韓国と北朝鮮の南北首脳会談が行われた。対話が再開されたのだが、これまでとは異なる画期的な内容が合意された。
1、朝鮮戦争の終結
2、朝鮮半島の非核化
この二つを双方の共同の目標とする、という内容だ。いままでの南北対話は、経済協定、離散家族の再会などだった。今回は朝鮮半島の平和に向けて、具体的目標が双方で確認された。これは画期的だ。実現すれば東アジアの平和、非核化が前進する。
だがこれにはハードルがある。朝鮮戦争の当事国は北朝鮮、韓国、アメリカ、中国の四国。朝鮮半島の非核化には在韓米軍も含まれる。そうなれば米朝の直接協議、ロシア、日本を含む六カ国協議の再開が必要だ。
また双方で軍事的挑発、軍事的威嚇の停止が必要だ。北朝鮮は核兵器開発実験場を破壊した。韓国はアメリカとの合同軍事演習を行った。これは安倍総理がアメリカに実行を申し入れたとインターネットニュースが伝えていた。
何を考えているのだろう。これから和平の協議をはじめようというときに、軍事的威嚇をすれば話が台なしになる。当然北朝鮮は反発した。これをうけて韓国は米韓合同軍事演習を中止した。賢明な判断である。
米朝の直接対話は6月に予定されていたが、トランプ大統領の書簡で、暗礁に乗り上げかかった。この書簡の内容が悪かった。丁寧な書簡だが、問題になる一文があった。
「アメリカと北朝鮮の核兵器の威力を考えるべきだ。私は北朝鮮に対して核兵器が使われないことを願っている。」
これは核兵器による軍事的威嚇だ。国連で核兵器禁止条約が締結された国際社会の反発は大きかっただろう。韓国も南北首脳会談をすぐさま開いた。迅速な対応だ。そういう動きのなかで、アメリカは、米朝直接対話を予定された日に実行すると方針を変えた。場所はシンガポール。北朝鮮は代表団を派遣する旅費がないという。そこでアメリカがシンガポール政府に旅費の負担を依頼した。今度こそ、米朝の直接対話が実現するだろう。
まだまだゴールまでは山あり谷ありだろう。だが国際世論、韓国、北朝鮮の国民は戦争を望んでいない。安倍総理には「憲法九条を活かして」。米朝の仲介役、六カ国協議の仲介役をしてほしいものだ。