「からだの錯覚」を通して人の身体や脳の実態に迫る、認知科学研究者である著者が、からだに起こる不思議な現象を徹底解説します。
「自分」という、もっとも身近にありながら、つかみどころのないもののイメージが、脳や五感などによってどんなしくみで作られているのかが語られていくと共に、錯覚を感じるさまざまな方法も紹介。
読者も簡単な方法で、不思議な錯覚の世界を体験できるかもしれません。
この本は、やはり図書館で予約して借りました。しかし、どうしてこの本に興味を持ったかは???です。多分朝日新聞の書評を見てだと思います。
上のアマゾンのサイトでは、続きの説明がまだあるので、それを以下に紹介します。
『からだの錯覚 脳と感覚が作り出す不思議な世界』 我々は視覚や触覚など、いわゆる五感でこの世界を認識し、得られた情報を信じて生きている。だがそれは、どれほど確かなものなのだろうか。小鷹研理(こだか・けんり)『からだの錯覚 脳と感覚が作り出す不思議な世界』(講談社ブルーバックス・1100円)には、自分の感覚に対する信頼が揺らぐような、不思議な錯覚の実験が多数紹介されている。ちょっとした操作によって、自分の指が長く伸びたとか、硬い石のようになったという錯覚が、いとも簡単に起こせるのだ。人間の感覚とは何であるのか、また来(きた)るべきメタバースの時代を考えるためにも、読んで、また感じておきたい一冊。
自分が感覚としてとらえている自分の体と、実際の体が乖離していることを感じたりすることは、誰にでもあること。
また、ケガで体の一部を失ったときにないはずの部分に痛みを感じたり、拒食症の人が実際にはやせているのに自分は太っていると感じていたり――そんな例も聞いたことがあると思います。
それ以外でも身近にあまり意識しないところで、ちょっとした錯覚を感じることは、実は多いのです。乗り物酔いも、金縛りも、自分の感覚と意識の不一致のようなことから起こる錯覚の視点から説明できます。
こういったことがどうして起こるのか、その謎に迫ってみると、生きるために必要な脳の働きなどが見えてくるのです。
心と体が離れる「幽体離脱」も科学的に説明できる現象です。
オカルトではなく誰しもリラックスしたりするときに起こることがあり、ここでも脳と体に備わったくみが関係しています。
そのような事例を紹介しながらからだに起こる不思議を解説していく1冊。
読み進めると、自分が「錯覚」の産物であるように思えてくるのではないでしょうか。
身体とはなにか、感覚とはなにか、自分とはなにか、についてふだんとは違った見方で考えるきっかけに。
目次は以下の通り。
序章 錯覚体験
第1章 「からだ」とはなにか~自分として感じられる身体と物体としての身体 身体と触覚がバラバラ/身体の感覚とはなにか/自分の「からだ」はどこまでか ほか
第2章 目で見る視覚と頭の中にある視覚――目を閉じることで広がる「からだ」の感じ方 錯覚しやすいかどうか、試すならこの2つの方法/触覚だけで「自分の身体を見つける」!? ほか
第3章 弾力のある身体――空想の世界にも想像しやすいものとそうでないものがある アバターを自分の身体のように感じる錯覚/腕や脚が伸び縮みするVR錯覚 ほか
第4章 からだの錯覚は思い込みと何が違うのか――錯覚が生まれる、その時脳は……
第5章 「身体」なのか「モノ」なのかーー自分のような自分じゃないような「きもちわるさ」の由来 外傷のない痛み/スライムハンドの衝撃 ほか
第6章 幽体離脱を科学する――不思議な現象が導く、さまざまな可能性 多角的な視点からイメージできる人は、幽体離脱が起こりやすい/リセットされる夢、リセットされない幽体離脱/とりかえしのつかない遊び ほか
著者が、この本の最初に述べているように、この本であつかっているのは、錯覚といっても目の錯覚ではなく、「からだ」の錯覚です。
この本では、錯覚の説明に図やYouTubeのリンクで色々説明しているので、それを一部紹介します。
まずは、本の最初の方で、ブッダの耳錯覚、薬指のクーデター、グラグラスワップ、蟹の錯覚を著者のWEBサイトで紹介しているのでそれを紹介します。
ブッダの耳錯覚|小鷹研究室as
[08] 薬指のクーデター(即錯23)|小鷹研究室
グラグラスワップ(WOBBLY SWAP)
蟹の錯覚(白い紙:オリジナル版)
[17-18] 蟹の錯覚(即錯23)|小鷹研究室(from VIMEO)
この動画を見ると、自分の手や指が、他人の手や指と錯覚したり、他人の指が自分の手や指に思えたりする錯覚が起こることがわかると思います。しかし、ある比率でそのように感じない人もいるというのも事実のようです。
面白い!。人間の視覚によって、我々が見たものは、所詮一度脳を通して自分なりの判断したものでしかない。つまり、事実ではなくあるフィルターが入っているという事実の一例を示すものだ音もいます。考えてみれば、自分が赤と思っている色は、自分の脳を通して見ている色で、他人の見ている赤と同じかどうかは絶対わからないのです。そう、じぶんが事実と思っていることは、自分脳のフィルターを通したバイアスが必ず入っていることを意識する必要があると思います。それらの極端な例がこの本を通していくつも示されています。これは、私に取っては非常に面白いことです。
興味を持った人のために、この先生の研究室のサイトのリンクを以下に貼ります。
その他、本の中で、以下のような症例との共通点についても書かれているのが興味深いところです。
不思議の国のアリス症候群(ふしぎのくにのアリスしょうこうぐん、Alice in Wonderland syndrome、AIWS、アリス症候群)とは、知覚された外界のものの大きさや自分の体の大きさが通常とは異なって感じられることを主症状とし、様々な主観的なイメージの変容を引き起こす症候群である。
この症候群の名前は、ルイス・キャロルの児童文学『不思議の国のアリス』で薬を飲んだアリスが大きくなったり小さくなったりするエピソードに因んで、1955年にイギリスの精神科医トッド(英語: John Todd)により名付けられた[1]。
最後の章では、幽体離脱についても言及しており、幽体離脱は物理的なものではなく、主観的なものとして科学的に色々考察している章も大変面白いです。
これは、私に取っては、先日読んだ「憎悪の科学」に続いて、人間の脳の機能に関する興味を刺激する面白い本でした。
感想としては、ヘイトクライムなどについて書かれた内容だが、素晴らしい内容だと思う。日本で最近起きている、テロっぽい狙撃事件や爆弾事件、家族内での殺人事件などの原因は、私には理解の外と思っていたが、この本に書かれたようなメカニズムで起こるということが認識させられる。そういう意味ではすごい本だと思う。 いつものようにキーワードを列記する。
最後に、これらの錯覚を実体験したいのですが、どれも一人ではできないので、パートナーとやろうと思うのだが、何を言われるかわからないので、残念ながらどれも試すことができていないです。いつか、興味ある人と出会ったらぜひ試してみたい。
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