ケンのブログ

日々の雑感や日記

京都市交響楽団第638回定期演奏会

2019年09月22日 | 音楽
昨日は京都コンサートホールに京都市交響楽団第638回
定期演奏会を聴きに行った。
指揮は下野竜也さん。
最初に演奏されたのは
ブルックナー スクロバチェフスキー編曲
弦楽五重奏曲ヘ長調WAB112からアダージョ
下野さんが指揮棒を柔らかい曲線を描くように
動かしておられてそれに連動して演奏もふわっとやわらかい
感じだった。
僕ブルックナーの曲のメロディあんまり覚えてないから
大雑把な印象だけれど
聴いていて交響曲第七番 八番くらいのアダージョとにているシーンも
あるなと思っていた。
ただ、もとが弦楽五重奏曲なので交響曲のアダージョよりも
浄化された音楽というイメージだった。
あと下野さんは音楽のもつ推進力もけっこう重視した
演奏をしておられておかげて眠くなりがちの
アダージョもちゃんと覚醒した状態で聴くことができてよかった。

次に演奏されたのが
モーツァルトピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491
ピアノ独奏はヤン シリエツキ

第一楽章
下野さんがプレトークでベートーベンのピアノ協奏曲第3番ハ短調
とこの曲が同じ調性であることに触れたおられた。
そういえば冒頭の入りかたはベートーベンの3番とにているようにも思える。
短調の曲だとぐっとえぐるような弦の響きを期待してしまうところが
僕にはあるけれど、なんか弦楽器はさーっといくような感じだった。
もう少し踏み込んで弾いてほしいと思うシーンもあった。
木管はとても美しくやはりモーツァルトの短調の曲は
ひと味違うなと思う場面もいくつかあった。
第二楽章
ピアノがテーマを奏でて、そのままのテンションでオーケストラの
演奏も出てきた。
ピアノが最初の演奏の雰囲気を形作りそれに
オーケストラが乗っかってくるという感じだった。
楽章後半で演奏が明るい雰囲気を醸し出したときは
本当にほんわかとして
ほっとした気持ちになった。
下野さんこういう表現とてもうまいなと思った。
第三楽章
この楽章もいい感じだと思って聴いていた。
途中で演奏がふっと明るい
雰囲気になるところがあって
なんだかそのときは幸せな気持ちになった。
本当に下野さんこういうところの表現うまいなと思った。

曲全体を通じてオーケストラをあちこち見ていたので
ピアノに集中するのがちょっとおろそかになってしまった。
なんか、ちょっと印象派の音楽っぽく聴こえる演奏だなと思った。

アンコールにシューマンのトロイメライ
中間部はけっこうテンポを速くする演奏だった。

カーテンコールの時ピアノのシリエツキさんと下野さんの
身長差がかなりあってちょっとユーモラスに見えた。

20分の休憩をはさんで次に演奏されたのは
ベートーヴェン 交響曲第6番 田園 ヘ長調 作品68

この曲は家でCDで頻繁に聴く曲なので
なまで聴くとここはこの楽器からこんな風に音が
出とるんか という感じであちらの楽器こちらの楽器に
きょろきょろ目移りがして演奏が終わってみると
どんな演奏だったかあまり覚えていないという状況に
なってしまった。

プログラム前半 モーツァルトのピアノ協奏曲の第一楽章で
なんか弦楽器がさーっといってしまう感じに僕には聴こえて
田園もあんなんだったらどうしようかとちょっと心配だった。
結果は第一楽章からコントラバスをはじめとして
弦楽器からしかるべきひっかかりのある音が出ていたので
安堵した。

かなりの熱演であったと思う。

第一楽章で下野さんがほとんど指揮棒をうごかさずに
腰を中心とした身体でリズムをとるだけて
オーケストラが演奏を進めていく場面があった。
なんか、なんかみんな気合いが入っているなと思った。

第二楽章の鳥のさえずりは
下野さんがプレトークでトントトンとオーボエがうずらの鳴き声をだして
それからクラリネットでカッコウと言いますと
くわしい解説をしてくださった。
そうだったのか、知っているようで知らなかったと思って
その場面はステージにとても注目しながら聴いた。
オーボエがトントトンと奏でるとクラリネットがすばやく
カッコウと奏でてその残響がホールにけっこう
神々しく聴こえた。
クラリネットの素早さとそのあとの残響は
耳に心地よかった。
こんなところもベートーヴェンはやはりすごいなと
今さらのように感心してしまった。
ちなみに下野さんのプレトークによると
このトントトンの音形は交響曲第7番の第一楽章の
主題 交響曲第9番の第二楽章の主題にも出てくるとの
ことだった。※第9とおっしゃったかどうかはちょっと
一瞬聞きそびれてしまったけれどそのあと下野さんが
歌ったメロディが第9の第二楽章の冒頭の
モチーフだったのできっと間違いないと思う。

言われてみればその通り、気づかなかったなあと思った。
なんかプレトークでいいこと聞いたなという気分になった。

第三楽章
田舎の楽しい気分がよく出ていた。
本当に下野さん楽しい気分をかもしだすのが得意だなと思った。

第四楽章
下野さんがプレトークでベートーベン以上に嵐をうまく
表現した作曲家はいません。
リヒャルトシュトラウスもロッシーニも
ベートーヴェンには負けますと言っていた。
演奏をきいて本当にその通りと思った。
ティンパニーの雷のような鋭い一撃が
心地よかった。

第五楽章
フワッとした柔らかさがあってよかった。

とてもいい演奏だった。
ただ、第五楽章や第一楽章で
曲想が壮大になるところで
ブルックナーじゃないんだから
そこまで風呂敷広げなくてもと思った場面があった。
でもそういうのは個人的な好みの問題なので。
久しぶりに田園をいい生演奏で聴けてよかった。

最後に広上淳一さんがでてきて
下野さんに花束を渡していた。
そして、下野さんはこれから日本の指揮界を背負っていく人なので
健康には気をつけてという意味の檄を飛ばしておられた。
これからも下野さんになるべく関西に来てほしいものだと思う。