岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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原子力災害をめぐって(その収束と未来)

2012年03月04日 23時59分59秒 | 政治経済論・メモ

:どうするホットスポット:

 原発から遠く離れた地域に放射線量の多い所が相次いで見つかっている。神奈川県川崎市では、放射線測定器をかしだしている。さまざまな人が測定しているが、深刻なのは清掃工場からでる燃却灰。放射性物質が濃縮されて埋め立て処理や、工業原料への転用が出来ない。工場内で保管しているが、昨年末には一杯になっているはずだが、新聞テレビでの続報がないと思っていたところ、朝日新聞2/29付けに屋外に溢れんばかりならべられている様子が報道された。放射性物質がなくなる訳ではないのだから「処理」といっても保管するしかないのだ。それにしても新聞の紙面に占める割合が減っている。このまま忘れられそうで心配だ。


:キットとしての原子炉の安全は確保されたか:

 原発の水素爆発の直後、「原子炉が壊れた訳ではない。キットとしての原子炉の安全は確保された。」と述べた科学者がいたが、メルトダウンどころかメルトスルーが起こってコンクリートが解かされた。そこをつきやぶるとチャイナシンドロームというそうだが。これも続報がない。その科学者もそれ以来、テレビに顔を出さない。結局過度に安全を強調した責任は誰がとるのか。


:晩発性障害は必ず克服できる:

 反対に事故直後、将来の放射性障害を笑いながら語った科学者がいた。「医学は日進月歩ですから。」何だこれは。この言葉は末期癌の患者にかける言葉だ。この言葉を口にするときの苦しさといったら、筆舌につくしがたい。それをわらって言うとは。この科学者の顔もそれ以来見ない。


:チェルノブイリでは今も:

 チェルノブイリ原発の事故後、放射線量の高い村は遠くへ集団移住した。だがその廃屋には25年経てなお放射性物質が残っている。建物を解体しているが、埃が舞い上がるたびに高濃度の放射性物質が舞い上がる。作業員は命がけだ。福島第一原発周辺の非難地域には本当に戻れるのか。決定的違いがある。チェルノブイリ原発は平原の真ん中にあったが、福島第一原発のそばには、農地・民家・酪農場がある。そこはどうなのだ。だれも言わない。「戻れないと明言してくれ」という新聞投稿があったが、どうなのだろう。政治家は軽々と「・・・を目途に帰れるように」と言うが。??


:比較的安定している?:

 事故直後、原子力安全保安院の西山審議官は連日、「比較的安定している」と繰り返した。だがそのときまさにメルトダウン・メルトスルーが起こっていたのだ。NHKも「いわゆるメルトダウン」といい、やがて「いわゆる」という形容詞がつかなくなったが、事実は全く違っていたことが明らかになった。「大本営発表」ではないが、公表される情報だけでなく、多方面から情報を集めるしかないだろう。


 そのほか分からないこと、首を傾げることがたくさんある。何より報道される回数も量も減って来たことだ。こうなったら、個人が個人の責任で情報を集め、判断して声をあげるのが一番いい方法だろう。アントニオ=ネグリのいう「マルチチュード」の行動が社会を変えるだろう(朝日新聞1/4付け)。いままで誰も予期しなかった形で。そんな予感がしている。





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