最後の晩さん～素ラーメン

土曜日、カー様と派手に飲みほうけたヒゲ夫婦。
　　　　　　　　　　　（ ２０１８．４．１　の前ブログ参照　）
日付が変わって帰宅したのは当然の事でした。
店休日でもある日曜日、カァちゃんは、“携帯”持ってゴルフの練習に行った。
ヒゲは、やれやれとNHK杯将棋を観戦し始める。
やがて、母親から頼まれた野暮用を済ませて、昼食にインスタント・ラーメンを用意した。
　　　　　　　　　　　　　　　　
『　九州ラーメン・うまかっちゃん　』 を平らげて暫くしての事です。
背か腹のあたりに、激痛がはしったのです。
「　ヤバい！　」　本能的に、トイレに駆け込みます。
もし、“　もしも！　”　ですが、カァちゃんが携帯電話を持って行かなかったら。
歴史は、こんな風に変わったかもしれません。

ヒゲ家に駆けつけたのは、救急車では無く、“科捜研の女”だったでしょう？　（笑）
　　　　　　　　　　　　　　　　
　　熊本市の住宅街で、変死体が発見された。　　　
　　階段から転落した様に見える。
　　捜査に当たったマリ子たちは、遺体を見て驚いた。
　　数日前に、捜査一課の土門達と一緒に、天ぷらを食べに行った店のマスターだった。
　　当初は、事故が疑われたのだが　・・・　。
　　何しろ、当人は前日に大酒を飲んでいる。
　　次の日、二日酔いでフラフラとつまづいて、階段を転落したのではないか？
　　しかし、アケミ奥さんが出掛ける時には、アルコールの影響はないようだったと供述。
　　現場検証をする内に、不思議な事実が判明した。
　　当人の手の指紋がトイレの前に、べったりと付いている。
　　つまり、四つん這いになってトイレから出た事になる。
　　ラーメンを食べた直後に、苦しみだした可能性がある。

　　土門警部に、苦い記憶がよみがえった。
　　グリコ森永事件の毒入り菓子のことだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　まさか、無差別にインスタント・ラーメンに毒が混入されていたのでは？
　　状況は毒殺！
　　解剖は、ドクター若村麻由美に託された。
　　　　「　では、開きます！　」　　
　　未消化のラーメンには、毒物は検出されなかった。
　　胃の内容物を見たマリ子は、首をかしげた。
　　　　「　土門さん、おかしいワ？　
　　　　　　だって、被害者は、常々“美食家”として吹聴していたのヨ。
　　　　　　こんな、具が何にもないインスタントラーメンなんて、食べるかしらん？
　　　　　　この間のカウンターでの会話でも、フカヒレとかスッポンのラーメンなら
　　　　　　食べてもイイと言っていたでしょう。　」
土門　　「　そうだな。　こんな素ラーメンなんて、素浪人みたいで人聞きが悪い。
　　　　　　美食家として恥になるもんな。　ハハハハー　」
マリ子　「　あら？　土門さんも、そんな親父ギャグを言うことがあるのね。　クスッ　」

監察医　「　マリ子さん、判ったワ。
　　　　　　死因はコレね。　大動脈乖離！　間違いないワ。
　　　　　　多分、本人は、ラーメンを食べた直後に発症して、無意識の内にトイレに向かったハズ。
　　　　　　トイレから出る時には、もう歩けないので、四つん這いで進んだのヨ。
　　　　　　奥さんに連絡しようとしたが、携帯電話を持って行ってないのに気付いた。
　　　　　　助けを呼ぼうと、階段這って降り様としたのね。
　　　　　　しかし、階段の途中で力尽きて　・・・　。
　　　　　　この病気は仕方ない。　普通は２～３分間でおしまいだから。　」
マリ子　「　じゃあ、もし奥さんがケイタイを持って行ってたら、連絡を取る事が出来、
　　　　　　被害者は無理に動く事なくて、助かった可能性があるのね。　」

そうです。
もし、カァちゃんが携帯を持たずに出掛けていたら　・・・　。
ヒゲの人生最後の食事は、“　具なしのインスタント・ラーメン　” でした。
　　　　　　　
すると、世間様では、こんなウワサが。
　「　ケッ、田園のヒゲめ！　最後は具なしの“うまかっちゃん”てばい。
　　　常々、食通ぶっておるのに、見苦しか～　ハハハハー　」
人間の運命は、どんな小さい事で変わるか？、わからない見本みたいです。

　　　　　　　
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