最近『はやぶさ2 最強ミッションの真実』(津田雄一著 NHK出版新書)を読みました。この本は2020年11月10日第1刷発行なので、当然ながら同年12月6日にりゅうぐうからカプセルが無事に地球に帰還したことはふれられていません。私も本の内容の読後感想文を書くつもりはありませんが、間違いなく日本人が誇れるミッションでした。コロナ禍の報道の陰に隠れ、日本の科学技術の素晴らしさがあまりPRされず、盛り上がりを欠いたのは残念でした。
前置きはともかく、はやぶさ2が小惑星りゅうぐうから持ってきた岩石について触れたいと思います。太陽系には地球などの惑星のほか、小天体と呼ばれる小惑星と彗星が太陽の周りを周回しています。そのなか地球から3億km離れたC型小惑星に行き、タッチダウンしてサンプルリターンするのが今回のミッション。なぜそうするのか?小惑星はS型(岩石質 Stony)とC型(炭素質 Carbonaceous)など形成されている岩石の違いで分類されます。C型小惑星には炭素が含まれた岩石や水質鉱物があると考えられています。仮説として、地球に水があり、生命の誕生したのは、りゅうぐうのようなC型小惑星が地球に衝突したことで、地球に有機物のもとになる炭素と生命が生きるために必要な水がもたらされたと考えているからです。この仮説の検証が今後の岩石の分析でされますが、楽しみですね。
さてこれからが妄想の世界。以前のブログで『古事記』に書かれている国造り神話について書きました。天地がはじめて開けたとき、神々の世界の高天原に最初にあらわれたのは別天つ神が五柱。すべてひとり神でした。しかしこの神々だけでは国造りは完成しません。そこで出現したのがイザナギとイザナミの二柱の神。この二神は天つ神から「この漂える国を修め理り固めなせ」といわれ最初に「おのごろ島」を造りました。私はこの最初のひとり神がS型の小惑星だと妄想しました。これだけでは水も生命も誕生しません。次のイザナギとイザナミの神がC型の小惑星。これで地球に有機物のもとの炭素と水質鉱物がもたらされ、水と生命が誕生したわけです。当然ながら『古事記』ではそんなことは考えていません。しかし『古事記』創作のもとになった華厳の世界観、世親の宇宙観、その起源となる古代インドの宇宙観で考えられていたとしたら・・・面白いですね。
コロナ禍で巣ごもり生活をしていますと妄想は膨らむばかりです。莫妄想、早く実地での仕事がしたいものです。