ケンのブログ

日々の雑感や日記

四月五日

2018年04月05日 | 日記
昨日の夜、ネットのニュースに大相撲の舞鶴場所で
市長が土俵上の挨拶の途中で倒れ女性が土俵に上がって
心臓マッサージをしていた、そこへ女性は土俵から降りてくださいと
呼び出しがアナウンスしたことが報じられていた。
ネット上にはこれを人命よりも相撲のしきたりの方が大切か
考えられない相撲協会の対応というようなコメントが目白押しになっている。
人命がかかっているのだからこのようなコメントが
大勢を占めるのは当然のここと思う。
ただ、ネットにアップされた動画を見ていると
もちろん言葉のやり取りは聞こえないので動画の中のひとの動きを
見ただけの印象だけれど最初二人ほど土俵に上がった女性は
確かに一生懸命心臓マッサージをやっておられしかも
慣れた感じで献身的にやっておられる。
こういうときの女性のとっさの対応力の前に
男がいかに無力かを思い知らされるような様相を呈している。
僕もリラクゼーションサロンにいっていつもは暑がるのに
その日はたまたまちょっと寒がっていたら
すぐに小型のヒーターと毛布、熱いお茶が出てきて
これはきっと熱だと思いますよと女性のセラピストがおっしゃった。
翌日に医者に行ったらインフルエンザではなかったものの
やはり熱があるということだった。
男のセラピストだったらあんなに素早く毛布とヒーターが
出てきたかはなはだ疑問というよりも
とっさに毛布を出すという発想自体、男にはないのではないかとさえ思ってしまう。
ただ、土俵から降りてくださいというアナウンスがあったのは
会場に警察のかたが大挙して押し掛けてきて
それとほとんど同じタイミングで他に二人の女性が
はたしてそうする必然性があるかどうかという感じで
あたふたと土俵に上がっていく瞬間からである。
あそこであとがけで土俵に上がっていく二人の女性を
放置していたら集団心理が働いてもっと大勢の女性が
土俵に押し掛けかねないようなタイミングでアナウンスが
なされているように僕には見える。
ちなみに入ってきた警官隊のなかで婦人警官の方は土俵には登らず
土俵の下で場内のひとの誘導のようなことをやっておられる。
こういうところはやはり警察はさすがだなと思う。
人命がかかっているという事情はともあれ土俵に女性は
上ってはいけないというのは相撲の世界のしきたりなのだから。
まあ、僕は小学校二年生の時以来の大相撲ファンなので
相撲協会の肩を持つ見方にどうしてもなってしまうとは思うのだけれど。
場内アナウンスと言えば小学校3年生の時に大相撲名古屋場所のマス席を
おじがとってくれて愛知県体育館へその場所の千秋楽を見に行った。
千秋楽では愛知県蒲郡市出身の名古屋場所ではご当所力士の
横綱玉の海が15線全勝優勝を決めた。
全勝優勝が決まった瞬間に僕の目の上にたくさん円盤が飛んでいた。
一緒にいたおじに「おじちゃん、円盤が飛んでる」と僕が言うと
「あれは円盤やない。玉の海が全勝したもんでみんな喜んで
座布団投げとるんや」とおじは言った。
座布団を投げるとそれがクルクル回転して円盤に見えるということを理解するのに
まだ子供だった僕は一分くらい時間がかかった。
場内アナウンスでは行司さんが
「危険ですから座布団をお投げにならないでください」と何度も何度も
繰り返しアナウンスしていた。
それでもまだ座布団は飛んでいた。
なにしろ名古屋場所で愛知県蒲郡出身の玉の海の全勝優勝だから
みんな興奮していた。
ちなみに僕は当時から今大相撲の辛口解説でお馴染みの
北の富士さんのファンだったけれど。
玉の海はその全勝優勝のわずか三ヶ月後に
盲腸炎の手術がらみの心臓発作でなくなってしまった。
学校からかえると「ケンボウ、玉の海死んでまったぞ」とぼくに
教えてくれたのはやはりそのおじだった。
なんかあのときは信じられなかった。
翌日の新聞には北の富士がハンカチで涙をぬぐう姿が
新聞写真に載っており、新聞の見出しは
むごい、かわいそうに、北の富士男泣き。と出ていた。
昭和の時代の見出しだなあと思う。
記事を読むと本当に記者会見での北の富士の第一声は
「むごい、かわいそうに」だった。
その記事を読んで僕は泣いた。
ちなみにそのときの大鵬のコメントは
「玉の海も力をつけてきて安心してあとを託せると引退したのに」というような
あるいみ大鵬らしい実直なコメントだった。
今も北の富士さんの解説は情感が表に出ることが多いけれど
現役時代も情感たっぷりだった。
負けたときの苦笑いは本当になんとも言えない色気があった。
北の富士が負けて土俵を下がるときに見せる
あの色気のある苦笑い、僕は大好きだった。
あれから、47年の月日が経過した
今でも横綱が負けたり、優勝が決まったりすると
場内アナウンスは相変わらず「危険ですから座布団はおなげにならないでください」
と何度も何度も叫んでいる。
そんなに危険な座布団なら相撲の会場に一切おかないようにしないと
いざ死者が出てからでは47年以上も危険に気づいていながら
対策を怠った責任はきわめて重いと思う。
裁判になったら多額の賠償金を命じられる可能性も否定できない。
そんなに長い間、危険を知りながらなにもせずに放置していたわけだから。
死者や怪我人が出ないことを心から祈りたい。