岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「IPS細胞の研究を巡って」

2013年08月04日 23時59分59秒 | 政治経済論・メモ
僕には胃がない。1995年に胃癌の宣告を受け、その年の内に、胃を全摘した。胃の周りの「リンパ線、リンパ管」も同様に摘出した。

 それ以来、不自由な生活を余儀なくされている。

 胃がないから蕎麦が食べられない。胃がないからラーメンが食べられない。胃がないからフライが食べられない。胃がないから天ぷらがたべられない。胃がないから酒が飲めない。胃がないからコロッケ、メンチカツ、トンカツが食べられない。


 また、2013年には「胆嚢の摘出」を行った。胃がないと、ビタミンB12が慢性的に不足する。このビタミンは胃で生成されるからだ。また、胆嚢が無いと、油もの、炒め物は食べられない。脂肪の消化吸収の力が弱くなるからだ。

 蕎麦、ラーメン、フライ、天ぷら、コロッケ、メンチカツ、トンカツ。これらは僕の好物だったものばかり。「だった」と過去形で言わねばならないのは、面白くない。


 胃の摘出をした当時は、「自分の食生活を変えるんだ」と意気込んだが、やはり好物の食べ物が制限されるのは何とも味気ない。

 命に別状があるわけではないが、食生活が制限されるのは、やはり人生の楽しみを半分削がれた感じだ。

 とくに貧血の問題は切実だ。「普通の努力では治らない」と医師は言うが、毎日「鉄剤」を飲み、2か月に1回、ビタミンB12を筋肉注射するために病院へ通う。この食物の制限があるために、屋外キャンプ、ハイキング、登山は出来ない。人生の楽しみが半分そがれたようだ。

 そこで僕の希望。人体のうち、胃、胆嚢、をIPS細胞から、作れないものか。

 知り合いに、胃を全摘し、3年間に5回も腸閉塞を起こして、今は「素うどん」しか食べられない人がいる。胃がないために食生活が不自由な人は案外多い。また胃がないために腹部の圧力が不安定で半身浴しかできない人もいる。

 そこで、一日も早く、胃、胆嚢が、IPS細胞で作られるのを待望しているのだ。

 勿論、生命倫理、安全性の問題があると思う。しかし、胃を全摘した者にとって、これほど切実なことはない。胃がないと腸閉塞を起こし易い。僕も一度発症したことがあるが、その痛さ!これは命にかかわる。そんな不安と隣り合わせで、胃のない人間は生活している。


・一息にビール飲み干す夢を見き術後一年胃のなきわれは(「オリオンの剣」)



最新の画像もっと見る