岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

2017年版『現代万葉集』より3首自注

2017年12月05日 15時41分55秒 | 岩田亨の作品紹介
1、返答のなきこと即ちわれに向く敵意に似たる心と思う

 2、みずからを許せぬものと思うとき顔を洗えり幾度となく

 3、長電話終えたるのちの窓のそと雨が次第に激しくなりつ


 1、何が不満か知らないが、僕が声をかけても返答しない人がいる。また、僕が挨拶しようとすると、視線をそらし、離れて行く人がいる。僕はそんなに敵を作っているのだろうか。そんな思いを一首にした。結句は「なるべし」その方がいいと思う。


 2、自分を自分で許せない、としばしば思う。特に夜になると、その思いが募る。過去のことを「過ぎゆき」というが、過去は取り返しがつかない。過去の事実は変えられない。しかし、子供の頃から、「時間がもとに戻ったら」とよく思った。還暦近くなっても、それは、変わらない。ただ、子供のころと違うのは、思い悩むだけでなく、それを昇華する方法を見つけたことだ。その一つ顔を洗う。手を洗うのでは昇華できない。


 3、電話に出るのが苦手だ。長電話になるとイライラする。忙しいときに限って長電話がかかってくる。そんなイライラを一首にした。


 『現代万葉集』2017年版はNHK出版からの刊行。日本歌人クラブのアンソロジー。

 価格2857円+税。出詠者が多く作風も様々。本格的に短歌に取り組みたい人が「結社(同人誌)」を選ぶのに最適。



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