鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

這龍図三所物 後藤顕乗 Kenjo-Goto Midokoromono

2011-12-20 | 鍔の歴史
這龍図三所物 (鍔の歴史)



這龍図三所物 後藤顕乗

 戦国時代末期から江戸時代初期にかけての、文化的に桃山時代と言われる特異な風俗や文化が発展した頃の、後藤宗家七代顕乗の作。装剣小道具は総体に豪壮で華やかになる傾向がある。この顕乗や、殊に六代栄乗などに、図柄構成やふっくらとした造り込みなどにも特徴が現われている。顕乗もまた技量が高く、古くから「祐、光、顕」などと評価の謂いが残されている。ここに紹介している三所物は、いずれも揃金具としての伝来品であり、殊に出来の優れた作だけを選んでしまったが故、良いとか悪いとかという差が余り感じられないかもしれないが、まずは比較鑑賞されたい。
 顕乗は宗家五代徳乗の次男。長じて独立、理兵衛家を創設。だが、六代栄乗の嫡子が若いうちに栄乗が没したため、合議によって宗家の職を預かることとなり、栄乗嫡子が長じて後に家督を返上している。後に加賀前田家の御用を勤め、加賀金工の発展に寄与している。