すずめ休憩室

日々のこと、好きなこと、飼っていたペットのことなどなど・・・。
気の向くままにつづってみました。

「杖と翼」

2006年09月04日 | 漫画・本
木原敏江さんの作品で「杖と翼」小学館プチフラワーコミックスで全6巻、文庫で全4巻
実は以前にコミックスの方を友達から借りて完読しているのですが、今回文庫化にあたり160ページもの大幅加筆があることを知り、青池トピで知り合ったふぉたさんからお借りしました。ありがと~ふぉたさん

舞台はフランス革命直後、ドイツに住んでいた貴族の娘・アデルはレオンとの幼い日の約束を胸にフランスに密入国しようとする。そこで貴族の逃がし屋をしていたリューとファーブルと出会い無事フランスへ入国するのだが、貴族というだけで処刑される革命フランスの中で新進気鋭の若手政治家として名を馳せていたレオンことサン・ジュストとアデルとの行く末は・・・

その演説でフランス国王ルイ16世の処刑を決定づけたともいえる政治家・サン・ジュストに不思議な癒しの力を持つおてんば娘・アデルという架空の人物を絡め、難しく判り難いフランス革命政府の移り変わりを判りやすく描いています。

木原さんの絵って変わりましたねー昔はお目目キラキラでまつげバサバサの耽美が似合う感じだったけど、人物の特徴がデフォルメされるようになりましたね。ロベスピエールの肖像を改めて見た時、そっくりでびっくりしましたもの。よく実在の人物を漫画に登場させる場合、まったく違う顔になるか、自身の絵から浮くことがありますが、自分の画風を崩さずしかも似せる・・・これぞ木原さんの凄さなんでしょうね。

ネタばれになりますが(まっ史実なので)、多くの革命政治家が断頭台の露と消えた革命政府。もちろん「テルミドールの政変」ではロベスピエールもサン・ジュストも例にもれず逮捕されてしまうのですが、何故「名演説家」でもあったサン・ジュストがその場で一言は発せず、逮捕されてしまったのか・・・そしてルパやロベスピエールの様に自殺を試みることもなく処刑という屈辱的な死を受け入れたのか・・・その辺りの木原流の解釈がいいんですね。
史実はそのままに、甘く切ないだけじゃない、夢というものに向かうことの大変さ、理想と現実の違いなと・・その全てがタイトルの「杖と翼」とう言葉に凝縮されている

今も残るサン・ジュストの肖像は確かに美男子で、そしてなにか遠くを見つめているような不思議な雰囲気。真っ直ぐに未来を見つめるようなロベスピエールとは対照的な雰囲気なのですが、そんな彼の思いを想像しながら是非この「死の大天使」と呼ばれた男の秘めた恋、堪能してください。

サン・ジュストといえば「ベルサイユのばら」にもちょこっと出てくるあの黒髪の美青年ですよね。同年代を扱った漫画を読むと一層面白いかも

さて余談ですが、コミックス版を読んでいたにも関わらず、160ページの加筆のうち殆ど何処が加筆なのか判りませんでした(汗)なんておバカな脳・・・_| ̄|○
なんとなくこのページはそうかなと感じる部分はあったけど断言できないのよね。でもレオンがひなげしの花を思い浮かべながら最期を迎えるシーンは覚えているけど、あとの部分(アンリエッタのその後とか)やアンリ・ラ・ロシュジャクランの話とか記憶にないトコもあるのでもしかしたらその辺りなのかな(でもただ単に忘れているだけかもしれんし)・・・と言っても160ページには全然及ばないのだけど(汗)

興味のある方、是非コミックスと文庫の読み比べなどもしてみて下さい(笑)