天童大人プロデュース 「詩人の聲」 2014年1月
1、柴田友理:1月11日 於)ギャラリー絵夢
柴田友理の「詩人の聲」を聞くのは、4度目だろうか。前々回に旧作を捨て、新しいリズムを掴んだ。彼女のそんな詩に期待しながら聞いた。今回の「聲」では、作品が短いものが相当あって、言葉に無駄がなかった。30数編の作品全体が、借り物ではない彼女のオリジナルなものになっていた。前回もそうだったが、九州弁での作品は、彼女の独壇場だ。何よりも、聲が通っていた。
2、神泉薫:1月12日 於)ギャラリー絵夢
彼女は、このプロジェクトの最多公演を記録している。年末の「現代詩手帳」にも、このプロジェクトを紹介するエッセイを書いている。最多出場だけあって、聲が出ている。短編あり、長編あり、エッセイも読まれた。間があり、その間も1時間の公演の時間のうちにあった。僕が「聲を出す」のに大いに参考になった。冒頭「このプロジェクトによって、新しい詩世界が開けた」という言葉が印象的だった。言葉の美しさを感じさせる作品群だった。
3、福田知子:1月13日 於)ギャラリー絵夢
彼女は、京都在住の詩人。やはり間がとられ、それが全体の「聲」を明確にしている。間があることで、作品の一つ一つが、際立ってくる。作品は、骨格の太いものが多いように感じた。発する言葉に「切れ」があったように思う。神泉同様、作品ごとに「聲」の出し方を変えていたのも印象的だった。
4、天童大人:1月20日 於)Cache-cache d'Art
天童の聲を聞くのは、3回目。「難民島」「ヴェネチアの回廊」「わたしの叙事詩」などが、読まれた。作品の特徴は、社会、人間についての深い洞察。「詩」とは何かという問いかけもあったように思う。そして自分とは何かという問いかけもあった。聲は「体がえぐられるように」響いてくるものだった。「わたしの叙事詩」は、自伝的要素のあるもので、制作途中。完成品が楽しみだ。
5、大島龍:1月24日 於)数寄和
大島は石狩在住の詩人。作品は、人間の本質をえぐるようなものだった。地吹雪の続く石狩からきて、「未だ冬眠から目覚めていない」と本人は言っていたが、聲は、独特の色を持ったもので、農民の詩、生活の詩という側面もあった。人間の本質をえぐるような作品だが、美しい。佐藤佐太郎が「短歌は他人に不快感を与えない心づもりが必要である。」と述べているが、それと相通ずるものがあったように思う。
このプロジェクトに、僕は作者として出演している。だが時間の許す限り、ほかの詩人の「聲」を、聴衆として聞きたいと思っている。
* このプロジェクトの概要。
「東京を何時でも詩人の肉聲が聴ける街にすると同時に、詩人や作歌の聲を育て、美しい日本語を世界に通じる聲で響かせたい。開始以来7年、2月で1058回を迎える。このように長期間続いたプロジェクトは世界でもまれだろう。」
(このプロジェクトのチラシと天童大人の言葉から。)
参加希望の詩人、予約、問い合わせは、北十字舎 03-5982-1834まで。
入場料 予約2700円 当日3000円 学生1500円(学生証提示)
* このプロジェクトの日程は、
URL:http://projetlavoixespoete.jimdo.com/をご覧下さい。