鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

洛中洛外図鍔 京献上 Kyo-Kenjo

2014-11-13 | 鍔の歴史
洛中洛外図鍔 京献上


洛中洛外図鍔 京献上

 鉄地を平滑に仕上げ、その表面に細かな筋を無数に切り込み、文様に沿って金の薄い板を叩き込んで象嵌する。この手法を布目象嵌と呼んでいる。江戸時代の京都では、正阿弥派などがこのような京都近郊の風景を文様表現した鍔を多く製作している。京都土産として自国の上司に献上したものであろう、「献上鍔」と呼ばれている。面と線、地透を組み合わせて華麗な鍔面を創出しており、広く好まれたと推考される。画題の多くが屏風にも採られるような洛中洛外や近江八景など京都近郊の風景である点も好まれた理由であろう。とにかく視覚的に面白い。布目象嵌という手法であるが故に金が脱落してしまった遺例も多いが、その風合いも味わい深い。