天童大人プロデュース「詩人の聲」。32回目と33回目。
ともに世田谷区のUnica Galleryで、第四歌集『聲の力』を読みました。
32回目 4月26日。33回目 5月17日。
『聲の力』。400首を収録した僕の第四歌集だが、いくつかの実験作を入れた。
「聲の力」7首の連作だが全体で一篇の定型詩となるのを目指した。だがこの一連は一首の独立性が高く連作としても読める。強いて一篇の定型詩とするまでもなかっただろう。
・聲を撃つ夜の地下室の空間の響きよ無限の世界へ届け
「祈り」7首の連作だが一篇の定型詩となるのを目指した。これは象徴詩の技法を使って詠んだものだ。「写実らしからぬ作品だ」と半ば非難に近い葉書をもらったが、反論するのも馬鹿馬鹿しい。肉親の死の虚構を短歌に読み込んでいいかという論争があって、加藤治郎は「現代短歌では虚構を詠む必然性がない」とFBで発言していたときに「象徴詩の技法を使えば可能ですよ」と加藤治郎に言ったところ、「言うのは易し、行うは難しです」と言われた。そこで作った一連である。
・急速にわれの心を凍らせる父母の死、友の死、わたくしの生。
「島の娘(こ)」
8首からなる連作。もともとは短歌8首だったが、文体を変えて一篇の定型詩となるようにした。そのため一首の独立性がなくなった。これは元の短歌8首の連作にしたほうがよいだろう。
・島の娘はとつとつと言うその島は打ち寄せる波に日々削られるとぞ
33回目は画廊の好意で、全編を聲に出したので、一時間十五分かかった。『短歌』編集部の編集者が聴きにきてくれて、また天童からは歌集の評判を聞かれ「いいものが出来たな」と言われ、現代詩手帳の年鑑に乗っていない詩人の住所を教えてもらった。
忙しさにかまけてまだ発送していない。早くしなければと思う。