一方で、特別措置法のまん延防止等重点措置の適用を受け、飲食店の営業時間短縮などを要請することについては、改めて否定的な考えを示した。

 20日の感染者数は180人。最多だった18日の153人より27人多く、1週間前の13日(87人)より93人増加した。長崎知事は1日あたりの感染者数が140人以内なら病床や宿泊療養施設が埋まることはないとの見通しを示していた。

 だが、その見通しを上回る感染者が発生し、病床と療養施設を合わせた「病床等使用率」も59・4%に達した。長崎知事は「医療提供体制への影響が懸念される」と指摘。その上で、1日160人の新規感染者が継続して発生した場合、患者受け入れに影響が生じ、200人に達すると、来週にも受け入れができなくなるとの見通しを示した。

 一方で、重点措置の適用については否定的。「これまで続けてきた行動制限、特に飲食、酒類提供の制限がどこまで有効なのか、しっかり考えるべきではないか」と述べ、「療養手段、医療提供体制が実現できているかぎり、経済を回し生活を守ることに力点を置く方策が望ましい」との考えを示した。

 無症状者などが、病院や療養施設を経ずに自宅で療養する「ホームケア」は、予定通り20日に運用を開始。初日は3人が適用対象となったという。

 県はホームケアの適用条件として、症状が無いか、ごく軽いことに加え、重症化リスクを有する基礎疾患がないこと、40歳未満であること、健康観察ができることを挙げ、すべて満たし、本人が同意する場合に適用すると説明した。療養期間は発症から10日間を目安とし、朝夕の健康観察の記録を担当医師がチェック。必要に応じて診察も行う態勢をとるとしている。

 新規感染者の25%〜30%がホームケアを選択すると想定し、500人が自宅で療養できる態勢を整えるため、医師会などと協議を進めているという。(吉沢龍彦)

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 県と甲府市によると、20日に確認された新型コロナウイルスの感染者は県の管轄地域が127人、甲府市が53人。このうち105人、58・3%がワクチン接種済みで、中でも2人は3回接種済みだった。県内の感染者数は延べ6315人(再陽性者を含む)となった。

 甲府市によると、20日までに発表された11人が大学での共通の場で接していた。クラスター(感染者集団)の可能性があるとみて調べている。

■「ホームケア」適用の4条件

1 無症状、あるいは自覚症状が軽微

2 重症化リスクを有する基礎疾患がない

3 40歳未満

4 健康観察ができる

この4条件にすべて該当し、本人の同意がある患者