長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

匠の技が、またひとつ消える

2010-04-06 07:09:41 | Weblog
今住んでいる家の前に、古色蒼然とした町工場がある。
毎朝7時くらいに、70歳になる主人が自転車にのって、
やってきて、旋盤などをまわし、規格外のねじや部品を
つくってきた。リーマンショックもあるけど、日本の製造業
がしばらく凋落ぎみなので、仕事も激減し、昨年末に廃業
を決めた。そうしたら、デパートの閉店の時と同じように、
お客さんから注文が多くなって、「最後の仕事」と苦笑いしながら、
4月まで伸びた。でも工場の前に積んだドラム管の中の削られた金属の
ゴミなんかを整理し始めたので、そろそろ緞帳を下ろすXデー近し、
という感じだ。

長くやればやるほど、技が磨かれ、人間力が吐露したようなものが
できる、というような仕事は、素敵だと思う。
ただし、その積み重なれた「味」を理解できる「お客」がいるのが
絶対条件になる。どうも後者が、どの分野においても育っていない
ような気がする。
みんなで「ひゃっきん」みたいなものばかりを生活のまわりに
置いていると、人生も「ひゃっきん」みたいになる。
ま、あまりこだわりすぎても、ひゃっきんより借金だらけに
なるやも知れないが・・・
じっと手を見る、じっと財布の中を見る。


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