オスプレイ改ざん 不都合な真実を隠すな2012年6月26日 琉球新報 社説
軍事、安全保障は国の専管事項という言い分を隠れみのにして、不都合な情報は国民の目と耳から遠ざける。こうした隠ぺいと情報操作の体質は日米両国に共通する。
米軍普天間飛行場に配備が計画されている垂直離着陸輸送機オスプレイをめぐり、安全性への疑念をさらに深める事実が明らかになった。技術革新などの深層を掘り下げることで定評がある米雑誌「ワイアード」が報じた。
2010年にアフガニスタンで起きた空軍のオスプレイ墜落事故をめぐり、空軍上層部が「機体に問題があった」とする調査報告を「人為的ミス」に改ざんするよう圧力をかけていた。
当時の事故調査責任者の空軍准将がエンジン出力の低下を原因の一つに挙げたところ、操縦士の責任とするよう圧力を受けたことを、除隊した本人が証言している。
13日にフロリダ州で墜落した事故では、現場指揮官を更迭し、人為的ミスとして早期収拾を図る軍の姿勢が浮かび上がった。事故原因の全容解明に至らぬ段階で、空軍や国防総省は「構造的欠陥はない」と言い張り、日本側に伝えた。
操縦士らの会話録音や飛行データの解析を通し、事故原因を正確に突き止めるまで数カ月から1年以上かける民間機の墜落事故ではあり得ない対応である。軍事優先の中で、安全性を二の次にする露骨な二重基準が一層際立つ。
オスプレイをめぐっては、米下院議員が「翼の付いた危険な利益供与だ」と主張し、1機当たり約79億円もする調達費削除を求めたが、関連企業を選挙区に抱える議員らの反対で阻まれた。開発にはこれまで約250億ドル(約2兆円)が投じられてきた。
巨大事業をつぶしたくない米側の事故対応は、安全性と軍需産業の意向や雇用問題を天秤(てんびん)にかけ、軍産複合体の利益が優先される構図に陥っている。こうした問題を抱える欠陥機種が「世界一危険」とされる普天間飛行場に配備されてはならない。
渡米して、米政府から事故原因の説明を受けたのは外務省、防衛省の課長級だった。なぜ、国土交通省の航空機事故の専門家は同行しないのか。
専門的知見をぶつけて検証することもなく、米国の意向に追従する外務、防衛官僚がおうむ返しのように米国の説明を少し詳しくしただけで垂れ流すことは許されない。
軍事、安全保障は国の専管事項という言い分を隠れみのにして、不都合な情報は国民の目と耳から遠ざける。こうした隠ぺいと情報操作の体質は日米両国に共通する。
米軍普天間飛行場に配備が計画されている垂直離着陸輸送機オスプレイをめぐり、安全性への疑念をさらに深める事実が明らかになった。技術革新などの深層を掘り下げることで定評がある米雑誌「ワイアード」が報じた。
2010年にアフガニスタンで起きた空軍のオスプレイ墜落事故をめぐり、空軍上層部が「機体に問題があった」とする調査報告を「人為的ミス」に改ざんするよう圧力をかけていた。
当時の事故調査責任者の空軍准将がエンジン出力の低下を原因の一つに挙げたところ、操縦士の責任とするよう圧力を受けたことを、除隊した本人が証言している。
13日にフロリダ州で墜落した事故では、現場指揮官を更迭し、人為的ミスとして早期収拾を図る軍の姿勢が浮かび上がった。事故原因の全容解明に至らぬ段階で、空軍や国防総省は「構造的欠陥はない」と言い張り、日本側に伝えた。
操縦士らの会話録音や飛行データの解析を通し、事故原因を正確に突き止めるまで数カ月から1年以上かける民間機の墜落事故ではあり得ない対応である。軍事優先の中で、安全性を二の次にする露骨な二重基準が一層際立つ。
オスプレイをめぐっては、米下院議員が「翼の付いた危険な利益供与だ」と主張し、1機当たり約79億円もする調達費削除を求めたが、関連企業を選挙区に抱える議員らの反対で阻まれた。開発にはこれまで約250億ドル(約2兆円)が投じられてきた。
巨大事業をつぶしたくない米側の事故対応は、安全性と軍需産業の意向や雇用問題を天秤(てんびん)にかけ、軍産複合体の利益が優先される構図に陥っている。こうした問題を抱える欠陥機種が「世界一危険」とされる普天間飛行場に配備されてはならない。
渡米して、米政府から事故原因の説明を受けたのは外務省、防衛省の課長級だった。なぜ、国土交通省の航空機事故の専門家は同行しないのか。
専門的知見をぶつけて検証することもなく、米国の意向に追従する外務、防衛官僚がおうむ返しのように米国の説明を少し詳しくしただけで垂れ流すことは許されない。