「流す」から「ためる」に転換  雨水利用推進法の推進

2014年05月08日 | Weblog

◎雨水は流せば洪水となりますが、ためれば有効な資源。雨水を「流す」から「ためる」という発想に変え、利用を進めていく法案の成立に向けた取り組みが行われています。



雨水を活用すれば、水資源の有効利用につながるだけでなく、洪水の抑止や渇水時の水確保、水道料金の節約など多くの効果が期待できます。すでに一部の自治体が着手していますが、十分な効果を発揮するには、国を挙げた取り組みが必要というものです。

法案では雨水利用を推進するため、国などの責務を明記。国や独立行政法人が建築物を整備する場合、雨水利用施設の設置について取り組むこととし、自治体には目標設定の努力義務を課しています。



自治体では現在、雨水貯留槽などの設置に助成金制度を設けているところが多く見受けられます。取り組みを加速させるため、自治体に対して不要となった浄化槽の転用を含めた助成の実施を促すとともに、国が財政上の援助をすることとしています。

また、国際規格化への展開を視野に入れ、国が調査研究の推進と成果の普及、技術者・研究者の育成に努めることなども盛り込んでもいます。

法案づくりの背景には、都市化の進行で近年、頻発している集中豪雨への対応もあります。都市が集中豪雨に襲われると、下水道の処理能力の限界を超え、洪水が発生しやすくなります。雨水をタンクにためれば、一挙に下水道に流れ込むのを防ぎ、洪水の抑止が期待できます。

東京スカイツリー一帯には都内最大の2635トンの雨水タンクが設置され、地域の洪水防止に貢献するとともに、トイレの洗浄水や太陽電池の冷却水などに利用。




横浜市でも、身近な家庭の水循環の取組みとして、市民の皆さんへの雨水貯留タンク設置制度も設けています。

災害時には水道施設の損壊などで水が使えなくなる恐れもある。雨水をためておけば、初期消火やトイレの流し水などに役立つこともあります。今まで見過ごしていた貴重な水資源である「雨」の有効活用を図ることが大切です。