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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
・再々中断していた「熟語の読み・一字訓読」シリーズを再開します。
・223回からは、漢検漢字辞典第2版の内容を加味したり、調べる辞典の範囲を大字源・漢字源などまで拡大した内容にて、整理しているので、初期のこのシリーズの記載内容とは濃淡・精粗があります・・・223回からのほうが内容が濃いと思います。お含み置きください・・・追って、初期の内容についても、内容を拡充していきたいとは考えています。
・なお、別の記事などにて、漢検2記載内容を踏まえた「熟語の読み・一字訓読、音訓整理」を案内したものもあり、一部重複しているかもしれません・・・この点もお含み置きください。必要に応じて、なるべく、同記事内容も再録いたします。
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●熟語の読み・一字訓読(その285)です。 ゴチック・太字は漢検2にも記載あり。
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<鈞:キン、ひと(しい)、はか(る)、ろくろ>
・ひと(しい):(=均)鈞諧(キンカイ)=ひとしくととのう、鈞等=ひとしいこと、鈞調=ととのうこと、鈞適=ひとしいこと=鈞敵
・はか(る):鈞衡(キンコウ)=①人材をはかりえらぶ ②政治の公平を保つ(宰相の称) ③彼此差別のないこと(=平均)
・ろくろ:
鈞陶(キントウ)=ろくろで陶器をつくる、「
洪鈞(コウキン)・大鈞(タイキン)=①ろくろ ②転じて、造物主や天を表す」(漢検2)
*大鈞=天(万物造化の神) *鈞天=①九天の一。天の中央。 *鈞命=貴命・ご尊命 *鈞覧・・・(➪尊敬の意を表す接頭語)
*(「鈞」=まつりごとの意)国鈞=国の鈞を秉る(秉鈞)
<釿:キン、ギン、おの、ておの、き(る)、た(つ)>
*大字源:キン(漢・呉音)・ギン(呉音) *ギ音の熟語見当たらず。
*漢字源:キン・ギン(漢音)・コン・ゴン(呉音) *熟語掲載ナシ
・おの、ておの:
釿鋸(キンキョ)=ておのとのこぎり(大漢和)、手斧(ちょうな)とのこぎり(大字源)
・き(る)、た(つ):熟語見当たらず(大漢和・字通・大字源・漢字源)
*「釿鍔(キンガク)」=器物の彫物の凹凸線。 *「“釿”は、器物のへりの意。「凹」部分を“釿”、「凸」部分=“鍔” という。あるいは、「沂」に作る。」(大漢和)
(注)大字源:「釿鍔(ギンガク)」=器物の表面の凸凹模様。釿(ギン)=くぼんだ所。鍔=盛り上がった所。 *「沂“鄂”(ギンガク)」あり、「沂」=「釿」とも・・・。
*大漢和にも「ギン、キン、ゴン」音あり。本熟語も「ギンガク」でも可かもしれない。
<鈔:ショウ、ソウ、かす(める)、うつ(す)、うつ(し)、さつ> *ショウ(呉音)ソウ(漢音) *ソウ音の熟語見当たらず。
・かす(める):
鈔略=鈔掠=抄略=かすめとる、鈔邏(ショウラ)=かすめとる、鈔撃(ショウゲキ)=かすめとる、鈔劫(ショウキョウ)=かすめとる、鈔盗(ショウトウ)=かすめぬすむ、鈔奪(ショウダツ)=かすめうばう
・うつ(す)、うつ(し):
鈔写=うつしとる、
鈔本(*)、鈔校=うつしただす、鈔録=①うつし記す、謄写する ②ぬきがきする、抄録。
・さつ:(=紙幣のこと)鈔印=紙幣に押す印、鈔引=さつ、紙幣。
*「鈔」に“ぬきがき”(=抜録)する意あり。「うつす」意とは別羲のようであるが・・・。漢検2では“うつす”意のところに「鈔本」とあるが、「鈔本」=「①ぬきがきする ②紙幣を発行する準備金」(大漢和)となっている。
同様に、“ぬきがき”する意の熟語として、
「鈔録」②(前記)、「鈔纂」=ぬきがきしてあつめる、鈔綴(ショウテイ)=ぬき出しつづる、鈔謄=ぬき写しする 等がある・・・厳密に区別しなければ、これらの熟語も“うつ(す)、うつ(し)”に対応する熟語として理解しておいても良いかも知れない。
<鈕:ジュウ、チュウ、つまみ、とって、ボタン> *ジュウ(漢音)熟語ナシ *チュウ(慣用音)
・つまみ:
印鈕、玉鈕、璽鈕、瑞鈕、亀鈕、鉗鈕、鎖鈕・・・後記(参考)参照。
・とって:環鈕=鐶鈕=把手、とって、引き手 *金をもってするのが「“鐶”鈕」、玉をもてするのが「“環”鈕」。
・ボタン:
鈕釦=鈕子=ボタン、鈕鉤=ボタン、こはぜ。鈕口=鈕孔=ボタン穴
(参考)<古代史>カテゴリーの記事より一部抜萃・・・
・「鈕」にはいろいろな種類があることがわかった。字通によれば・・・
「印鼻」という。古くは「紐(ひも)」の字を用い、のち、「鈕」を用いた。 (*糸・絹の時代から金属の時代への移行の反映だろうな。) 飾りによって、「亀鈕」「蟠蛇鈕(バンダチュウ)」「螭虎鈕(チコチュウ)」のように云う。諸蕃には「蟠蛇鈕」の類を与えた ・・・との事。
<鉅:キョ、おお(きい)、おお(い)、とうと(い)>
*漢検2「とうと(い)」訓ナシ。ただし、意味②「大きい、おおい、とうとい」の中に記載あり。意味①は「はがね、鋼鉄」
・おお(きい):(=巨)
鉅偉=すぐれて大きいこと。 鉅魚、鉅過=大きな誤ち、鉅石、鉅大、鉅衍=おおきく広い・・・
・おお(い):鉅億=きわめて多いこと、鉅費=巨費、多くの入費、鉅萬=甚だ多い、鉅狡=きわめて悪がしこいこと
・とうと(い):(「鉅」=尊者の通称)鉅公=①天子の称。巨公。②大人物 鉅卿=大兄、鉅儒=大学者=碩学大儒、鉅人=高貴の人、鉅人長徳=大徳の偉人
*「鉅」に“はがね、鋼鉄”の意あり(漢検2でも意味①に記載あり)
「鉅鉄」(大字源)が該当しそう・・・「はがね、丈夫な鉄」(漢字源)
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