だいぶ間が空いてしましました。もしかしたら日本で何名かいるかも知れないレポートを期待していた皆様、済みませんでした。
さて、気を取り直して5月22日(水)晴れ。一般公開を見に行ってきました。場所は国会議事堂の前にある公園内。かつてここには憲政記念館があったのですが、国会図書館の新館工事に伴って少し離れたバスターミナル奥に規模を縮小して移転、仮営業(見学無料ですけど)していました。
一般公開されるのは6月3日の「測量の日」に関連する行事で、毎年やっているとの事でした。この歳迄全く知らなかった。
公園に入るとのぼりが立っていました。国土地理院が主催しています。
のぼりを越えて少し先の丘の上にこの「日本水準原点標庫」がありました。普段は固く閉ざされた前後の鉄扉が開いています。人と比較して大きさ感が分かるでしょうか。
こちらが裏側、この小さな石造建築が我が国の標高の基準を格納しているのです。
そして表側。小さい鉄扉が開いていて、中に見えている白い縦長の水晶製のパネルが「水準原点」です。
これを直に間近で見ることが出来ようとは!ちょっと感動です。水晶版に目盛りが刻まれています。
2011年の東北地方太平洋沖地震発生後に、この水晶版のゼロ目盛りを24.3900mと定めています。これを基準にして標高を算定しているわけです。
建物正面側のファサード。よく見ると菊の御紋の間の文字は右から「大日本帝国」です。ここは国交省の国土地理院の管理施設です。国が管理する施設にこれだけ堂々と「大日本帝国」と書かれているのは多分ここだけでしょう。元々は陸軍測量部の施設だったので頷けますね。
この水準原点はこのように地下深くの岩盤に乗っています。
さて、今回の公開でぜひ確認したかった事があります。この水準原点の高さが正確なのかは、毎年1回東京湾の平均海水面から測量で測って確認しているという事実をだいぶ前に本で読んだことがあります。GPSで瞬時に緯度・経度・高さが確定できる現在もそれをやっているのか?と言う事です。
展示してあるパネルの脇で解説していた恐らく国土地理院の職員さんに、この疑問をぶつけてみました。
やっているそうです。具体的には油壷(マリンパークは閉鎖してしまいましたね)にある水位観測所から、この国会議事堂前まで100キロ越の距離を、道路工事現場でたまに見るような測量の機械を使って人力で測っているそうです。1回の計測で進める距離はなんと80m!1日で約2キロの距離を計測したら、一度開始地点まで逆向きに計測し、つまり同じ場所を2回計測して正確を図るのだそうです。カーブがきつくて見通せない場所では、当然これよりも1回の計測距離が短くなります。1日2キロで100キロ越・・・ほぼ尺取虫。こうして水準原点の正確性は保証されているのでした。
感動です長年の疑問が解消しました。
年に1度、測量の日に前後して公開されています。大人の社会科見学に如何でしょうか。
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