鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

葡萄唐草図小柄 古美濃 Komino Kozuka

2014-11-02 | 鍔の歴史
葡萄唐草図小柄 古美濃


葡萄唐草図小柄 古美濃

 これも拙い魚子地処理だ。ところが、高彫された葡萄の葉の構成、葉の縁、所々の打ち込み、葡萄の実の丸さの処理などは精巧で丁寧である。なぜ魚子地はこんなに揃っていないのだろうと感じるほど。このギャップも面白いと感じる。江戸時代を下って来ると、魚子地専門の職人がおり、魚子地のみに技術を集中させていたという。室町時代には、高彫を施した職人自らが魚子地も打ったと考えて良いのであろう。この小柄の魚子地は、常に見られるような粒の大きさではなく、かなり小さい。それが原因しているのかもしれない。確かに光沢のある磨地より、このような霧のかかったような背景の方が、主題が映えるし数段美しい。