岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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時代は動いている「戦争法を巡って」

2016年06月23日 01時48分14秒 | 政治経済論・メモ
安全保障関連法。2015年の9月19日に強行採決された法律「戦争法」と呼ばれる。「戦争法という法律はない」言う人がいる。だが内容から言えばまさしく「戦争法」だ。

 自衛隊が海外へ派遣されるとき武器の使用は、正当防衛に限られていた。また、この法律が最初に適用される南スーダンでは中国軍がPKOを展開しているがPKOの前提条件の停戦合意が崩れている。ここに「駆けつけ警護」という名の先制攻撃が可能になった自衛隊が展開すれば、自衛隊が戦闘行為を起こす危険は高まる。


 明らかに憲法違反だ。だからこそ全国のすべての弁護士会が反対を表明している。最高裁判事経験者、最高裁長官経験者、歴代の内閣法制局経験者が反対しているのも当然だ。
 さらに広範な人々が反対運動を展開している。学生がシールズを作り、高校生がティーンズソウルを作り、中高年はオールズ家庭の主婦がママの会を、学者研究者が安保法に反対する研究者の会を作って反対運動をしている。それらがバラバラではなく「戦争法廃止の2000万人署名」を協力しながら集めている。国会議事堂前の集会を主催している総がかり行動実行委員会の提唱だ。


 この総がかり行動実行委員会が歴史的だ。政党ごと、市民団体ごとに分散していた平和運動が歴史上はじめて統一した。この署名は去年の11月から始められ、1350万人が署名をしている。出来たばかりの法律の廃止署名がこれだけ集まったのは過去に例がない。


 この市民運動に後押しされて野党共闘がかつてなく深く広く作られた。全国で32ある参議院の全ての一人区で野党の統一候補が立てられた。共産党が候補をおろし民進党の候補を応援する。民進党が候補をおろし共産党の候補を応援する。民進党、共産党が候補をおろし生活の党の候補を応援する。すべての野党が無所属候補を応援する場合もある。
 政策の一致点も増えてきた。戦争法廃止、集団的自衛権の行使容認の閣議決定撤回、消費税増税の撤回、原発からの脱却、貧困の解消、辺野古基地の建設工事の中止。幅広い政策協定が結ばれた。唯一共産党の候補者が統一候補となった香川県で、民進党と共産党が政策協定に県本部段階で合意した。

 この政策合意も市民運動が強力に後押ししている。総がかり行動実行委員会、シールズ、ママの会、などの市民団体がさらに連合して市民連合を作った。この市民連合が野党共闘を後押しし、政策を提案し、野党4党の党首が署名捺印した。

 明らかに市民運動が野党を引っ張っている。野党の議員と政党が市民運動との連携を広げふかめている。これほど広範な共闘がかつてあっただろうか。「21世紀の自由民権運動」という人もいるが、自由民権運動はここまで広く深くはなかった。これらも歴史上かつてなかったことだ。

 この歴史的な転換期に僕も運動に実際に関わっている。2000万人署名を地元の最寄駅で集め、集会やデモに参加し、毎週、都心での署名活動、街頭宣伝に参加している。新宿東口での野党4党を集めた街頭宣伝の実施にもかかわった。このブログに一々記事を投稿する時間がないほどだ。


 藤原定家は「紅旗西戎わがことにあらず」と言ったが、これは戦争のことは自分には関係ないということ。定家の時代はそれでよかった。前近代の戦争は武士がするもので、民衆の生活に全く無関係であったわけではないが、関ケ原の合戦を農民が見物に行ったという話も残っている。まして定家は権力を失った公家の中でもさらに下級貴族だ。「戦争に関係ない」で済んだのだ。

 現代は違う。「政治に無関心ではいられても無関係ではいられない」。むしろこの動きつつある歴史の中で、自分が積極的、主体的にかかわれることを誇りに思う。




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