今夜18時55分からテレビ東京系で「はじめて東京行ってみたら?」と云う番組が放送される。
詳しくは知らないが、離島や僻地から生まれて初めて大都会の東京を訪れる人の驚く様子が映し出されるのだろう。
思い起こせば私が初めて東京へ行ったのは高校生、まだビンビンの時だ。
病で修学旅行へ参加できなかったので、受験するために初めての東京だ。
昔はテレビもNHKしか映らない時代で旅番組なんてのも無く東京がどんな所なのか情報はほぼ無かった。
ド田舎には町に駅は一つ。だから東京は東京駅の周りが東京で新宿の周りは新宿と云う別の町だと思いこんでいた。
東京までの交通手段は国鉄列車、今のJRだ。
函館まで12時間耐え津軽海峡を青函連絡船で4時間揺られ、さらに青森から8時間で上野へ。合計すると24時間、つまり丸1日かかる長旅だった。
母が予約してくれた今はもう町名も残っていない新宿区角筈3丁目の旅館。
確か知人の紹介だったと記憶している。
重いバッグを抱えて終着上野駅で電車を降り、ゾロゾロと歩く人の後ろに付いて金魚の糞状態で何故か偶然無事に新宿へ到着。
「南口へ出て右へ歩きガスタンクの近くに旅館がある」と聞いていたのだけれど、金魚の糞が出たのは西口。
まぁ駅を一周したら南口があるだろうと思い探し歩いたのだが、それがまたトンデモナイ距離でやっと見つけた南口に立った時には汗だくで倒れそうだった。
まだ新宿には高層ビルが建っていないのだが人だけはメチャクチャ多くて、目指すガスタンク傍の旅館には何とか着いたのだけれどヘトヘト。
でも、翌日の試験会場確認の為に一度道を覚えておかなければならない。
そこで旅館のオバチャンに「新大久保へ行きたいんですが・・・・・」と訊いたら
「新宿駅から山手線で池袋方面行へ乗ると行けるよ」と云われた。
だから当然訊くよね。
「あの・・・・・何時何分発でしょうか?」
その時のキョトンとしたオバチャンの目が忘れられない。
「ホームで待っていたら2、3分おきに次々と来るからね」と教えてはくれたのだが、きっと陰では「何時何分発?って訊かれたよ」と大笑いしていたに違いない。
それが私の東京デビューで、ホロ苦くも懐かしい思い出となっている。