「こんにちは。今日はどうなさいました? 」
爽やかな笑顔で、先生は私を見た。
「一昨日くらいから、熱が出て風邪薬を飲んで寝てたら、熱は下がったんですけど、どうも、味覚が鈍くなったような気がするんです。」
私がそう答えると先生はカルテにさらさらと文字を書き、「じゃあ、少し診させていただきますね。先ずは、おおきく口を開けてください。」
と、言った。
私は、少しためらいながら大きく口を開けると、先生がペンライトで口の中の様子を見て、
「はい、ありがとうございます。じゃあちょっと首を触りますね。」
と言って、手際よく両手で私の首の喉回りを抑えた。
「うん。扁桃腺は大丈夫ですね。」
「じゃあ、心臓の音を聴きますので上着を上にあげてください。」
私は、いそいそと上着をめくりあげると、先生は聴診器をつけて、私の心臓の音を確かめた。
「うん。大丈夫ですね。ありがとうございます。じゃあ念のため、PCR検査しますね。」
「ちょっと痛いですけど、すぐ終わりますので我慢してくださいね。」
先生は繰り返される動作のように、袋から綿棒を取り出し、私の鼻の穴の中に入れて粘液を取り出した。
そして、綿棒を取り出すと、看護師さんに渡し、「これ、検査お願い。」と、言った。
「五分ほどで結果が分かるので、中待合でお待ちください。分かり次第お呼びします。」
「ありがとうございます。」
私は、中待合に移り結果を待った。その間、先生は、私の次に呼ばれた患者さんの診察に移った。
ぼんやりとした頭で、色々考える。明日は仕事を休もうか。それとも、このまま熱が下がったら、ちょっと無理してでも仕事に行こうか考えていた。
「○○さん。」
さっき、検査しに行った若い看護師さんが私の名前を呼んだ。あまり力の入らない身体を持ち上げて、診察室に移る。
「○○さん。コロナA型、陽性です。今以上に症状が重くなるといけないので、注射を打っておきますね。それから、熱が出た時の頓服と、コロナウィルスを抑える薬と、胃が在れるのを抑える薬を2週間分出しておきますので、最後までしっかり飲み切ってください。それから5日間はしっかり自宅でしっかり休んでください。会社への診断書はどうされますか? 」
「あっ、すいません。ありがとうございます。診断書もよろしくお願いします。」
「わかりました。診断書も出しておきますね。お大事にしてください。じゃぁ、隣りで注射を受けていってください。」
「ありがとうございます。」
すると、先生の後ろにいた看護師さんが、
「じゃあ、こちらへどうぞ。」
と、言って私に優しく声をかけてくれた。
「最初に熱が出た時は辛かったでしょう? 」
「はい。インフルエンザかなとも思ったんですが、念のために受診しておいてよかったです。」
「よい判断でしたね。ほおっておくと、後が大変なのがコロナの特徴ですからね。じゃあ注射しますね。腕まくりしてください。」
若い看護師さんは手際よく注射を打ってくれて、とても感心した。
「後はゆっくり休んで、体力をつけてくださいね。お大事に。」
「ありがとうございました。」
私は軽く礼をして、安堵しながら診察室を後にした。
コロナウィルスが終息した医療現場は、こういう状態を指すのだと思う。
爽やかな笑顔で、先生は私を見た。
「一昨日くらいから、熱が出て風邪薬を飲んで寝てたら、熱は下がったんですけど、どうも、味覚が鈍くなったような気がするんです。」
私がそう答えると先生はカルテにさらさらと文字を書き、「じゃあ、少し診させていただきますね。先ずは、おおきく口を開けてください。」
と、言った。
私は、少しためらいながら大きく口を開けると、先生がペンライトで口の中の様子を見て、
「はい、ありがとうございます。じゃあちょっと首を触りますね。」
と言って、手際よく両手で私の首の喉回りを抑えた。
「うん。扁桃腺は大丈夫ですね。」
「じゃあ、心臓の音を聴きますので上着を上にあげてください。」
私は、いそいそと上着をめくりあげると、先生は聴診器をつけて、私の心臓の音を確かめた。
「うん。大丈夫ですね。ありがとうございます。じゃあ念のため、PCR検査しますね。」
「ちょっと痛いですけど、すぐ終わりますので我慢してくださいね。」
先生は繰り返される動作のように、袋から綿棒を取り出し、私の鼻の穴の中に入れて粘液を取り出した。
そして、綿棒を取り出すと、看護師さんに渡し、「これ、検査お願い。」と、言った。
「五分ほどで結果が分かるので、中待合でお待ちください。分かり次第お呼びします。」
「ありがとうございます。」
私は、中待合に移り結果を待った。その間、先生は、私の次に呼ばれた患者さんの診察に移った。
ぼんやりとした頭で、色々考える。明日は仕事を休もうか。それとも、このまま熱が下がったら、ちょっと無理してでも仕事に行こうか考えていた。
「○○さん。」
さっき、検査しに行った若い看護師さんが私の名前を呼んだ。あまり力の入らない身体を持ち上げて、診察室に移る。
「○○さん。コロナA型、陽性です。今以上に症状が重くなるといけないので、注射を打っておきますね。それから、熱が出た時の頓服と、コロナウィルスを抑える薬と、胃が在れるのを抑える薬を2週間分出しておきますので、最後までしっかり飲み切ってください。それから5日間はしっかり自宅でしっかり休んでください。会社への診断書はどうされますか? 」
「あっ、すいません。ありがとうございます。診断書もよろしくお願いします。」
「わかりました。診断書も出しておきますね。お大事にしてください。じゃぁ、隣りで注射を受けていってください。」
「ありがとうございます。」
すると、先生の後ろにいた看護師さんが、
「じゃあ、こちらへどうぞ。」
と、言って私に優しく声をかけてくれた。
「最初に熱が出た時は辛かったでしょう? 」
「はい。インフルエンザかなとも思ったんですが、念のために受診しておいてよかったです。」
「よい判断でしたね。ほおっておくと、後が大変なのがコロナの特徴ですからね。じゃあ注射しますね。腕まくりしてください。」
若い看護師さんは手際よく注射を打ってくれて、とても感心した。
「後はゆっくり休んで、体力をつけてくださいね。お大事に。」
「ありがとうございました。」
私は軽く礼をして、安堵しながら診察室を後にした。
コロナウィルスが終息した医療現場は、こういう状態を指すのだと思う。