『三好豊一郎詩集』出版記念会 8月1日 於)ホテルグランドパレス
『荒地』この同人誌の名前を最初に聞いたのはいつだったろうか。そのきっかけも忘れてしまった。短歌から現代詩へ読書の幅を広げた時だったろうか。同人の黒田三郎の名前と作品は知っていたが、『荒地』という雑誌はしらなかった。
そしてこれも忘れてしまったのだが、『荒地』の同人で黒田三郎以外で気に入った詩人は、田村隆一と鮎川信夫だった。とくに田村隆一が気に入った。言葉が鋭いのだ。鮎川信夫はある時期を境に、作品が甘くなっていくように感じる。
『荒地』によった詩人たちの作品には、「敗戦」という事実を正面から受け止める迫力がある。恐らく戦後の廃墟から復興へ向かうその時代人の気質を投影しているのだろう。
「詩人の聲」のプロジェクトを通じて出版記念会を知って、参加しようと思った。『三好豊一郎詩集』は土曜美術社のものと思潮社のものを古本で買った。
やはり作品がいい。とくに『囚人』に収録された作品群に魅かれた。時代を切り開く迫力を感じる。出版記念会も期待して行った。
当日のプログラムは多彩だった。小講演、シンポジウム、スピーチ、作品の朗唱と続いたが、三好作品の背景を深めるようなものだったと思う。
「三好作品は時代と格闘している。」
「時代や社会の不安が肉筆化している。」
「モダニズム風、鮮烈な印象がある。」
様々な話があったが、僕の第一印象の通りの評価だった。
だが新しい発見もあった。
「『荒地』は『四季派』への批判から始まった。」
「三好作品は、青春の詩から壮年老人の詩へと変化している。」
「80年代に詩風を完成させ高見順賞を受賞している。」
思潮社の詩集は『囚人』を中心とした作品が収録されている。土曜美術社の詩集は「全詩集」ではないが、晩年の作品も収録されている。詩集を読むよい指標ができた。