人新世の「資本論」 (集英社新書) | 斎藤 幸平 |本 | 通販 - Amazon.co.jp
人新世の「資本論」 (集英社新書) 新書 斎藤 幸平 (著)
【「新書大賞2021」受賞作!】
人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。
気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。
それを阻止するには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。
いや、危機の解決策はある。
ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。
世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす!
内容に関してまずは、目次は以下の通り
【おもな内容】
はじめに――SDGsは「大衆のアヘン」である!
第1章:気候変動と帝国的生活様式
気候変動が文明を危機に/フロンティアの消滅―市場と環境の二重の限界にぶつかる資本主義
第2章:気候ケインズ主義の限界
二酸化炭素排出と経済成長は切り離せない
第3章:資本主義システムでの脱成長を撃つ
なぜ資本主義では脱成長は不可能なのか
第4章:「人新世」のマルクス
地球を〈コモン〉として管理する/〈コモン〉を再建するためのコミュニズム/新解釈! 進歩史観を捨てた晩年のマルクス
第5章:加速主義という現実逃避
生産力至上主義が生んだ幻想/資本の「包摂」によって無力になる私たち
第6章:欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム
貧しさの原因は資本主義
第7章:脱成長コミュニズムが世界を救う
コロナ禍も「人新世」の産物/脱成長コミュニズムとは何か
第8章 気候正義という「梃子」
グローバル・サウスから世界へ
おわりに――歴史を終わらせないために
Amazonの表を読むと、賛否両論って感じのようだ。まず賛成の投稿を紹介。
5つ星のうち3.0 「脱成長」コミュニズムではなくコモンの成長を目指す社会経済の構築でしょう
日本企業で働くサラリーマンという立場から書評を書きます。これまでマルクス主義者が書いた本は何冊か読んだことがあったのですが、その中ではかなり読みやすく説得力もある本だとは感じました。ただ一貫して大きな違和感を持ち続ける本でもありました
5つ星のうち5.0 他を圧倒する具体性! 時代は変わろうとしている・・・。
同じ本を読んだとは思えない、不思議なレビュー。
12月30日に投稿されたレビューが丁寧に論点整理してくださっているので
気になる人は読まれてみてはいかがでしょうか。
【初読の際に書いたレビュー】
「SDGsは大衆のアヘンである!」という強烈な出だしに、アドレナリンが出てしまい、
徹夜に近いかたちで、ひといきに読み終えました。最後まで面白い。素晴らしすぎる。
次は、否の方。
5つ星のうち1.0 資本主義への問題意識は私も共有する。しかし、人々が生産手段を自律的、水平的に共同管理するというマルクス的なアソシエーショニズムは解決策にはならない。コミュニケーションメディアである貨幣の改革が必要。
中世と近代の間に「近世」という移行の時代があったように、今は近代と次の時代の間の移行の時代だと考えています。資本主義へ問題意識をもっているという点では(彼とは異なる角度からですが)、斎藤さんと同じです。しかし、その解決策として、生産を社会的な計画のもとに置くアソシエーショニズムを持ち出したことには、全く納得できません。
5つ星のうち1.0 口当たりは良いが、無内容
『人新世の「資本論」』というより、斎藤幸平のエコロジー雑感に、適当にマルクスという胡椒をかけてあるだけの内容で、ここにはマルクスも『資本論』もない
このようにみなさん、それぞれ激しいですね。私もマルクス主義を基本とする論法は違和感を感じます。皆さんの論旨をまとめた感想だと、中身のイメージは持ちにくいでしょうから、いつものように私が気になったキーワードを原文の言葉そのまま以下に紹介します。
3ページ まず最初の、「はじめに――SDGsは「大衆のアヘン」である!」という節の以下の記述で、「お、」と思わされた。
「レジ袋削減のために、エコバックを買った?。略
はっきり言おう。その善意だけなら無意味に終わる。それどころか、その善意は有害でさえある。
なぜだろうか。温暖化対策をしていると思い込むことで、真に必要とされいるもっと大胆なアクションを起こさなくなってしまうからだ。」
6ページ 「ただ闇雲に声を上げるだけでは貴重な時間を浪費してしまう。正しい方向を目指すのが肝腎となる。
31ページ 「グローバル・サウスという周辺部から廉価な労働力を搾取し、その生産物を買い叩くことで、中核部はより多くの利潤を上げてきた。労働力の「不等価交換」によって、先進国の「過剰発展」と周辺国の「過小発展」を引き起こしてる、、、」
34ページ 「環境危機という言葉を知って、私たちが免罪符的に行うことは、エコバックを「買う」ことだろう。」
50ページ 「例えば、南米チリでは欧米人の「ヘルシーな食生活」のため、つまり帝国的生活様式のために、輸出向けのアボガドを栽培してきた。」
76ページ 「化石燃料の消費量は減っていない。再生可能エネルギーが、化石燃料の代替物として消費されているのではなく、経済成長によるエネルギー需要増大を補う形で、追加的に消費されているのだ」
90ページ 「IEAによれば、2040年までに電気自動車は現在の200万台から、2億8000万台にまで伸びるという。」
05ページ 「ドーナツ経済学
ドーナツ経済学|幸せ経済社会研究所
ドーナツ経済学は、経済成長だけに注目することを避け、持続可能な未来をつくるための考え方です。2011年に、当時オックスファムの研究者だったケイト・ラワースによって考え出されました。ドーナツという誰にでもイメージしやすいデザインを用いていることが特徴です。
214ページ 「政治主義的なトップダウンの改革は一見効率的に見えるが、その代償として、民主主義の領域を狭め、参加者の主体的意識を著しく毀損する。」
268ページ 「貧相な生活を耐え忍ぶことを強いる緊縮のシステムは、人工的希少性に依拠した資本主義の方である。」
299ページ 「その真の構想こそが現代で役立つ武器になるのだ。この構想は、大きく5点にまとめられる。「使用価値経済への転換」、「労働時間の短縮」、「画一的な分業の廃止」、「生産過程の民主化」、そして、「エッセンシャルワークの重視」である。」
いろいろ、私的には「そうだ、そうだ」という記述が多かった。面白かったです。