プクプク日記 観劇 映画 落語 スポーツ観戦 読書の日々

今日は帝劇 明日は日劇 はたまた国技館に後楽園ホール さらには落語家の追っ掛け 遊び回る日常を描きます。

7編の短編で紡ぐホテルの一生「聖アンセルム923号室」

2016-10-10 10:33:32 | 日記
先日読んだ「鍵の掛かった男」のなかで「とても面白い」と紹介されていたコーネル・ウールリッチの「聖アンセルム923号室」読んでみました。
1896年に開業した「聖アンセルム・ホテル」が1957年に、その役目を終えるまでを7つの短編に乗せて描いた作品。「923号室」に泊まる人々を描き、なかなか面白い作品でした。
1話目は 開業した6月20日の夜。つまり、この部屋に初めて泊まったお客さん。インディアナのコンプトン夫妻。新婚初夜を迎える若々しいカップル。が、夫は、帰ってきませんでした。
2話目は、それから20年後の4月。軍隊に入隊する男の子が、最後の1夜を過ごそうと女の子をホテルへと呼び出す。盛り上がりすぎた2人は・・・
3話目は、その1年後。戦争が休戦になり、再び、2話で登場した2人の男女がホテルに。
4話目は、禁酒法などの時代。追い詰められたギャングのボスのお話。
5話目は、1929年10月。大恐慌 一時は栄華を極めた男が零落して・・・
6話目は、日付が最後に明かされる趣向の作品。アメリカ人の娘との結婚を反対される男の話。1941年12月6日の出来事。
ラストは、1957年9月30日。明日で閉鎖されるホテルにやってきた老婦人。彼女は、1話目に登場した夫を失った未亡人が、思い出の詰まったホテルで。
1話1話が凝ったつくりで、面白く読みました。短編の妙ともいうべき作品。アメリカの時代背景を、もっと詳しく知っていれば、なお楽しく読める作品です。