岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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国府弘子のライブ:報告

2013年07月30日 23時59分59秒 | 短歌の周辺
「ブルース・アレイ」は目黒駅の西口近くのライブハウスである。満員でも50人ほどの人が入れるほどの広さだった。音楽に縁のない僕がそこに行ったのには二つほど理由があった。

 一つは、先輩歌人の鵜飼康東氏から「いい短歌を詠むには、優れた芸術に触れなければならない。」とアドバイスされたこと。二つ目は、国府弘子は僕の高校時代の同級生だが、5年ほど前の同窓会でも話す機会がなかったことである。

 このライブに行くに当たっては、3つの「サプライズ」を持っていった。

(1)楽屋に花束(これは国府弘子本人にフェイスブックのDMであらかじめ伝えていた)

(2)僕の第二歌集、第三歌集を持っていったこと。

(3)国府弘子は最高に太った僕の姿しか知らないから、ダイエット後の僕の姿自身が「サプライズ」だった。

 さてライブの内容。これは恥ずかしい話だが、ライブハウスというのが、飲食をしながら生演奏を聞く所だという事を初めて知った。滅多に飲まない酒(グラスワイン)を注文し、これまた、滅多に食べないステーキを注文した。

 ステージは前半と後半に分かれていた。

 先ず、前半。国府弘子、八尋洋一、岩瀬立飛のトリオでの演奏。ボサノバ、ジャズと多彩な内容の音楽が演奏された。国府は一応トリオのリーダーだが、実際の演奏に当たっては、三人の阿吽の呼吸で行われていた。室内の前方に大きなスクリーンがあり、演奏者の手元を映す。そしてステージでは全体の姿が見える。と言ったものだった。国府の手元の動きには隙がない。プロとはこういうものかと教えられた。ジャズは明るい音色とリズムを持っているが、何故か涙が出て来るのを抑えられなかった。僕に音楽の素養があればもっと違った表現ができるのだが、今はそれが出来ない。とにかく、ライブハウス全体が、一つの渦に巻き込まれたようになっていた。常連客も多く、国府との顔なじみも何人かいたらしかった。

 ゴスペルシンガーの「キキ」が飛び入りで歌った。これが前半のライブの締めになった。

 そして第二部。宇崎竜童をゲストに迎え、ロック、ジャズ、を宇崎が歌った。「明大の軽音楽部で、馬鹿な奴がロックに走り、インテリはジャズに走り、金のないやつはフォークに走った。」と笑いをとりながら、「俺はこれからジャズをやりたい。今、67歳だが,70歳になったら、ジャズシンガーになりたい。それには国府さんの力も借りることになるだろう。それも普通のジャズではなくて、良く知られた曲をジャズに編曲して、歌いたい。」と言っていた。

 なるほどミュウジシャンも常に新しい峰を目指しているのだと思った。山口百恵に書いた何曲かをジャズにアレンジして歌っていた。どうやら国府の編曲らしい。ピアノの間奏が入ると「こいついい音出しているな。」といった面持で、宇崎が国府のピアノをの祖きこむ。その姿、目つきが印象的だった。

 最後にアンコール。ゴスペルシンガーのキキ、宇崎竜童も加わっての、コール、リプライの連続だった。


 すっかり、気分が良くなって、グラスワインのお代わりと、アイスクリームを追加注文した。帰り際に、国府と話をした。

 「ぼくの事分かりますか。」

 「岩田君でしょう。お花有難う。」(花は楽屋ではなく、ピアノの上に載っていた。)

 「歌集の贈り物がサプライズの二つ目。痩せた僕の姿が三つ目のサプライズ。CDは何がお勧め?」

 「『サマーセッション』ですよ。」

 「じゃあそれを買って帰る。病気が吹っ飛んじゃったよ。」

 「それはよかった。」

  そして僕は名刺を渡した。

 こんな会話をした。「サマーセッション」は売り切れで、「デビュウ15周年のアルバム」を買った。

 「今度の新百合ヶ丘も行くからね。」と約束したが、行けなかった。

 これが僕の、ライブハウス初体験。

 会場で短歌を二首詠んだ。

・陽気なるリズムなれども悲しかりライブハウスに響くピアノは・

・キャンドルの灯りのみなる暗がりにベースとピアノの音響きたり・

 ライブハウスを出たのが、11時。結局最終の深夜バスに乗って、帰宅したのは12時を過ぎていたが、行った甲斐があった。「星座」の選歌・添削で「ジャズ」を詠いこんだ作品があったのだが、その作品を秀歌と認めることが出来た。


国府弘子ホームページ http://kokubuhiroko.net

国府弘子情報ツイッター  htto://twitter.com/ph_hirokokokubu

国府弘子自身によるツイッター  http://twitter.com/hirokokokubu





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