岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座α」第28回歌会

2015年07月18日 23時59分59秒 | 歌会の記録(かまくら歌会・星座・星座α・運河)
「星座α」第28回歌会 7月14日 於)浄妙寺石窯ガーデンテラス


 鎌倉の浄妙寺は鎌倉五山の第5位だ。以前は七堂伽藍があったそうだが、今は本堂その他が残っているに過ぎない。建長寺、円覚寺と比較して地味な寺である。

 しかし室町幕府の開祖、足利尊氏の父、足利貞氏。弟の足利直義の墓があるほどだから由緒ある寺院である。そこに手作りのパンと料理を出す「石窯ガーデンテラス」がある。ここを本部として「星座α」という短歌の研修誌がある。「研修誌」と言うくらいだから、短歌を出詠する会員も選者も「短歌の研修」「選者修行」をする。

 ぼくは「参与(運営の手伝い)」として創刊直後から手伝いをしている。今は「星座」の選者だが、「選者修行」をさせてもらった。佐藤佐太郎が「歩道」の選者に残した「選歌注意」という文書のコピーを尾崎主筆から頂いた。「選者心得」である。

 歌会は隔月の奇数月に行われる。必ず尾崎左永子が出席するので、佐藤佐太郎が何をめざし、何を短歌創作にあたって心に置いていたかが、直接聞ける。これは「運河」にはない特徴だ。

 尾崎主筆の論点を整理しよう。「短歌が感想文的、説明的になってはいけない。」「万葉集などにある秀歌のフレーズなどを安易に使うことの戒め。」「固有名詞を使う時の注意」「何を表現したいかを突き詰める」「無駄を省け」「シャレ過ぎてはいけない」「読者が勘案しなければならない作品は言葉足らずだ。」「心に直に感じたことを詠め」「自己満足ではいけない。」「音韻の効果を考えよ」「一首詠んだら、別の角度から詠え。」「同情を呼ぶような短歌は詠むな。」「老いを詠うなら丸裸になる覚悟が要る。」「他人が読んで感動する作品を作れ。」など示唆に富むものが多い。


 その一言一言が、「詩人の聲」に参加している現代詩人の言葉と共通する。佐藤佐太郎の言葉にも、詩人の考えと一致する部分が多い。これは佐藤佐太郎が図書館に通って詩集に読みふけり、尾崎左永子が、合唱組曲を作詞したり、放送詩を創作したことによるものだろう。


 尾崎主筆は「短歌は定型の現代詩である。」という。現代詩と短歌はフォルム、コンテンツともに異なる。だから僕は「短歌は現代の定形詩である。」と言う。これを尾崎主筆に直接ぶつけてみたが、「それでいいでしょう。」と言われた。

 最近尾崎主筆は「皆さんはもう初心者ではないのだから。」「教えた人が、良い作品を作ったり、的確に批評できたりするのは嬉しい。」と言う。

 僕はこの4月から「現代歌人協会」に入会した。推薦人は「運河」の創刊メンバーの鵜飼康東、「星座」の松崎英司。「運河」と「星座」に育てられたとしみじみ思う。




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