長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

ハリスの風

2016-12-23 09:12:57 | Weblog

昔アニメでそんな人気番組があった。

昨日はハイスの風が吹いた一日だった。今年の始めに「佐賀の気骨の職人」

のKさんが旅立った。2年天真庵で月一で鮨会をやってくれた。始めた時も末期のガンで

魚と包丁などをもってくるのは大仕事であるし、彼用の包丁を準備した。合羽橋の包丁店など

いろいろまわったけど、納得するものがなかった。自分も若いころから料理をするので、柳や出刃

などは持っていたが、池袋からこちらに越す時にキッチンにおきわすれたままだった。とりにいけばすむ話

だけど、池袋の大家と「屋上庭園」のことでもめて、包丁がおいてけぼりになったままだった。

そのころ近くに、カリスマの包丁職人さんがいた。彼も昨年旅立ったけど・・

散歩の時に、ときどきあったので挨拶をしていた。家の前に「包丁研ぎます」と張り紙があって、一度

そば包丁をもっていった。研ぎ終わったものをつかってみたら、まったく新品のものより切れる、という感じだった。

そしてある日思い切って、そこで柳と出刃を買う。包丁にしては少し高いけど、一生使える、と思ったら

値打ちがある。ハイス(SKH2)を使って、彼が一本を2週間近くかけて作るものだ。

そのカリスマさんはまた、「おし切り」の名人でもあった。その遺作みたいなものを昨日もらってきた。

さびてはいるが、刃はハイス(SKH2)を使っている。

昨日は「NUSUMIGUI」くんのとこで少しはやめのクリスマスパーティーだった。彼らにいただいた「ペリカンのようなおし切り」

をあげた。「ものつくり」の魂がバトンタッチされたような気がする。

便利な生活を、ぼりぼりしながら追い求めてきた結果、身のまわりにはあまり魂のこもっていないものがあふれている。

NUSUMIGUIくんたちは、おりおりでさしあげた久保さんの器を大事に使ってくれていて、昨日も骨董のようなテーブルに

久保さんの黄瀬戸や織部のお皿に、今風の創作料理が並び、ワインを酌み交わしながら、「夢」を談論風発。

今日の夜は「インヨガ」です。呼吸を整えたり、ゆったりする時間を持つ、そんな当たり前のことがなおざりにされているようで

しかたない。