要素が大きい行事の地域行事への移行を検討すること。
カリキュラム・マネジメントの観点から学校行事と教科等の関連性を見直し,従来学校行事とされてきた活動のうち,教科等の指導と位置づけることが適切なものについては,積極的に当該教科等の授業時数に含めること。
カ 進路指導
進学や就職の際に作成する書類について,校務支援システムの導入や様式の簡素化,都道府県や市町村における様式の統一化のほか,学校における集中処理期間の設定等,作業をより効果的に進める工夫を行うこと。
④ 「チームとしての学校」として,事務職員に加え,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー,特別支援教育を支援する外部専門家等の専門スタッフや,部活動指導員,スクール・サポート・スタッフやその他の外部人材について,役割分担を明確にした上で参画を進め,専門スタッフ等が学校に対して理解を深め,必要な資質・能力を備えることができるような研修等を実施するとともに,人員が確保できるよう所管の学校に対して必要な支援を行うよう努めること。
⑤ これまで学校が担ってきた業務について,域内で統一的に実施できるものについては,できる限り地方公共団体や教育委員会が担っていくこと。
また,児童生徒等の命と安全を守ることは学校教育の大前提であり,そのためには,保護者や地域,関係機関との間で法的な整理を踏まえた役割分担・連携を図ることが重要である。さらに,学校と保護者・地域住民の間でのトラブル等の課題に直面した際には学校に対する支援を教育委員会が積極的に進めることや,スクールロイヤー等の専門家の配置等により学校が法的アドバイスを受けられるようにすることなど,業務改善の観点からも,児童生徒等を取り巻く問題について各学校が組織的・継続的に対応し,教育活動に専念することができるような支援体制を構築するよう努めること。
⑥ 学校が直面してきた課題に関係があると思われる福祉部局・警察等関係機関との連携を促進するために教育委員会が主導して連携・協力体制を構築すること。
⑦ 保護者や地域住民等との適切な役割分担を進める観点からも,コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の導入や地域学校協働本部の整備により,学校が保護者や地域住民等と児童生徒等に育むべき資質・能力等の教育目標を共有し,その理解・協力を得ながら児童生徒等の資質・能力を高めるための学校運営を行うことができる体制を構築すること。
学校施設の地域開放に当たっては,地域の実態に応じ,コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)等の活用,教育委員会による一元的な管理運営,業務委託や指定管理者制度による民間事業者等も活用した官民連携等の工夫により,管理事務における学校や教師の負担軽減を図りつつ,地域の財産である学校施設の地域開放を推進すること。
⑧ 文部科学省において,初等中等教育局財務課が教職員の勤務時間や人的配置,業務改善の取組等の状況を踏まえて教職員の業務量を一元的に管理し,文部科学省内において今後学校へ新たな業務を付加するような制度改正等を行う際にはスクラップ・アンド・ビルドを原則とし,財務課との相談を経て実施することとしたことを参考に,教育委員会において,正規の勤務時間や人的配置等を踏まえ,教職員の業務量について俯瞰し,学校に対して新たな業務を付加する場合には積極的に調整を図る体制を構築すること。
⑨ 統合型校務支援システムの導入等のICT環境整備により,指導要録への記載など学習評価をはじめとした業務の電子化による効率化などを図るとともに,ICTを活用し,教材の共有化を積極的に進めること。その際,都道府県と域内の市町村との連携により,都道府県単位での統合型校務支援システムの共同調達・運用に向けた取組を進めること。このほか,様々な作業を効率的に行うため, 「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022 年度)」や「義務教育諸学校における教材整備計画(2012~2021 年度)」に基づき講じられた地方財政措置を活用し,ICT設備やコピー機等のOA機器の導入・更新を積極的に行うこと。
⑩ 教師の研修については,教師の資質能力の向上を図る上で大変重要であるが,都道府県と市町村の教育委員会間等で重複した内容の研修の整理・精選を行うとともに,研修報告書等についても,過度な負担とならないよう研修内容に応じて簡素化を図ること。また,文部科学省としても今後,夏季休業期間中の業務としての研修の精選がなされるよう通知の見直しに取り組むこととしており,各教育委員会においても,実施時期の調整など工夫をすることにより,教職員がまとまった休暇を取りやすい環境にも配慮すること。
⑪ 教育委員会の学校指定による先導的な研究や,各種研究会により事実上割り当てられたようなものなどの学校における研究事業については,その必要性について精査・精選するとともに,研究テーマの精選や書類の簡素化,報告書の形式を含めた成果発表の在り方の見直しなど,教師の負担面にも配慮すること。
(3)業務の役割分担・適正化のために各学校が取り組むべき方策
服務監督権者である教育委員会は,所管の学校に対して以下の取組を促し,必要な支援を行うこと。
・ 教職員一人一人が,自らの業務一つ一つについて,より効果的に行うことができないか,適正化の観点から見直すこと。
・ 教職員間で業務の在り方,見直しについて話し合う機会を設け,その話合いも参考にしながら,管理職は校内の業務の在り方の適正化を図ることができるような学校現場の雰囲気づくりに取り組むこと。
・ 各学校において,管理職が学校の重点目標や経営方針を明確化し,その目標達成のために真に必要な業務に注力できるようにすること。
・ 校長は,一部の教職員に業務が偏ることのないように校内の分担を見直すとともに,自らの権限と責任で,学校としての伝統だからとして続いているが,児童生徒等の学びや健全な発達の観点からは必ずしも適切とは言えない業務又は本来は家庭や地域社会が担うべき業務(例えば,夏休み期間の高温時のプール指導や,試合やコンクールに向けた勝利至上主義の下で早朝等所定の勤務時間外に行う練習の指導,内発的な研究意欲がないにもかかわらず形式的に続けられる研究指定校としての業務,地域や保護者の期待に過度に応えることを重視した運動会等の過剰な準備,本来家庭が担うべき休日の地域行事への参加の取りまとめや引率等)を大胆に削減すること。
・ 地域・保護者や福祉部局・警察等関係機関との情報共有を緊密に行いつつ,
適切な役割分担を図るよう努めること。
・ 保護者や地域住民,関係機関との学校経営方針をはじめとした情報共有を緊密に行い,適切な役割分担を図ること。地域・保護者,関係機関との連携に当たっては,コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の活用や地域学校協働活動を推進するとともに,文部科学省からのメッセージ(別添3-1~3-4参照)を適宜活用されたいこと。
・ 児童生徒等の命と安全を守る観点からも,保護者や地域,関係機関との間で法的な整理を踏まえた役割分担・連携を図ること。
(4)学校が作成する計画等の見直し
① 学校単位で作成される計画については,業務の適正化の観点や,計画の機能性を高めカリキュラム・マネジメントの充実を図る観点から,計画の統合も含め,計画の内容や学校の実情に応じて真に効果的な計画の作成を推進すること。
② 各教科等の指導計画や,支援が必要な児童生徒等のための個別の指導計画・教育支援計画等の有効な活用を図るためにも,計画の内容の見直しや学校の実情に応じて複数の教師が協力して作成し共有化するなどの取組を推進すること。
③ 教育委員会において,学校に作成を求めている計画等を網羅的に把握した上で,スクラップ・アンド・ビルドの視点に立ち,その計画の必要性を含め,整理・合理化をしていくとともに,教育委員会において計画等のひな形を提示する際には,過度に複雑なものとせず,PDCAサイクルの中で活用されやすいものになるよう取り組むこと。各学校に対し,新たな課題に対応した計画の作成を求める場合には,まずは既存の各種計画の見直しの範囲内での対応を基本とすること。
(5)教師の働き方改革に配慮した教育課程の編成・実施
各学校の指導体制を整えないまま標準授業時数を大きく上回った授業時数を実施することは教師の負担増加に直結するものであることから,このような教育課程の編成・実施は行うべきではない。仮に標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画している場合には,指導体制の整備状況を踏まえて精査して教師の時間外勤務の増加につながらないようにすることとし,教育課程の編成・実施に当たっても教師の働き方改革に十分配慮するよう各学校を指導すること。
なお,標準授業時数を踏まえて教育課程を編成したものの災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態により当該授業時数を下回った場合,下回ったことのみをもって学校教育法施行規則に反するとされるものではないこと。
3.学校の組織運営体制の在り方
(1)服務監督権者である教育委員会は,所管の学校に対して以下の取組を促し,必要な支援を行うこと。
① 各学校における委員会等の組織や担当について,法令で義務付けられたものを除き,類似の内容を扱う委員会等の合同設置や構成員の統一など,整理・統合を積極的に図り,会議の開催回数削減等の業務効率化を進めるとともに,校務分掌について,細分化を避け包括的・系統的なグループに分ける形で整理すること。
② 一部の教師に業務が集中し,その教師の長時間勤務が常態化することのないよう,全ての教師の能力向上に努めながら,業務の偏りを平準化するよう,状況に応じて校務分掌の在り方を適時柔軟に見直すこと。
③ 主幹教諭が組織のミドルリーダーとしての役割を発揮できるよう,主幹教諭の配置充実による学校マネジメント機能強化のための教員の配置状況を踏まえつつ,主幹教諭の授業時数等の軽減措置を講じること。現在,主幹教諭や指導教諭が配置されていない場合には,各主任等がミドルリーダーとして活躍するよう,単に持ち回りで分掌するのではなく,適材適所で主任を命じることを所管の学校の校長に対して徹底すること。
④ 特に長時間勤務の傾向がある若手教師について,学校組織全体の中で支えていくことが重要であり,若手教師が得意とする分野の能力を積極的に生かしながら,若手教師が一人で仕事を抱えていたり,悩んでいたりする場合には,管理職等がそれをいち早く把握し,すぐに声掛け等を行って,学校内外のリソースやネットワークを生かして優れた教材や指導案等の様々な蓄積を共有して支援するなど,若手教師が孤立することのないようにすること。
⑤ 総務・財務等に通じる専門職である事務職員は,その学校運営事務に関する専門性を生かしつつ,より広い視点に立って,学校運営について副校長・教頭とともに校長を補佐する役割を果たすことが期待されており,事務職員の校務運営への参画を一層拡大すること。
(2)各教育委員会においては,以下の取組を推進すること。
① 時間を軸にした総合的な学校組織マネジメントが確立されるよう,各都道府県教育委員会等は校長をはじめとした管理職について,教育公務員特例法第 22 条の3に規定する「校長及び教員としての資質の向上に関する指標」において,学校組織マネジメントの観点から求められる能力を明確化し,その能力の育成に努めるとともに,培われた能力が十分に発揮されているかどうか適確に評価し,評価を基に改善が行われるように取り組むこと。また,服務監督権者である教育委員会等は,学校が抱える課題を校長と共有し,必要な情報提供を行う等,校長とともに学校組織マネジメントの向上に取り組むこと。
② 学校単位を超えて地域で若手教師が悩みを共有できるよう,指導主事等が,指揮命令する立場としてというよりも支援する立場として,働き方改革の観点からアドバイスできるような機会を設けるなどの工夫を講じること。
③ 権限と責任をもった事務長をはじめとした事務職員の配置の充実を図るとともに,勤務の実情を踏まえつつ,事務職員に過度に業務が集中することにならないよう,庶務事務システムの導入や共同学校事務室の設置・活用などを推進し,事務職員の質の向上や学校事務の適正化と効率的な処理,事務機能の強化を進めること。学校に配属される事務職員の人材の採用と採用後の職能成長については,任命権者である各教育委員会が将来的な見通しを立てて,その在り方を検討し,事務職員の資質・能力,意欲の向上のための取組を進めること。
④ 学校が,多様な主体と連携したり必要な人材を確保したりするに当たり,当該関連業務のため副校長・教頭など一部の教職員に過度な負担がかかることがないよう,学校の求めに応じて人材を配置するための人材バンクを整えること。
4.学校における働き方改革の確実な実施のための仕組みの確立とフォローアップ等
今回の答申を踏まえた取組を一過性のものとすることのないよう,文部科学省においては,業務改善状況調査等を通じて,学校における働き方改革の進展状況を市区町村ごとに把握し,その結果を公表することとしている。各教育委員会においても,それぞれの地域での学校における働き方改革の方針を策定し,定期的に教育委員会会議や総合教育会議の議題として扱うことで,学校や教師がおかれている状況について首長をはじめとした行政部局とも共有して共通理解を深め,教育委員会組織内の体制整備や業務の精選を図りつつ,各学校の取組の進展状況を踏まえながら,随時必要な施策に取り組むこと。
【別 添 1】学校における働き方改革に関する文部科学省工程表
【別 添 2】「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの策定につ
いて(通知)」 (平成 31 年1月 25 日付け 30 文科初第 1424 号文部科学省初等中等教育局長通知)
【別添3-1】学校における働き方改革推進本部(第1回)柴山文部科学大臣冒頭挨拶及び「『家庭・地域の宝である子供たちの健やかな成長に向けて』~学校における働き方改革の実現~≪文部科学大臣メッセージ≫」
【別添3-2】大臣メッセージ「≪関係府省・関係団体の皆様へ≫学校における働き方改革の推進について~学校現場の負担軽減に御理解・御協力をお願いします~」
【別添3-3】大臣メッセージ「≪保護者・地域の皆さまへ≫~学校の働き方改革へのご理解・ご協力をお願いします~」
【別添3-4】大臣メッセージ「教育委員会・学校の教職員の皆様へ~学校における働き方改革の実現に向けて~」
【別 添 4】「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築の
ための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」(平成 31 年1月 25 日 中央教育審議会)別紙2
【参考URL】文部科学省ウェブサイト「学校における働き方改革について」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/index.htm
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学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)
本文を紹介します。
1.勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方の推進
(1)勤務時間管理の徹底と勤務時間の上限に関するガイドラインに係る取組
① 労働安全衛生法の改正により,校長や服務監督権者である教育委員会に求められる勤務時間管理の責務が改めて明確化されたことを踏まえ,教職員の勤務時間管理を徹底すること。勤務時間管理に当たっては,事務負担が極力かからないよう,服務監督権者である教育委員会は,自己申告方式ではなく,ICTの活用やタイムカードなどにより勤務時間を客観的に把握し,集計するシステムを直ちに構築するよう努めること。
なお,タイムカードの設置等,教師の勤務時間の把握等に当たっては,簡素なタイムレコーダーの設置に限らず,「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022 年度)」に基づき統合型校務支援システムを整備する際に勤務時間を管理するシステムとの連携や一体的な運用を行うなど,効果的な地方財政措置の活用が考えられ,文部科学省としても今後,全国市長会や全国町村会等にその活用を呼びかける予定であり,服務監督権者である教育委員会においては,これを前提に,首長部局とも連携しつつ,必要な措置を講ずること。
② 勤務時間管理に関して,文部科学省が1月 25 日に策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」に係る取組について,「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの策定について(通知)」(平成 31 年1月 25 日付け 30 文科初第 1424 号文部科学省初等中等教育局長通知) (別添2参照)を踏まえた取組を進めること。
なお,当該ガイドラインについては,その実効性を高めるため,答申において「文部科学省は,その根拠を法令上規定するなどの工夫を図り,学校現場で確実に遵守されるよう」取り組むべきとされていることを踏まえ,今後,文部科学省として更に検討を続けていくこととしており,当該ガイドラインの根拠が法令上規定された場合には,各地方公共団体においても,所管内の公立学校の教師の勤務時間の上限に関する方針等を条例や規則等で根拠づけることが考えられることから,各教育委員会においては,この点にも留意して取組を進めること。
(2)適正な勤務時間の設定
① 児童生徒等の登下校時刻や,部活動,学校の諸会議等については,教職員が適正な時間に休憩時間を確保できるようにすることを含め,教職員の勤務時間を考慮した時間設定を行うこと。特に登下校時刻については,文部科学省が実施した平成 28 年度教員勤務実態調査において,小中学校の教師は正規の勤務開始時刻よりも平均で 45 分程度早く出勤していることが明らかとなっているが,これを一年間で合計すると約 150 時間にも上り,教師の所定の勤務時間を意識した登下校時刻の設定が急務であることから,適切に設定して保護者に周知すること。部活動については,スポーツ庁が作成した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」及び文化庁が作成した「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を踏まえた適切な活動時間や休養日の設定を行うこと。
② 「超勤4項目」以外の業務について,早朝や夜間等,通常の勤務時間以外の時間帯にやむを得ず命じざるを得ない場合には,服務監督権者は,正規の勤務時間の割り振りを適正に行うなどの措置を講ずるよう徹底すること。
③ 教職員が確実に休日を確保できるよう,例えば,各地方公共団体の条例に基づく週休日の振替の期間を長期休業期間にかからしめるようにするといった工夫や,長期休業期間における一定期間の学校閉庁日の設定などの工夫を行うこと。
④ 非常災害の場合や児童生徒等の指導に関し緊急の必要性がある場合を除き,教師が保護者や外部からの問合せ等への対応を理由に時間外勤務をすることのないよう,緊急時の連絡に支障が生じないように教育委員会事務局等への連絡方法を確保した上で,留守番電話の設置やメールによる連絡対応等の体制整備に向けた方策を講ずること。
⑤ 適正な勤務時間の設定に係る取組について,各学校において学校運営協議会の場等を活用しながら保護者や地域の理解を得るとともに,各教育委員会は,地域学校協働本部やPTA等の協力も得ながら,そのために必要な支援を行うこと。
(3)労働安全衛生管理の徹底
① 労働安全衛生法により義務付けられている労働安全衛生管理体制の未整備は法令違反であり,未整備の学校が域内に存在する場合,学校の設置者は速やかに法令上求められている体制の整備を行う責務があることを踏まえ,必要な措置を行うこと。また,答申において,法令上の義務が課されていない学校においても,学校の設置者は可能な限り法令上の義務が課されている学校に準じた労働安全衛生管理体制の充実に努めることとされていることを踏まえ,各教育委員会は適切な措置を行うこと。
② 労働安全衛生法に定めるいわゆるストレスチェックについて,常時使用する教職員が 50 人未満の規模の学校においては努力義務とされているが,学校の規模にかかわらず,全ての学校において適切に実施されるよう取り組み,メンタル不調の未然防止に努めること。なお,今後,文部科学省において,全ての学校において適切にストレスチェックが実施されるよう教育委員会の実態を調査し,市町村ごとにその実施状況を公表する予定であること。
③ 上記のほか,学校の労働安全衛生管理の充実に当たっては,労働安全衛生管理の充実に係る教育委員会の施策例,公立学校共済組合が実施している電話相談窓口等に関する資料と併せて別途通知を発出する予定であるとともに,教育委員会と医師会等との連携が一層図られるよう,日本医師会に対しても引き続きの協力を依頼する予定としており,これを踏まえて適切に対応されたいこと。
(4)研修・人事評価等を活用した教職員の意識改革及び学校評価等
① 各教育委員会においては,管理職の育成に当たって,教職員の組織管理や勤務時間(教師については,文部科学省が策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」における在校等時間)の管理,労働安全衛生管理等をはじめとしたマネジメント能力をこれまで以上に重視すること。管理職の登用等の際には,次代を担う児童生徒等にとって何を優先すべきかを見定め,時間を最も効果的に配分し,可能な限り短い在校等時間で教育の目標を達成する成果を上げられるかどうかの能力や働き方改革への取組状況を適正に評価するとともに,そのマネジメント能力を高めていくため,働き方に関する研修の充実を図り,学校の教職員の働き方を変えていく意識を強く持たせること。
② 管理職以外も含めた全ての教職員に勤務時間を意識した働き方を浸透させるため,教員研修施設等において実施される校外研修の精選やオンラインによる研修の実施など,学校や教師に過度な負担にならないよう必要な体制を整えるなどの配慮を行いつつ,各種研修等に学校における働き方改革の目的や勤務時間を意識した働き方等に関する講義・演習を取り入れるなど,必要な研修を実施すること。
③ 学校の経営方針等において,時間配分に当たって優先すべき業務を示すとともに,教職員の働き方に関する視点を盛り込み,管理職がその目標・方針に沿って学校経営を行う意識を持つよう所管の学校に対して指導すること。また,学校の教職員一人一人が業務改善の意識を持つために,人事評価について,働き方も含めた目指すべき教師の姿を提示しつつ,一つ一つの業務について在校等時間という観点からより効果的・効率的に進めることにも配慮すること。
④ 学校評価の重点的な評価項目の一つとして,業務改善や教職員の働き方に関する項目を明確に位置付け,学校評価のプロセスを積極的に活用していくこととともに,学校評価と連動した業務改善の点検・評価の取組を推進することについて,所管の学校に対して指導すること。また,教育委員会が策定する業務改善方針・計画や,実施する業務改善の取組について,どれだけ長時間勤務を削減したかという実効性の観点から,教育委員会の自己点検・評価の中で取り上げること。
2.学校及び教師が担う業務の明確化・適正化
(1)基本的な考え方
学校における働き方改革を確実に進めるためには,都道府県教育委員会と市町村教育委員会が,それぞれの役割についてこれまで以上に本気で取り組むことが必要である。特に,服務監督権者である教育委員会においては,学校を支援する立場から,教育委員会の職員一人一人が学校における働き方改革の必要性を認識した上で,教育委員会として域内の学校における働き方改革に係る方針・計画等を示し,自ら学校現場に課している業務負担を見直すこと。また,学校及び教師が担う業務の明確化・適正化に当たっては,文部科学省はウェブサイト(参考URL参照)に動画を掲載するなど,何が教師本来の役割であるかのメッセージを社会全体に対して発信していくこととしており,服務監督権者である教育委員会においては,こうしたメッセージも活用しながら,地域社会と学校の連携の起点・つなぎ役として前面に立って,所管の学校において何を重視し,どのように時間配分を行うかについて地域社会に理解されるような取組を積極的に行い,学校に課されている過度な負担を軽減することに尽力することが求められること。
業務の役割分担を進めるに当たっては,学校運営協議会等の場において,保護者や地域住民等の理解・協力を得ながら学校運営を行うことができるよう議論を深め,適切な役割分担を進めること。また,文部科学省の実施する専門スタッフ等の配置に係る支援や,地域学校協働活動等への支援も活用しつつ,地方公共団体や教育委員会が,学校以外で業務を担う受皿を整備し,そこでこれまでの学校が担ってきた機能を十分果たすことができるよう特に留意すべきであること。
(2)業務の役割分担・適正化のために教育委員会等が取り組むべき方策
① 域内の学校における働き方改革に係る方針・計画等を策定するに当たっては,調査・依頼事項を含め,教育委員会が課している業務の内容を精査した上で業務量の削減に関する数値目標(KPI)を決めるなど明確な業務改善目標を定め,業務改善の取組を促進し,フォローアップすることで,業務改善のPDCAサイクルを構築すること。その際,数値目標を形式的に達成することを目的化させないよう,文部科学省が示す先進的な事例も参考にしながら,どのような取組がどの程度の削減につながるか丁寧に確認をしながら取組を進めること。
また,各学校でデータ・資料の取扱いや様式をはじめとした業務実施に当たる統一的な方針を示すこと。
② 現在各学校が担っている業務や今後発生する業務について,服務監督権者である教育委員会においては,教師が専門性を発揮できる業務であるか否か,児童生徒等の生命・安全に関わる業務であるか否かといった観点から,中心となる担い手を学校・教師以外の者に積極的に移行していくという視点に立って,その業務が㋐学校以外が担うべき業務,㋑学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務,㋒教師の業務のいずれであるかを仕分けること。㋐については,本来教育委員会が担うべき業務について責任を持って対応するとともに,それ以外の業務については,本来担うべき主体(家庭,地域住民等)の自立的な対応を原則としつつ必要に応じて他の主体に対応を要請し,㋑については教師以外の担い手を確保し,㋒についてはスクラップ・アンド・ビルドを原則とすることで,学校・教師に課されている過度な負担を軽減すること。そもそもの必要性が低下し,慣習的に行われている業務は,業務の優先順位をつける中で思い切って廃止していくこと。この際,文部科学省からのメッセージ(別添3-1~3-4参照)を適宜活用されたいこと。
③ 答申の「別紙2」 (別添4参照)において,これまで学校・教師が担ってきたの業務の在り方に関する考え方が示されたところであり,文部科学省としては,「別紙2」において「文部科学省に求める取組」とされた事項について,積極的に対応していくこととしている。各教育委員会においては, 「別紙2」で示された考え方に基づき,文部科学省の取組を参考としつつ,14 の業務の役割分担・適正化のために必要な取組を実施すること。その際,特に以下の事項について留意すること。
ア 地域ボランティアとの連絡調整
教育委員会においては,学校教育担当と社会教育担当が連携を深め,双方が学校と地域の連携・協働の重要性を認識するとともに,地域住民等と学校との情報共有や,地域学校協働活動を行う地域住民等に対する助言や援助を行う地域学校協働活動推進員の委嘱(社会教育法第9条の7に規定)等により,学校と地域ボランティアとの円滑かつ効果的な連絡調整を推進すること。
また,地域連携担当教職員について,学校における地域連携の窓口として,校務分掌上位置付けるよう促進し,学校管理規則や標準職務例に規定すること。
イ 調査・統計等への回答等
教育委員会による学校への調査・照会について,調査の対象・頻度・時期・内容・様式等の精査や,調査項目の工夫による複数の調査の一元化を行うこと。また,首長部局において学校を対象とした調査を行う場合についても,調査項目の重複排除等,報告者負担の軽減に向けた不断の見直しを行うよう配慮を働きかけるとともに,調査結果が調査対象校に共有されるよう取組を進めること。
首長部局や地域の研究機関,民間団体が実施する学校宛ての調査や出展依頼,配布依頼等への対応業務を軽減する観点から,当該団体等に対して,教育委員会経由での連絡や学校によらない児童生徒等への周知方法の検討などの協力を要請すること。また,民間団体等からの依頼等について,教育委員会から学校に連絡する際は,真に効果的で必要なものに精選すること。
ウ 部活動
部活動に過度に注力してしまう教師も存在するところであり,教師の側の意識改革を行うため,採用や人事配置等においては,質の高い授業を行う能力や生徒指導に関する知見や経験等を評価し,教師の部活動の指導力は飽くまでその付随的なものとして位置づけるよう留意すること。
一部の保護者による部活動への過度の期待が見られることも踏まえ,高等学校等の入学者選抜における部活動に対する評価の在り方の見直し等に取り組むこと。
文部科学省が,公益財団法人日本中学校体育連盟等,学校の部活動が参加する大会等の主催者に対して,合同チームや学校と連携した地域団体等が大会等に参加できるような関係規定の整備を要請することとしていることを踏まえ,各教育委員会は,学校に設置する部活動の数について,生徒や教師の数,部活動指導員の参画状況を考慮して適正化するとともに,生徒がスポーツ・文化活動等を行う機会が失われることのないよう複数の学校による合同部活動や民間団体も含めた地域のクラブ等との連携等を積極的に進めること。
答申においては,学校や地域住民と意識共有を図りつつ,地域で部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め,環境を整えた上で,将来的には,部活動を学校単位から地域単位の取組にし,学校以外が担うことも積極的に進めることが提言されており,文部科学省の取組状況を踏まえつつ,各教育委員会においても検討を進めること。
エ 給食時の対応
給食指導においては,学校における食に関する指導の中核を担う栄養教諭がその役割を一層果たすことが求められることから,学級担任と栄養教諭との連携により,学級担任一人一人の負担を軽減すること。 また,ランチルームなどで複数学年が一斉に給食をとったり,教師の補助として地域人材等の参画・協力を得たりすることにより,教師一人一人の負担を軽減するための運営上の工夫を図ること。
学校給食における食物アレルギー対応については,事故防止を最優先とし,学校給食調理場の施設設備や人員等に鑑み,過度で複雑な対応は行わないこと。
こうした対応等について,児童生徒等や保護者に対し,理解を求めていくこと。
オ 学校行事等の準備・運営
学校行事の精選や内容の見直し,準備の簡素化を進めるとともに,地域や学校等の実情に応じて,地域行事と学校行事の合同開催等,行事の効果的・効率的な実施や,教育活動としての要素よりも地域の記念行事としての要素が大きい行事の地域行事への移行を検討すること。
カリキュラム・マネジメントの観点から学校行事と教科等の関連性を見直し,従来学校行事とされてきた活動のうち,教科等の指導と位置づけることが適切なものについては,積極的に当該教科等の授業時数に含めること。
カ 進路指導
進学や就職の際に作成する書類について,校務支援システムの導入や様式の簡素化,都道府県や市町村における様式の統一化のほか,学校における集中処理期間の設定等,作業をより効果的に進める工夫を行うこと。
④ 「チームとしての学校」として,事務職員に加え,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー,特別支援教育を支援する外部専門家等の専門スタッフや,部活動指導員,スクール・サポート・スタッフやその他の外部人材について,役割分担を明確にした上で参画を進め,専門スタッフ等が学校に対して理解を深め,必要な資質・能力を備えることができるような研修等を実施するとともに,人員が確保できるよう所管の学校に対して必要な支援を行うよう努めること。
⑤ これまで学校が担ってきた業務について,域内で統一的に実施できるものについては,できる限り地方公共団体や教育委員会が担っていくこと。
また,児童生徒等の命と安全を守ることは学校教育の大前提であり,そのためには,保護者や地域,関係機関との間で法的な整理を踏まえた役割分担・連携を図ることが重要である。さらに,学校と保護者・地域住民の間でのトラブル等の課題に直面した際には学校に対する支援を教育委員会が積極的に進めることや,スクールロイヤー等の専門家の配置等により学校が法的アドバイスを受けられるようにすることなど,業務改善の観点からも,児童生徒等を取り巻く問題について各学校が組織的・継続的に対応し,教育活動に専念することができるような支援体制を構築するよう努めること。
⑥ 学校が直面してきた課題に関係があると思われる福祉部局・警察等関係機関との連携を促進するために教育委員会が主導して連携・協力体制を構築すること。
⑦ 保護者や地域住民等との適切な役割分担を進める観点からも,コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の導入や地域学校協働本部の整備により,学校が保護者や地域住民等と児童生徒等に育むべき資質・能力等の教育目標を共有し,その理解・協力を得ながら児童生徒等の資質・能力を高めるための学校運営を行うことができる体制を構築すること。
学校施設の地域開放に当たっては,地域の実態に応じ,コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)等の活用,教育委員会による一元的な管理運営,業務委託や指定管理者制度による民間事業者等も活用した官民連携等の工夫により,管理事務における学校や教師の負担軽減を図りつつ,地域の財産である学校施設の地域開放を推進すること。
⑧ 文部科学省において,初等中等教育局財務課が教職員の勤務時間や人的配置,業務改善の取組等の状況を踏まえて教職員の業務量を一元的に管理し,文部科学省内において今後学校へ新たな業務を付加するような制度改正等を行う際にはスクラップ・アンド・ビルドを原則とし,財務課との相談を経て実施することとしたことを参考に,教育委員会において,正規の勤務時間や人的配置等を踏まえ,教職員の業務量について俯瞰し,学校に対して新たな業務を付加する場合には積極的に調整を図る体制を構築すること。
⑨ 統合型校務支援システムの導入等のICT環境整備により,指導要録への記載など学習評価をはじめとした業務の電子化による効率化などを図るとともに,ICTを活用し,教材の共有化を積極的に進めること。その際,都道府県と域内の市町村との連携により,都道府県単位での統合型校務支援システムの共同調達・運用に向けた取組を進めること。このほか,様々な作業を効率的に行うため, 「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022 年度)」や「義務教育諸学校における教材整備計画(2012~2021 年度)」に基づき講じられた地方財政措置を活用し,ICT設備やコピー機等のOA機器の導入・更新を積極的に行うこと。
⑩ 教師の研修については,教師の資質能力の向上を図る上で大変重要であるが,都道府県と市町村の教育委員会間等で重複した内容の研修の整理・精選を行うとともに,研修報告書等についても,過度な負担とならないよう研修内容に応じて簡素化を図ること。また,文部科学省としても今後,夏季休業期間中の業務としての研修の精選がなされるよう通知の見直しに取り組むこととしており,各教育委員会においても,実施時期の調整など工夫をすることにより,教職員がまとまった休暇を取りやすい環境にも配慮すること。
⑪ 教育委員会の学校指定による先導的な研究や,各種研究会により事実上割り当てられたようなものなどの学校における研究事業については,その必要性について精査・精選するとともに,研究テーマの精選や書類の簡素化,報告書の形式を含めた成果発表の在り方の見直しなど,教師の負担面にも配慮すること。
(3)業務の役割分担・適正化のために各学校が取り組むべき方策
服務監督権者である教育委員会は,所管の学校に対して以下の取組を促し,必要な支援を行うこと。
・ 教職員一人一人が,自らの業務一つ一つについて,より効果的に行うことができないか,適正化の観点から見直すこと。
・ 教職員間で業務の在り方,見直しについて話し合う機会を設け,その話合いも参考にしながら,管理職は校内の業務の在り方の適正化を図ることができるような学校現場の雰囲気づくりに取り組むこと。
・ 各学校において,管理職が学校の重点目標や経営方針を明確化し,その目標達成のために真に必要な業務に注力できるようにすること。
・ 校長は,一部の教職員に業務が偏ることのないように校内の分担を見直すとともに,自らの権限と責任で,学校としての伝統だからとして続いているが,児童生徒等の学びや健全な発達の観点からは必ずしも適切とは言えない業務又は本来は家庭や地域社会が担うべき業務(例えば,夏休み期間の高温時のプール指導や,試合やコンクールに向けた勝利至上主義の下で早朝等所定の勤務時間外に行う練習の指導,内発的な研究意欲がないにもかかわらず形式的に続けられる研究指定校としての業務,地域や保護者の期待に過度に応えることを重視した運動会等の過剰な準備,本来家庭が担うべき休日の地域行事への参加の取りまとめや引率等)を大胆に削減すること。
・ 地域・保護者や福祉部局・警察等関係機関との情報共有を緊密に行いつつ,
適切な役割分担を図るよう努めること。
・ 保護者や地域住民,関係機関との学校経営方針をはじめとした情報共有を緊密に行い,適切な役割分担を図ること。地域・保護者,関係機関との連携に当たっては,コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の活用や地域学校協働活動を推進するとともに,文部科学省からのメッセージ(別添3-1~3-4参照)を適宜活用されたいこと。
・ 児童生徒等の命と安全を守る観点からも,保護者や地域,関係機関との間で法的な整理を踏まえた役割分担・連携を図ること。
(4)学校が作成する計画等の見直し
① 学校単位で作成される計画については,業務の適正化の観点や,計画の機能性を高めカリキュラム・マネジメントの充実を図る観点から,計画の統合も含め,計画の内容や学校の実情に応じて真に効果的な計画の作成を推進すること。
② 各教科等の指導計画や,支援が必要な児童生徒等のための個別の指導計画・教育支援計画等の有効な活用を図るためにも,計画の内容の見直しや学校の実情に応じて複数の教師が協力して作成し共有化するなどの取組を推進すること。
③ 教育委員会において,学校に作成を求めている計画等を網羅的に把握した上で,スクラップ・アンド・ビルドの視点に立ち,その計画の必要性を含め,整理・合理化をしていくとともに,教育委員会において計画等のひな形を提示する際には,過度に複雑なものとせず,PDCAサイクルの中で活用されやすいものになるよう取り組むこと。各学校に対し,新たな課題に対応した計画の作成を求める場合には,まずは既存の各種計画の見直しの範囲内での対応を基本とすること。
(5)教師の働き方改革に配慮した教育課程の編成・実施
各学校の指導体制を整えないまま標準授業時数を大きく上回った授業時数を実施することは教師の負担増加に直結するものであることから,このような教育課程の編成・実施は行うべきではない。仮に標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画している場合には,指導体制の整備状況を踏まえて精査して教師の時間外勤務の増加につながらないようにすることとし,教育課程の編成・実施に当たっても教師の働き方改革に十分配慮するよう各学校を指導すること。
なお,標準授業時数を踏まえて教育課程を編成したものの災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態により当該授業時数を下回った場合,下回ったことのみをもって学校教育法施行規則に反するとされるものではないこと。
3.学校の組織運営体制の在り方
(1)服務監督権者である教育委員会は,所管の学校に対して以下の取組を促し,必要な支援を行うこと。
① 各学校における委員会等の組織や担当について,法令で義務付けられたものを除き,類似の内容を扱う委員会等の合同設置や構成員の統一など,整理・統合を積極的に図り,会議の開催回数削減等の業務効率化を進めるとともに,校務分掌について,細分化を避け包括的・系統的なグループに分ける形で整理すること。
② 一部の教師に業務が集中し,その教師の長時間勤務が常態化することのないよう,全ての教師の能力向上に努めながら,業務の偏りを平準化するよう,状況に応じて校務分掌の在り方を適時柔軟に見直すこと。
③ 主幹教諭が組織のミドルリーダーとしての役割を発揮できるよう,主幹教諭の配置充実による学校マネジメント機能強化のための教員の配置状況を踏まえつつ,主幹教諭の授業時数等の軽減措置を講じること。現在,主幹教諭や指導教諭が配置されていない場合には,各主任等がミドルリーダーとして活躍するよう,単に持ち回りで分掌するのではなく,適材適所で主任を命じることを所管の学校の校長に対して徹底すること。
④ 特に長時間勤務の傾向がある若手教師について,学校組織全体の中で支えていくことが重要であり,若手教師が得意とする分野の能力を積極的に生かしながら,若手教師が一人で仕事を抱えていたり,悩んでいたりする場合には,管理職等がそれをいち早く把握し,すぐに声掛け等を行って,学校内外のリソースやネットワークを生かして優れた教材や指導案等の様々な蓄積を共有して支援するなど,若手教師が孤立することのないようにすること。
⑤ 総務・財務等に通じる専門職である事務職員は,その学校運営事務に関する専門性を生かしつつ,より広い視点に立って,学校運営について副校長・教頭とともに校長を補佐する役割を果たすことが期待されており,事務職員の校務運営への参画を一層拡大すること。
(2)各教育委員会においては,以下の取組を推進すること。
① 時間を軸にした総合的な学校組織マネジメントが確立されるよう,各都道府県教育委員会等は校長をはじめとした管理職について,教育公務員特例法第 22 条の3に規定する「校長及び教員としての資質の向上に関する指標」において,学校組織マネジメントの観点から求められる能力を明確化し,その能力の育成に努めるとともに,培われた能力が十分に発揮されているかどうか適確に評価し,評価を基に改善が行われるように取り組むこと。また,服務監督権者である教育委員会等は,学校が抱える課題を校長と共有し,必要な情報提供を行う等,校長とともに学校組織マネジメントの向上に取り組むこと。
② 学校単位を超えて地域で若手教師が悩みを共有できるよう,指導主事等が,指揮命令する立場としてというよりも支援する立場として,働き方改革の観点からアドバイスできるような機会を設けるなどの工夫を講じること。
③ 権限と責任をもった事務長をはじめとした事務職員の配置の充実を図るとともに,勤務の実情を踏まえつつ,事務職員に過度に業務が集中することにならないよう,庶務事務システムの導入や共同学校事務室の設置・活用などを推進し,事務職員の質の向上や学校事務の適正化と効率的な処理,事務機能の強化を進めること。学校に配属される事務職員の人材の採用と採用後の職能成長については,任命権者である各教育委員会が将来的な見通しを立てて,その在り方を検討し,事務職員の資質・能力,意欲の向上のための取組を進めること。
④ 学校が,多様な主体と連携したり必要な人材を確保したりするに当たり,当該関連業務のため副校長・教頭など一部の教職員に過度な負担がかかることがないよう,学校の求めに応じて人材を配置するための人材バンクを整えること。
4.学校における働き方改革の確実な実施のための仕組みの確立とフォローアップ等
今回の答申を踏まえた取組を一過性のものとすることのないよう,文部科学省においては,業務改善状況調査等を通じて,学校における働き方改革の進展状況を市区町村ごとに把握し,その結果を公表することとしている。各教育委員会においても,それぞれの地域での学校における働き方改革の方針を策定し,定期的に教育委員会会議や総合教育会議の議題として扱うことで,学校や教師がおかれている状況について首長をはじめとした行政部局とも共有して共通理解を深め,教育委員会組織内の体制整備や業務の精選を図りつつ,各学校の取組の進展状況を踏まえながら,随時必要な施策に取り組むこと。
【別 添 1】学校における働き方改革に関する文部科学省工程表
【別 添 2】「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの策定につ
いて(通知)」 (平成 31 年1月 25 日付け 30 文科初第 1424 号文部科学省初等中等教育局長通知)
【別添3-1】学校における働き方改革推進本部(第1回)柴山文部科学大臣冒頭挨拶及び「『家庭・地域の宝である子供たちの健やかな成長に向けて』~学校における働き方改革の実現~≪文部科学大臣メッセージ≫」
【別添3-2】大臣メッセージ「≪関係府省・関係団体の皆様へ≫学校における働き方改革の推進について~学校現場の負担軽減に御理解・御協力をお願いします~」
【別添3-3】大臣メッセージ「≪保護者・地域の皆さまへ≫~学校の働き方改革へのご理解・ご協力をお願いします~」
【別添3-4】大臣メッセージ「教育委員会・学校の教職員の皆様へ~学校における働き方改革の実現に向けて~」
【別 添 4】「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築の
ための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」(平成 31 年1月 25 日 中央教育審議会)別紙2
【参考URL】文部科学省ウェブサイト「学校における働き方改革について」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/index.htm