満面の手話の雄弁小六月 2015-12-15 | 冬 満面の手話の雄弁小六月 師走ももう半ば 暖冬というよりは異常気象というような気温 狂い花の報道が日本全国からある 電車内で手話で語り合うにょしがくせうに遭遇した その顔は満面の笑み 小春日和として暖冬を素直に喜んだ
山茶花の近づけば散る人嫌い 2015-12-13 | 冬 山茶花の近づけば散る人嫌い 山茶花は気弱な花 咲くときは固い蕾をおそるおそる小さく開く 冬の訪れを確かめるて仲間に呼びかける 多勢になるのは早い 咲いた山茶花に触れようとすると その花弁ははらりと逃げる 人嫌いなのだ
日向ぼこあの世のはなし声高に 2015-12-12 | 冬 日向ぼこあの世のはなし声高に 師走となっても老人たちにはあまり多忙はない 時間に追われたり追いかけたりがなくなって久しい 日向にあつまって他愛のないはなしに興じる いつしか「あのよのはなし」になったりする 声高に元気な笑い声が伴うのが救いだ
鮮やかに角痕ひかる雪木立 2015-12-11 | 冬 鮮やかに角痕ひかる雪木立 富士山の裾野を一年かけて歩いた 四季おりおりの富士を眺めながらの徒歩での試みだった 雪の青木ヶ原では ガイドがいなければ完全に遭難するだろうとの冒険もあった 雪木立に鹿の角の痕が鮮やかだった
来し方に熱さほどほどおでん酒 2015-12-10 | 冬 来し方に熱さほどほどおでん酒 おでんの屋台 川べりなどに屋台店が並んでいたりすると 懐旧の思いと嗅覚が働いて立ち寄ることになる 熱燗の一口に来し方をおもう たくさんの起伏をのりこえて 今の無事に感謝する 来し方のほどほどの熱さに納得している
野仏の頬骨削る北風あらし 2015-12-09 | 冬 野仏の頬骨削る北風あらし 北風のふきすさぶ枯野 古色の野仏が浩然と佇んでいる 姿形は長い風雪を思わせて荒んでいるが それがありがたさを重くしている その頬骨は尖っているようにもみえる 人の世界も同じ 長い旅路にはたくさんの風雪がある そのたびごとに真実をひとつずつ覚えるのだ
剛直を閉じ込めているちゃんちゃんこ 2015-12-07 | 冬 剛直を閉じ込めているちゃんちゃんこ 自分では頑固な性格とは思わないのだが 頑固で愚直、ときには傲慢と映っていたようだ 最近は変わってきた とは家人の言 この不平不満をちゃんちゃんこに閉じこめている猫が私か
彩あればあるほど哀し戻り花 2015-12-05 | 冬 彩あればあるほど哀し戻り花 帰り花 戻り花 季節におくれて一輪だけ咲いていたりする 大輪でなく葉陰にホツと咲く その色が濃ければ濃いほどに哀れを感じる 嫁に行った娘が戻り花では困ることになる・・・
声高にあの世のはなし冬日向 2015-12-03 | 冬 声高にあの世のはなし冬日向 師走になっても老い世帯にはとくに急ぐこともない 日向にあつまって他愛のないはなしで盛り上がる いつかあの世のはなしまで 声高に笑いも交じる ひなたぼこは昔から人をやさしく平和にしてくれていた
鳥渡る切り絵のやうな夕まぐれ 2015-12-02 | 冬 鳥渡る切り絵のやうな夕まぐれ 冬の夕焼け 澄んだ空気の冷たさが夏の夕焼けを数段上回って 見事な一瞬の景を映し出す 人も渡る鳥も山影も雲も みな切り絵のようだ 荘厳のおもむきでさえある