岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「詩人の聲:2015年11月(1)

2015年12月03日 12時13分30秒 | 短歌の周辺
「天童大人プロデュース:詩人の聲」2015年11月(1)



1、泰ひろこ 11月5日 於)ギャルリー東京ユニマテ


 泰は16回目の公演。清水から改名して新境地を作りつつある。声に張りがあり抑揚もある。作品の素材は彫刻家、作家、詩人、自然。主題は自然との共生、人間や芸術家の生き方、心情を掘り下げるということ。

 聴いていると奥深い世界が広がってくる、自己凝視もあり、作品に風格と深みが感じられるようになった。詩世界が大きくなったようだ。

 だが旧作に拘っている部分があり、作品によってばらつきがある。今後の課題だろう。



2、田中健太郎 11月10日 於)ギャルリー東京ユニマテ


 田中健太郎は38回目の公演。『ビル新聞』に連載されている「私の1200字」を聲にだした。世代を越えた人間への愛、人間への愛惜の情がどの文章の底流にもある

 話題は外国生活、歴史、音楽、美術、奥の細道、工芸、震災からの復興、海外ポップス、文学、小説、作家、詩集の紹介など多岐に渡る。聴いていてあきない。


3、渡ひろこ 11月11日 於)ギャルリー東京ユニマテ 

 渡は7回目の公演。切り込みに鋭さがあるが、力みが見える。追悼詩、戦争体験を表現した作品は事実を事実としてとらえた作品。ルワンダなどを描いた作品は強いリアリズムの傾向があり、モダニズム的な作品もある。作風が一定しない。

 激しい言葉を連ねたポーズをつけただけの作品、俗語を使った対象をなぞっただけの作品も散見する。今後の課題だろう。


4、天童大人 11月16日 於)東京平和教会

 天童は59回目の公演。聲、リズムは文句ない。完成された聲だ。

 作品は詩集に未収録の「アフリカ詩篇」「エジプト詩篇」「バビロン詩篇」「イタリア詩篇」。それとフランスを題材とした詩が一篇。国際的に活躍する作者を反映してエキゾチックな作品ばかりだった。

 しかし作品には一貫性がある。いづれも物語性があるのだが、言葉や生命への原初的な祈りがある。言葉へのアニミズムだろう。

 作品の端々に文明批評、人間の奢りへの警告がある。まるで地球からの言葉を聞いているようだ。

5、原田道子 11月17日 於)ギャルリー東京ユニマテ

 原田は51回目の公演。リズムと聲が心地よい。神への視線、人間、社会が自然へ一体化する祈りのようなものが感じられる。空間が祈りの場となったようだ。

 しかし今回は難解なものが多かったようだ。詩集にまとめられたものは完成度が高いということだろう。

 (残りの五人は明日投稿する)




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