「天童大人プロデュース:詩人の聲」第1042回
於)ギャルリー東京ユニマテ
「あえいおえおあお かけきこかこ させしそせそさそ かけきこけこかこ
(発声練習)
今回より、私の第二歌集「オリオンの剣」を音読してゆきます。
(このあと語りがはいったが、今回は作品だけを読んだ)
・巻頭詠
オリオンは剣を持つや寒々と冬の夜空の漆黒ふかく
・地層断面
満天星はかたくなに根を張り居たり嵐のあとの地層断面
・絶滅危惧種
空調の効きたる部屋にやすやすと絶滅危惧種の獣が眠る
・遠き雷鳴
わが内の何かが変わりゆく思い抑えて遠き雷鳴を聞く
・ダム湖の水
物言えずうつむく人らを思わしめダム湖の水が干上がっている・
・記憶交錯
様々な記憶交錯する日暮れとりあえず今はしばし眠らん
・雪降る予感
信仰を持たぜるわれの聖夜なり今きざしくる雪降る予感
・ラコニアの「if」
戦いに敗れてもなお降らざる史上最短の手紙ラコニアの「if」
・圏外表示
「圏外」と表示されるを喜ばん携帯電話をリュックにしまう
・神々の酒
その語源神々の飲む酒と知り陳列棚にネクターを選ぶ
・誰の声か
こは誰の声かと思いつつ演壇を見ずに杯を干す」
ここまで読んだのが150首近く。「オリオンの剣」は「神奈川県歌人会」の優秀歌集の最終選考に残ったもので、それなりの自信があった。だが全く声にのらない。リズムが良くなかったり、結句が唐突だったり、欠点が目立ってしまった。
最後に、制作中の30首詠を、一気に読み上げた。「かながわサロン」「東京歌会」「星座α・定例歌会」「星座・かまくら歌会」に持ち寄って、少しずつ直している作品群。まだ完成まで、半年はかかるだろう。これが見事に声にのった。作品が完成に近づいているのを予感させる。(読み終わったあと、天童大人から、拍手をもらった。)
また今回は、自分の声をレコーダーに録音した。1時間の自分の声を聞いていても、「オリオンの剣」の作品群は明らかに、リズムが壊れている。これは大きな発見だった。
次回は、2月4日に新宿のギャラリー絵夢で、5回目の公演を行う。ここでも新たなる発見があるだろう。