核兵器禁止条約
この条約が国連で締結されてから、2020年7月7日で3年を迎えた。
核兵器が通常兵器と違う点はいくつかあるが。
1、大量で無差別な殺傷能力を持っていることである。国際法では非戦闘員の殺害は禁止されているが、核兵器はそういった区別なく人間を殺傷する。それも大量に。広島、長崎の原爆で、それぞれ10万人の犠牲者がでた。(投下直後)いまはそれの10倍以上の殺傷能力をもつ核兵器がある。
2、放射線の影響が長く続く。核兵器の殺傷能力は、爆風、熱線、放射線の3種類。それぞれ大変な威力をもっているが、放射線の影響は何十年も長く続く。被爆70年を過ぎてなぽ未だに放射線障害に苦しむ人がいる。
3、日本は世界で唯一の戦争被爆国だ。
これを考えていくと核兵器禁止の緊急性がわかるだろう。
この核兵器禁止の運動が始まったのは、ビキニ環礁で第五福竜丸が被ばくした直後だった。それから70年余。ようやく核兵器禁止条約が国連で採択された。しかしこれだけでは効力がない。条約に調印した国々が自国へもちかえり、批准しそれを国連の事務総長に報告する。その批准国が50カ国に達して初めて効力を持つ。
現在、批准国が40カ国になった。あと10カ国である。効力を持つ現実性が出て来た。アメリカ、ロシア、中国などの核保有国は条約の批准はおろか、署名さえしていない。唯一の戦争被爆国の日本も同様である。
しかしこうして核兵器の製造、保管、使用のできない地域が増えていけば核兵器が使いにくくなる。それが昂じていけば核兵器の無力化が可能になる。核兵器を運べない地域が広がって行けば、核兵器保有国の大きなダメージとなる。
日本政府は条約に署名も批准もしていない。だが地方議会では、1788の地方自治体のうち四分の一をこえる26、06%の466の自治体が、国に条約への署名と批准の意見書を出している。そのうち61議会では条約批准の意見書が採択されている。
これを進めるべく、「被爆者国際署名」が世界で取り組まれ日本国内では1180万人をこえる署名が集まっている。
国連では5年に1回、核拡散防止条約再検討会議(NPT再検討会議)が開催されている。ここでの国際世論は確実に高まっている。何とか核兵器禁止が実現できるように念願している。