新型コロナウイル対策の問題点(10)医療崩壊をどう防ぐか
2020年4月23日。俳優の岡井久美子が新型コロナウイルスの感染症で死亡した。発熱があり政府の方針通り、自宅療養中の症状が急変したのだ。同日埼玉県の男性も自宅療養中、急変して死亡。発熱して軽症の場合自宅療養を国は基本方針としている。だが軽症といっても新型コロナウイルス感染症の場合、39℃の熱にうなされ、水しか飲めない状態になる。通常なら入院治療が必要な状態。僕の最初の入院はこの状態だった。「いつ急変するかもしれない。高熱が続けば脳膜炎になる可能性もある。」これが医師の説明だった。
だから発熱があれば、新型コロナウイルスの感染症を疑い、ウイルス検査をして陽性と出れば、医療施設か、感染拡大の防止に配慮した施設に収容し治療をすべきだ。ヨーロッパ各国で軽症者の自宅療養などしている国はない。キャリアーが家族と接すれば、感染拡大につながるからだ。
日本で検査がしにくく、自宅療養が増えたのは、病院数と病床数の限界が原因だ。限界を超えたときに「医療崩壊」が起こる。これとの関連は不明だが「トリアージ(命の選別)をしなければいかない可能性が出てきている」というチェーンメールがながされた。これが根拠のないものであることはいまでは明らかになっている。出所不明の流言飛語に近い。
では「医療崩壊」を防ぐにはどうするか。人命第一なら検査の制限はすべきでない。海外では検査を徹底することで、早期に発見し、ウイルスの封じ込めに成功した例もある。だから疑わしい患者は必ず検査をし、医療機関に収容する。問題はここだ。歴代の政権は病院の統廃合や病床数の削減を行ってきた。中曽根内閣以来の「新自由主義」の結末で、現政権も小池東京都政もこの方針をさらに進めようとしている。理由は「赤字だから。」しかし赤字であっても削減できない分野はある。警察、消防。医療もこれと同じ。赤字でも必要なものは必要。
さてそれを踏まえての対策。検査の拡大、自宅療養の原則の見直し。これをするにはどこに患者を収容するかが問題だ。病院は重傷者の対応にあたる。では軽症者は、医療機関ではなくとも、感染拡大の防止策を準備した施設に収容することだ。地方自治体によっては、ホテルや旅館を借り上げ、医師と看護師を常駐させて、軽症者が毎日検温を自分でやりオンラインで医師が診察しているところがある。レッドゾーンとグリーンゾーンを区別し必要に応じて、防護服も着用し、食事は部屋の前に置き、患者が室外に出ることはない。
地方自治体がやっているのだから、国がやれない訳はない。政府の「経済対策」は108兆円だが、そのうち政府にの直接支出は、20兆円弱しかない。その中には終息後の産業振興、海外への情報発信などが含まれていて、実際には18兆円しかないという試算もある。
志村けんは倦怠感を感じてから半月足らずで死亡した。新型コロナウイルの感染症はそれほど急変しやすい。
ここは日本政府が本気度を出して取り組む必要があろう。