家族の中では一番遅いマッタリとした朝を迎え居間へ下りた。
朝の挨拶をするでもなく、いつもは私の姿が目に入らないような一日の始まりなのに、今朝は違う。
ルンバとスリスリが笑顔を浮かべて私を出迎えたのだ。
これは絶対に何かがある。私のアラームが鳴り響いた。
私の目がテーブル上に開かれて置かれている何かの説明書を捉えた。
そのページにはエラーを示すEの文字と数字が沢山並んでいる。
スリスリが私に説明するには電子レンジにエラーが出て、御陀仏になったと云うのだ。
つまり二人の笑顔は新しいのを買えと云う無言の圧力だ。
「直らないの?」「直らない」(キッパリ)
交わしたのはこれだけ。
テーブルの上には電気店のチラシまで用意されていた。
電子レンジとオーブントースターは、唯一私が自分で作ったラックの中に納まっている。
そのラックを移動してアースコードと電源を抜いて、ついでに隠れていた床と壁をルンバと拭き掃除したが、これが意外に疲れる。
壊れた電子レンジを車に載せて無料の引取り回収業者へ持って行き、電気店へ。
最新型はあれもこれも出来ると云うものだが、あれもこれも出来ない人間には不向きだ。
それに自家製のラックに入る大きさでなければと云うことで購入する機種はすぐ決まった。
帰宅してアースと電源を接続し適当に取説を眺めて設置終了。
ルンバは電気店員でも無い私に色々と質問する。自分で取説を読んで研究すると云うことは全く考えていないようだ。
そしてダメ押しの一言を私に発した。
「次に壊れるのは冷蔵庫だと思う」(ゲッ)