予報で覚悟は出来ていたとは云え、夜半から暴風雪が吹き荒れた。
吹き溜まりが出来ては方向の変わった風に押し流されて彼方へ消えていく。
朝、カーテンを開けて下界を見下ろした瞬間、全部何処かへ吹き飛んでいて欲しいとの願いは打ち砕かれた。
そして既に我が家の女性除雪隊の動く姿が見えた。
居間へ降りていくと私の雪かき用腰痛ベルトなど一式が置かれていて
「早く出てこい」と私を威圧した。
朝食代わりにキャラメルを一つ口に入れ、私も早々に着替えて隊列の中に加わった。
まだ風が強い。そして雪がかなり重い。
多分、15センチは降ったに違いない。
スノーダンプに女性除雪隊の1.5倍は載せて運ぶ。腰の入れ方が違うからだ。
腰の動かし方は若い頃励んだ自分を思い出させる。
デヤーッと気合を入れて空地へ運ぶのだが5回も往復すると音を上げたくなった。
30分程奮闘すると、分厚い手袋をしているのに指先の感覚が無くなった。凍傷の一歩手前だ。
「チョイ休憩」と云って家へ入りキッチンで温水を流しながら手を温め、気合を入れてまた外へと飛び出した。