岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「詩人の聲」:2014年9月

2014年10月04日 23時59分59秒 | 短歌の周辺
「詩人の聲」2014年9月


1、長谷川忍 9月3日 於)スターポエッツギャラリー(三軒茶屋)

 第20回公演。月2編の新作を作り、聲にのせながら改作しているという。長谷川の詩は人間の生活を暗示した作品が多い。都市生活者の抒情だ。人間の生き様に切り込むような、深みがある。以前は呟くように声を出していたが、抒情だけを蒸留したような作品を、リズム感のある聲で、勢いよく読む様になった。聲に力がでてきたように思う。作品の線も太くなって来た。ただ作品の中の固有名詞、特に地名は工夫の余地があろう。


2、柴田友理 9月5日 於)ギャルリー東京ユニマテ(京橋)

 第28回公演。柴田は8月から月2回聲を撃っている。新作が読まれたが、墨痕鮮やかな毛筆のように言葉を使うようになった。聲に迫力と凄味が出て来た。作品の深みがあらわれてきて、理知的な象徴派の作風になってきた。メルヘン的なもの、方言を使ったもの、物語的作品もあったが、新作の勢いにはかなわない。服装もエスニック調ではなくなった。文体が出来上がりつつあるようだ。時おり見せる大人の表情が心境の変化を表わしている。体調を壊したそうだが、復帰が待ち遠しい。


3、天童大人 9月11日 於)東京平和教会(駒込)

 第45回公演。イタリア、エジプト、バビロン、スペイン、日本。様々な地域を題材にした作品が読まれた。天童の詩はアニミズムである。自然の神への信仰心が顕著に出ている。自然崇拝だけに、文明批判、戦争批判、古代からの人間精神への尊敬が作品から溢れている。聲は神々しく力強い。こういう作品は天童の独壇場だ。


4、福田知子 9月18日 於)カシュカシュダール(自由が丘)

 第23回公演。聲、リズムともに、快い。情景描写にすぐれ、自然への祈りに通じるもの、大地との一体感のある作品の完成度が高かった。だが心にストレートにはいってくるものと、言葉がくどく、混戦気味なものが混在しているのは、惜しまれた。物語詩的なものは、言葉の整理が必要だと思う。その辺のムラがなくなれば、飛躍が期待できそうだ。


5、田中健太郎 9月24日 於)ギャラリー華(広尾)

 第33回公演。風格があり、格調高い作品が多い。言葉が磨かれて無駄がない。人間の生き方を問う硬派の作品が多く、社会的視点もあり、完成度が高い。やさしく人を包む様に言葉を使い、抒情がストレートにはいってくる。エッセイも読まれたが、主題がハッキリし、リズム感があって、散文詩を思わせた。


6、清水弘子 9月25日 於)ギャラリー華(広尾)

 第5回公演。新作が読まれた。「数字を素材にした詩」など、独自の世界を作っているが、テーマが軽く、抒情の質がよく分からない。気分先行の作品が多く、言葉の整理が必要だろう。言葉遊び的な物が、目立った。表現力があるので、主題の設定が今後の課題だろう。



7、竹内美智代 9月30日 於)東京平和教会(駒込)

 第30回公演。川内原発、長崎の原爆、戦争、セヲォル号の沈没など、社会的問題を扱っても、作品にやわらかさがある。肩に力の入っていない言葉遣いのなせる技だろう。故郷への思い、鹿児島という地方色、があり独特な世界を作っている。事実をそっと手で掬い取るといった趣きの作品群だった。


 このプロジェクトの日程は、
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