天童大人プロデュース 「詩人の聲」2014年4月(1)
1、福田知子(4月3日 於 ギャルリー東京ユニマテ)
20回目公演。「”櫻の聲”を聴きながら」という副題のついた公演。福田は京都の詩人。それを思わす伝統美や古典に素材をとった作品。それとともに、ナチスドイツを批判した作品もあった。星新一的ユウモアのあるもの。
しっかりとした聲で発声していた。1回1テーマを目指しているそうだ。だが、ナチスドイツに関する作品は、知識に頼った作品となってしまった。プロデューサーの天童大人からも指摘されていた。作風は理知的で硬質なもの。福田本人も課題を意識したようだった。
2、平井弘之(4月4日 於 ギャラリー華)
3回目公演。第三詩集『小さな顎のオンナたち』を、一気に読んだ。さみしい男のつぶやきいう趣きの作品が多かった。呟くように「聲」を出している。平井にはほかの詩人の「聲」を聴くのを勧めたい。
まだ聲が十分に出ていない。
思いついた言葉を連ねているような作品で、聞いていても作品の主題が鮮明には伝わって来ない。平井はフェイスブックで、「生涯一万篇」を目指している。大きな目標だが、今までの作品を、温めたり、手を加えたりということも、考えてはいかがだろう。後日、第二詩集の作品に手をいれたものが届いた。(平井の作品の掲載された雑誌)
明らかに作品が洗練されている。闘病生活をされているそうだが、一刻もはやい復帰を望みたい。
3、照井良平(4月6日 於 数寄和 西荻)
坪井繁治賞を受賞した『ガレキのことばで語れ』に収録された作品を中心に、20篇以上の作品が読まれた。東日本大震災を題材にした、主題の鮮明な作品群だった。
聲に迫力があり、完成度が高い。聴衆も一篇一篇、拍手をしていた。僕も途中から涙が出てきた。照井は、岩手の陸前高田の生まれ、震災から時間を経て、作られた作品だけに、大震災を冷静に受け止めているのだろう。
震災直後には、このような作品群は生み出せなかっただろう。詳しくは「カテゴリー書評、文学歴史」を参照されたい。
4、天童大人(4月9日 於 NPO法人東京自由大学)
第40回公演。天童の聲はあいかわらず凄まじい。会場の窓ガラスを割らんばかりだ。即興朗唱詩集『大神 キッキ・マニトウ』を中心に、新作も読まれた。北海道の帯広や富良野、鹿児島県で朗唱された作品。これらは改めて「聲の力」を実感させるものだった。
汎神論的世界、北アフリカから中東にかけての「匂い」のする作品は、天童の独壇場だ。即興では、地元の琵琶法師の伴奏で読んだそうだが、耳の不自由な琵琶法師に「聲」が届いたのだから驚きだ。
(柴田友理と神泉薫は、明日の記事で)
このプロジェクトの日程は
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