今朝の朝日新聞の社説にあった、補助教材の適正な取扱いについての通知を見てみましょう。
昭和39年には次の通知が出ています。
文初初第一二七号
昭和三九年三月七日
各都道府県教育委員会あて
文部省初等中等教育局長通達
学校における補助教材の取り扱いなどについて
1 小学校、中学校、高等学校および特殊教育諸学校において、児童生徒が使用する教科書以外の図書その他の教材(学習帳、問題帳、練習帳、解説書その他の学習参考書を含む。以下「補助教材」という。)について、教育委員会に対する事前の届け出でまたは承認に関する手続き等を整備し、その厳正な運用を図り、適切でない補助教材が使用されることのないようあらかじめじゆうぶん指導すること。
なお、都道府県教育委員会においては、指導主事の視察指導その他の機会を利用して、これら補助教材の使用の状況を調査し、適切な指導助言を行なうよう留意すること。
2 学習の評価は、学校の指導計画に基づいて、教師みずから適切な方法により行なうべきものであつて、安易に問題帳等で代用したりすることは、教育上望ましいものとは考えられないこと。まして問題帳等を使用して、その採点を外部の第三者に依頼するようなことは厳にいましめるべきことであること。
3 補助教材や学用品などを学校で取り扱う場合、教職員が業者から手数料、寄附など名目のいかんにかかわらず金品を受け入れることは教職員の服務の厳正を期するうえから望ましくない行為であり、またその場合学校として業者から金品などの寄附を受けることは適切でないと考えられるので、そのようなことのないよう指導の万全を期すること。
今ではきわめて当たり前の内容です。
1 学校で購入する副教材は、すべて事前に教育委員会に届けられています。
2 いわゆる市販テストというものです。今、市販テストで成績を付けることはありません。
3 これも今ではあり得ないでしょう。
これを受けて、昭和49年には次の通知が出ています。
文初小第四〇四号
昭和四九年九月三日
各都道府県教育委員会あて
文部省初等中等教育局長通達
学校における補助教材の適正な取扱いについて
学校における補助教材については、昭和三九年三月七日文初初第一二七号「学校における補助教材の取扱いなどについて」等によつてかねてからその適正なる取扱いについて御留意願つてきたところでありますが、なお最近補助教材で内容に不適切なものがあるとして父兄等から問題として指摘された事例もありますので、この際貴委員会におかれては、特に下記の点に留意の上、その一層適正な取扱いを期するよう貴管下の市町村教育委員会及び学校に対し指導の徹底方をお願いします。
記
1 学校における補助教材の選択に当たつては、その内容が教育基本法、学校教育法、学習指導要領等の趣旨に従い、かつ児童生徒の発達段階に即したものであるとともに、ことに政治や宗教について、特定の政党や宗派に偏つた思想、題材によつているなど不公正な立場のものでないよう十分留意すること。
2 教育委員会規則の定める補助教材の事前の届出又は承認に関する手続の励行に留意するとともに、補助教材の内容については、前記一の趣旨に照らし現に使用中のものも含め、学校及び教育委員会のいずれにおいても十分の審査検討を加えること。
3 都道府県教育委員会においては、指導主事の視察指導その他の機会を利用して補助教材の使用状況の適確なは握に努め、適切な指導助言を行うよう留意すること。
1 内容に言及しています。政治・宗教について、偏りのないことを求めています。当然ですね。
2 前回の1の徹底を求めています。
3 学校訪問等の視察の折に、指導助言することが加わりました。
続いて今回の通知です。
26文科初第1257号
平成27年3月4日
各都道府県教育委員会
各指定都市教育委員会
各都道府県知事 殿
附属学校を置く各国立大学法人学長
構造改革特別区域法第12条第1項
の認定を受けた地方公共団体の長
文部科学省初等中等教育局長
小松 親次郎
学校における補助教材の適正な取扱いについて(通知)
学校における補助教材については,昭和49年9月3日文初小第404号「学校における補助教材の適正な取扱いについて」等を踏まえ,適正な取扱いに努めていただいていると存じますが,最近一部の学校における適切とは言えない補助教材の使用の事例も指摘されています。
このため,その取扱いについての留意事項等を,改めて下記のとおり通知しますので,十分に御了知の上,適切に取り扱われるようお願いします。
また,各都道府県教育委員会におかれては,所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対して,各指定都市教育委員会におかれては,所管の学校に対して,各都道府県知事及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては,所轄の学校及び学校法人等に対して,附属学校を置く各国立大学法人学長におかれては,その管下の学校に対して,本通知の内容についての周知と必要な指導等について適切にお取り計らいくださいますようお願いします。
記
1.補助教材の使用について
(1)学校においては,文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならないが,教科用図書以外の図書その他の教材(補助教材)で,有益適切なものは,これを使用することができること(学校教育法第34条第2項,第49条,第62条,第70条,第82条)。
なお,補助教材には,一般に,市販,自作等を問わず,例えば,副読本,解説書,資料集,学習帳,問題集等のほか,プリント類,視聴覚教材,掛図,新聞等も含まれること。
(2)各学校においては,指導の効果を高めるため,地域や学校及び児童生徒の実態等に応じ,校長の責任の下,教育的見地からみて有益適切な補助教材を有効に活用することが重要であること。
2.補助教材の内容及び取扱いに関する留意事項について
(1)学校における補助教材の使用の検討に当たっては,その内容及び取扱いに関し,特に以下の点に十分留意すること。
・ 教育基本法,学校教育法,学習指導要領等の趣旨に従っていること。
・ その使用される学年の児童生徒の心身の発達の段階に即していること。
・ 多様な見方や考え方のできる事柄,未確定な事柄を取り上げる場合には,特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなど,特定の見方や考え方に偏った取扱いとならないこと。
(2)補助教材の購入に関して保護者等に経済的負担が生じる場合は,その負担が過重なものとならないよう留意すること。
(3)教育委員会は,所管の学校における補助教材の使用について,あらかじめ,教育委員会に届け出させ,又は教育委員会の承認を受けさせることとする定を設けるものとされており(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第33条第2項),この規定を適確に履行するとともに,必要に応じて補助教材の内容を確認するなど,各学校において補助教材が不適切に使用されないよう管理を行うこと。
ただし,上記の地方教育行政の組織及び運営に関する法律第33条第2項の趣旨は,補助教材の使用を全て事前の届出や承認にかからしめようとするものではなく,教育委員会において関与すべきものと判断したものについて,適切な措置をとるべきことを示したものであり,各学校における有益適切な補助教材の効果的使用を抑制することとならないよう,留意すること。
なお,教育委員会が届出,承認にかからしめていない補助教材についても,所管の学校において不適切に使用されている事実を確認した場合には,当該教育委員会は適切な措置をとること。
1(1)では、補助教材を定義づけています。「視聴覚教材」も含まれます。
2(1)には留意点が書かれています。
「特定の見方や考え方に偏った取扱いとならないこと」を求めています。
(3)では、補助教材は届け出が必要ですが、「補助教材の使用を全て事前の届出や承認にかからしめようとするものではなく」としています。
最後に、文中に出てきた、学校教育法 第34条第2項 を紹介します。
学校教育法 第34条第2項
第34条 小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。《改正》平11法160
2 前項の教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。
なお、第49条,第62条,第70条,第82条 は、第34条を中学校や高校等に準用するという内容です。
昭和39年には次の通知が出ています。
文初初第一二七号
昭和三九年三月七日
各都道府県教育委員会あて
文部省初等中等教育局長通達
学校における補助教材の取り扱いなどについて
1 小学校、中学校、高等学校および特殊教育諸学校において、児童生徒が使用する教科書以外の図書その他の教材(学習帳、問題帳、練習帳、解説書その他の学習参考書を含む。以下「補助教材」という。)について、教育委員会に対する事前の届け出でまたは承認に関する手続き等を整備し、その厳正な運用を図り、適切でない補助教材が使用されることのないようあらかじめじゆうぶん指導すること。
なお、都道府県教育委員会においては、指導主事の視察指導その他の機会を利用して、これら補助教材の使用の状況を調査し、適切な指導助言を行なうよう留意すること。
2 学習の評価は、学校の指導計画に基づいて、教師みずから適切な方法により行なうべきものであつて、安易に問題帳等で代用したりすることは、教育上望ましいものとは考えられないこと。まして問題帳等を使用して、その採点を外部の第三者に依頼するようなことは厳にいましめるべきことであること。
3 補助教材や学用品などを学校で取り扱う場合、教職員が業者から手数料、寄附など名目のいかんにかかわらず金品を受け入れることは教職員の服務の厳正を期するうえから望ましくない行為であり、またその場合学校として業者から金品などの寄附を受けることは適切でないと考えられるので、そのようなことのないよう指導の万全を期すること。
今ではきわめて当たり前の内容です。
1 学校で購入する副教材は、すべて事前に教育委員会に届けられています。
2 いわゆる市販テストというものです。今、市販テストで成績を付けることはありません。
3 これも今ではあり得ないでしょう。
これを受けて、昭和49年には次の通知が出ています。
文初小第四〇四号
昭和四九年九月三日
各都道府県教育委員会あて
文部省初等中等教育局長通達
学校における補助教材の適正な取扱いについて
学校における補助教材については、昭和三九年三月七日文初初第一二七号「学校における補助教材の取扱いなどについて」等によつてかねてからその適正なる取扱いについて御留意願つてきたところでありますが、なお最近補助教材で内容に不適切なものがあるとして父兄等から問題として指摘された事例もありますので、この際貴委員会におかれては、特に下記の点に留意の上、その一層適正な取扱いを期するよう貴管下の市町村教育委員会及び学校に対し指導の徹底方をお願いします。
記
1 学校における補助教材の選択に当たつては、その内容が教育基本法、学校教育法、学習指導要領等の趣旨に従い、かつ児童生徒の発達段階に即したものであるとともに、ことに政治や宗教について、特定の政党や宗派に偏つた思想、題材によつているなど不公正な立場のものでないよう十分留意すること。
2 教育委員会規則の定める補助教材の事前の届出又は承認に関する手続の励行に留意するとともに、補助教材の内容については、前記一の趣旨に照らし現に使用中のものも含め、学校及び教育委員会のいずれにおいても十分の審査検討を加えること。
3 都道府県教育委員会においては、指導主事の視察指導その他の機会を利用して補助教材の使用状況の適確なは握に努め、適切な指導助言を行うよう留意すること。
1 内容に言及しています。政治・宗教について、偏りのないことを求めています。当然ですね。
2 前回の1の徹底を求めています。
3 学校訪問等の視察の折に、指導助言することが加わりました。
続いて今回の通知です。
26文科初第1257号
平成27年3月4日
各都道府県教育委員会
各指定都市教育委員会
各都道府県知事 殿
附属学校を置く各国立大学法人学長
構造改革特別区域法第12条第1項
の認定を受けた地方公共団体の長
文部科学省初等中等教育局長
小松 親次郎
学校における補助教材の適正な取扱いについて(通知)
学校における補助教材については,昭和49年9月3日文初小第404号「学校における補助教材の適正な取扱いについて」等を踏まえ,適正な取扱いに努めていただいていると存じますが,最近一部の学校における適切とは言えない補助教材の使用の事例も指摘されています。
このため,その取扱いについての留意事項等を,改めて下記のとおり通知しますので,十分に御了知の上,適切に取り扱われるようお願いします。
また,各都道府県教育委員会におかれては,所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対して,各指定都市教育委員会におかれては,所管の学校に対して,各都道府県知事及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては,所轄の学校及び学校法人等に対して,附属学校を置く各国立大学法人学長におかれては,その管下の学校に対して,本通知の内容についての周知と必要な指導等について適切にお取り計らいくださいますようお願いします。
記
1.補助教材の使用について
(1)学校においては,文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならないが,教科用図書以外の図書その他の教材(補助教材)で,有益適切なものは,これを使用することができること(学校教育法第34条第2項,第49条,第62条,第70条,第82条)。
なお,補助教材には,一般に,市販,自作等を問わず,例えば,副読本,解説書,資料集,学習帳,問題集等のほか,プリント類,視聴覚教材,掛図,新聞等も含まれること。
(2)各学校においては,指導の効果を高めるため,地域や学校及び児童生徒の実態等に応じ,校長の責任の下,教育的見地からみて有益適切な補助教材を有効に活用することが重要であること。
2.補助教材の内容及び取扱いに関する留意事項について
(1)学校における補助教材の使用の検討に当たっては,その内容及び取扱いに関し,特に以下の点に十分留意すること。
・ 教育基本法,学校教育法,学習指導要領等の趣旨に従っていること。
・ その使用される学年の児童生徒の心身の発達の段階に即していること。
・ 多様な見方や考え方のできる事柄,未確定な事柄を取り上げる場合には,特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなど,特定の見方や考え方に偏った取扱いとならないこと。
(2)補助教材の購入に関して保護者等に経済的負担が生じる場合は,その負担が過重なものとならないよう留意すること。
(3)教育委員会は,所管の学校における補助教材の使用について,あらかじめ,教育委員会に届け出させ,又は教育委員会の承認を受けさせることとする定を設けるものとされており(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第33条第2項),この規定を適確に履行するとともに,必要に応じて補助教材の内容を確認するなど,各学校において補助教材が不適切に使用されないよう管理を行うこと。
ただし,上記の地方教育行政の組織及び運営に関する法律第33条第2項の趣旨は,補助教材の使用を全て事前の届出や承認にかからしめようとするものではなく,教育委員会において関与すべきものと判断したものについて,適切な措置をとるべきことを示したものであり,各学校における有益適切な補助教材の効果的使用を抑制することとならないよう,留意すること。
なお,教育委員会が届出,承認にかからしめていない補助教材についても,所管の学校において不適切に使用されている事実を確認した場合には,当該教育委員会は適切な措置をとること。
1(1)では、補助教材を定義づけています。「視聴覚教材」も含まれます。
2(1)には留意点が書かれています。
「特定の見方や考え方に偏った取扱いとならないこと」を求めています。
(3)では、補助教材は届け出が必要ですが、「補助教材の使用を全て事前の届出や承認にかからしめようとするものではなく」としています。
最後に、文中に出てきた、学校教育法 第34条第2項 を紹介します。
学校教育法 第34条第2項
第34条 小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。《改正》平11法160
2 前項の教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。
なお、第49条,第62条,第70条,第82条 は、第34条を中学校や高校等に準用するという内容です。