美術の学芸ノート

中村彝、小川芋銭などの美術を中心に近代の日本美術、印象派などの西洋美術。美術の真贋問題。広く呟きやメモなどを記します。

12月12日(土)のつぶやき

2015-12-13 03:29:36 | 日々の呟き

直木賞作家、小池真理子さんの小説「無伴奏」が映画化されるそうだ。→今朝の朝日新聞
佐伯一麦さんは小池さんよりも少し遅れて「無伴奏」にやはり行っていたようだ。
実は私も小池さんの時代の無伴奏に通ったものだ。
この喫茶店バロック音楽専門だがモーツァルトだけが例外だった。


この「無伴奏」には左側の壁の前方にJSバッハの画像を木炭でコピーしたデッサンが掲げられていた。
喫茶店のマスターKさんの奥さんの友達が描いたものだと聞いたことがある。
そぼ降る雨の日などこの喫茶店のドアに向かってビル地下の階段を降りていくと独特なコーヒーの匂いが漂ってきた。


子供の頃、太陽の角度など意識せず、夏も冬も変わらないように思って、いつまでも遊んでいた。
今や、理科の先生に教わらなくても、冬になると太陽の角度が思いのほか低くなって、すぐに日が翳ってしまうことを知るようになった。
今日あたりも、もう太陽が地平線近くにあるように感じられる。


小磯良平の「斉唱」はピエロ デラ フランチェスカの「生誕」を想起させる。
小磯はドガやフェルメールだけでなく、西洋美術の非常に多くの画家たちから影響を受けており、彼の作品の中に西洋絵画史の大まかな流れが見て取れる感がある。
作品を理解するとその影響が率直に出る画家なのだろう。


芸術家の例に限らず自分が他の作家の作品に共感したり、それを深く理解したりすると、その影響は必ず何らかの形で外に現れなければ済まないものとなる。


模倣なり、真似なり、似ているということから始まるのが学習の原理ではなかろうか。
優れた人々はそのことを隠さないし、それを乗り越えていっそう独自なものを築いていくようだ。

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