蓮華とはハスの花のことですが、花は7月が最盛期で、8月も半ばを過ぎますとちょっと時期外れでしょうか。実は今日届いたタウンニュース(鎌倉版)で「中尊寺ハスが開花 昨年、平泉町から寄贈」という記事を見つけました。内容は、昨年鎌倉市は市制施行80周年を迎えましたが、そのお祝いに中尊寺のある平泉町から寄贈されました。このハスは源頼朝によって滅ぼされた奥州藤原氏4代泰衡の首桶からその種子が発見され、開花に成功したもの。今は鎌倉歴史文化交流館で育てられ、この8月10日に一輪だけ咲きましたと、紹介されていました。
ただこれだけならブログにする必要はないのですが、実はこの中尊寺ハスを2009年7月3日に見学しておりまして、その時、下手な短歌を一首創作しております。
泰衡が残した種がいまに咲く義経(ぎけい)が思いいかばかりかな
11年間ずっとお蔵入りしていたものが、まさかこんな形で表に出てくるとは・・・。藤原泰衡に殺された義経、その泰衡一族を滅ぼした源頼朝、その供養のために建てたのが二階堂にある永福寺。11年前には鎌倉でガイドをするなんて思ってもいませんでしたが、なんとも不思議なご縁です。
さてもう一つ。蓮華についてです。最近、華厳・華厳経について調べているのですが、なかなか理解が進みません。蓮華といえば、奈良の大仏は蓮華座に座っておられます。その意味すらよく分からないのですが、『華厳経』のなかの「廬舎那仏の章」に蓮華蔵世界が出てきます。木村清孝著の『華厳経入門』には、蓮華蔵世界とは廬舎那仏が菩薩であった時代に自らの請願とそれにもとづく実践とによって浄化し美しくつくり上げた世界であり、幾重もの風の渦と大地の層、およびその上の大海とに支えられて屹立する大蓮華の中に位置します。とあります。華厳の宇宙観・世界観を蓮華、ハスの花に見立てているわけです。廬舎那仏は釈迦牟尼のことですが、その修業の地インドの人々はハスの花が好きだったようです。
写真は中尊寺ハスではありませんが、開花した時に花托(かたく)が金色になります。幾重もの花弁にまもられ、光が差した瞬間にはこの世とは思われぬ、別世界が広がります。中尊寺ハスは来年は永福寺跡で見学できるかもしれません。是非訪ねたいものです。