イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

モンフェッラート ロッソ ピン 1997

2014-03-04 09:50:19 | ブログ

Monferrato_rosso_pin97_2 今回抜栓したイタリアワインはラ スピネッタのモンフェッラート ロッソ “ピン”(Monferrato Rosso Pin)1997です。ここまでエイジングをすると、丹念に鞣されたタンニンはシルクのような滑らかになり、酸も角をすべて研磨された様に穏やかな味わいになっています。グラスを回すと3秒ほどしてからリングから涙を流します。外観は若々しく、曇った様子は見られません。味わいもフレッシュな状態を保っています。コメントはリストに書いてある印象と同じです。味わいのバランスの良さに構成力の大きさは長いエイジングがワインの素質を開花させたと思っています。“ピン”は2000年以前のセパージュではカベルネ ソーヴィニヨンを加えています。その影響かもしれませんが。香りにグリーン ノーツを感じます。鮫皮で下ろしたワサビのようなフレッシュなグリーン ノーツです。ツーンと来る香りはありませんが。飲むことに喜びを感じさせてくれ、すこぶる酔い心地が気持ち良いワインでした。


カレーマ リゼルヴァ 1999

2014-03-01 21:44:37 | ブログ

Carema99 今回抜栓したイタリアワインはプロドゥットーリ ネッビオーロ ディ カレーマのカレーマ リゼルヴァ (Carema Riserva)1999年です。このワインは2001年と一緒に購入しリリースされてから10年が過ぎたワインです。この価格帯なのでコンディショニングを軽く済ませることで飲み頃を迎えるのではないかと思っていたのですが。2年3年が過ぎても、単純に酸が強く、長いエイジングが必要であると判断しました。奏功している間に2001年は在庫が切れ、2004年を購入した時に、いったんプライスタグをはずしました。このワインはバローロやバルバレスコと同じネッビオーロから造られます。リストにはピエモンテ州でネッビオーロ種のグループに入っています。そのためだと思いますが、当初は比較的に安価なこともあり、飲まれていました。しかし、この不完全な状態のままではいけないと思ったからです。プライスタグを張り直したのは1年くらい前だったと思います。
生クリーム、ココアのほんわりした香りに桃の花、サクランボの花、完熟したクランベリーのふわりとした香りに、何気に現れるミネラリーな香り。滑らかさを通り過ぎたような柔らかなタンニンに、酸っぱさをどこかに忘れてきたような酸は、バローロの産地より50km北部という割には彷彿とされる印象が一切ありません。ネッビオーロのクローンの違いによる影響だと思われます。ちなみに30年前の資料にはネッビオーロのクローンであるピクトネルとプニェから造られるとあります。出過ぎたところの無い、優しく丸みのある果実味。素朴な味わいとは違う、清楚で陰影のくっきりした、はにかんだ様な味わいはバランスよく可愛らしくさえあります。
構造が大きくはなく、さほど複雑ではないし、深くもなし広くもありません。表現の違うネッビオーロのワインの一員として、これからも見守っていきます。それから一つ、位置づけはバローロやバルバレスコのセコンドではありません。これはこれで世界観がしっかりあります。